経営者の生の声。熱量。
株式投資、特に長期投資において、とても大事な要素だと思います。
年に1回、経営者の生の声を聞ける貴重な機会である株主総会。
この3月、12月決算会社3社の株主総会に出席してきましたので、感想をまとめました。
■アライドアーキテクツ(23/3/28(火)@バーチャル株主総会)
「バーチャルオンリー株主総会」としてオンラインで開催されました。(初の取り組み)
特に同社のような「デジタル」を事業とする会社を中心に、今後このような形態で開催する会社が増えていくのかもしれません。
中村社長は、子会社のあるシンガポールより議事進行しており、とても新鮮でした。
質疑応答では、
・海外SaaS事業の最大顧客解約について
・新規顧客獲得強化に向けた手法や体制について
・欧米リセッション、米中摩擦など外部環境が事業に与える影響について
・配当の見通しについて
といった質問がありました。
他の株主さんがどのようなことに関心を持っているのかを肌で感じることができるのも、株主総会のいいところです。
株主総会終了後には、1時間ほど事業説明会が実施されました。
中村社長に加え、国内SaaS事業責任者の村岡さん、ソリューション事業責任者の松井さんも同席。
決算説明資料にサラっと目を通すだけで十分に理解できていないかったことについての理解が深まり、大変貴重な時間でした。
個人的に、事業説明会を開催頂ける会社には大変好感を持っています。
本来やらなくてもいいことですが、
「会社のことをもっと知って欲しい」
「事業を理解して長期で投資をして欲しい」
という姿勢の表れと捉えています。
目先は海外SaaS事業の最大顧客解約の影響など減速要素はあるものの、世界の「デジタル化」の流れや主要顧客であるゲーム業界の成長予測など、長期的な目線での可能性を改めて確認できたことも収穫です。
2月の2022年12月期決算発表以降株価は大きく下落しましたが、2025年までに売上高100億円(2022年は45億円)という中期目標が達成されることを楽しみに、引き続き応援したいと思います。
■Chatwork(23/3/29(水)@AP浜松町)
こちらは会場に加えて、インターネットライブ中継も行っての開催でした。
事業報告として、決算内容に加えて、現在の事業の状況についても説明があり、理解が深まりました。
「意志を持った投資」を行っているフェーズで営業利益・純利益は赤字ですが、将来へのポジティブな見通し、明確な戦略を感じることができました。
2024年までに全社売上げ100億円、”中小企業No.1ビジネスチャット”の地位を確立すべく邁進していく同社を応援していきたいと感じました。
質疑応答では、
・黒字化についての考え方
・ChatGPTなどAIとの融合について
といった質問がありました。
いずれも納得感のある回答がなされていました。
前日のバーチャル株主総会も新鮮ではありましたが、やはり同じ会場で、時に目線が合いながら経営者の熱量を感じられるというのは、会場でしかない価値だと改めて感じました。
純利益の黒字化は2024年以降であると考えていますが、じっくり保有を続けようと思えた時間でした。
■キリンホールディングス(23/3/30(木)@ザ・プリンス パークタワー東京)
「第184回 定時株主総会」
その回数を見るだけで、歴史と伝統を感じます。
会場の最寄駅の改札を出ると案内看板を持ったスタッフが。
そして道路上や、ホテル内にも。
受付周りは多くのスタッフやホテルマンが積極的に声掛け・誘導。
「さすが大企業だな。」
と感じさせるオペレーションでした。
ざっと数えても400人以上の株主が参加して開催された株主総会は、熱気を感じました。
特に質疑応答では多くの株主が手を上げ、実に様々な質問が繰り出されました。
あくまでその一部ですが、
■決議事項関連
・バーチャルオンリー株主総会を可能とする定款の変更には賛成だが、どういった場合にバーチャルオンリー株主総会での開催を考えているのか?(第2号議案)
■報告事項関連
・他の事業が増収の中で、なぜ国内飲料事業だけ減収したのか?
・ミャンマー事業撤退について説明不足!時間がかかった経緯は?いくら損したのか?
■その他
・人口減の中で人員の合理化(人員削減)は考えていないのか?(働かないおじさん問題・・笑)
・ミャンマー撤退は残念だった。スリランカとの取引は今後も継続してくれるか?
・キリンの営業マンは殿様商売と言われている。経営層はどう考えているのか?
・ビール工場における太陽光パネル、ウイグルの人権問題と関係ないと明確なトレーサビリティがとれているのか?
・昔イチローさんをCMに起用していたが、今はアサヒのCMに出ている。なんで変えたのか?
・本日リモート参加の外国人取締役がどのような人なのか、聞きたい。(→自己紹介することに・・笑)
・2020年、2021年は株主総会が事前登録・抽選で、参加者がかなり絞られていた。個人株主を軽んじているのではないか?
といった質問がありました。
10:00に始まった株主総会で、大変多くの質疑応答が出た11:30頃、社長が質疑応答を切り上げようとしたところ、、
時間で質疑応答を区切るなんていかがなものか!
こっちは2年分の想いがたまってるんだよ!
と声を荒げる株主さんがいらっしゃり、質疑が継続する、というシーンもありました。。
お気持ちはわからなくはありませんが、ルールを逸脱して感情を一方的にぶつけるようなやりとりが横行してしまうと、それこそ今後バーチャルオンリー株主総会に切り替える会社が増えそうだなと感じてしまいました。
いずれにしても、前日・前々日の2社がほとんど事業成長に関わる質問だったのと比べると、いわゆるESG的な観点からの質問も多く、大企業というのは求められる要求が多く、大変だなと素直に感じました。
こうした様々な質問に対し、磯﨑社長や壇上にいる役員の皆さんが丁寧に回答をしていました。
69歳になる磯﨑社長の、時に柔和な表情、また時にパッションに溢れた受け答え・プレゼンテーションはとても魅力を感じました。
これからも長い目で応援し続けたい会社です。
■おわりに
これから大きく羽ばたこうと志す成長途上の会社に、社会から様々なことを求められる大企業。
バーチャルオンリーの開催に、会場での開催。
3社3様、それぞれ個性があり、大変興味深い3日間でした。
そして改めて、経営者の生の声、熱量を感じられる株主総会という場の貴重さを感じました。
6月下旬には3月決算会社の株主総会が集中します。
いくつか出席して、保有銘柄の理解を深めたいと思います。
株主総会に興味が湧いた方は、ぜひ一度行ってみて下さい。
昔みたいにお土産はでませんが、投資において大切なものを得られるはずです。
本日もお読み頂きありがとうございました!
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