【決算書比較】日清食品HDと東洋水産、あなたはどちらがお好み?

決算分析

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読者の皆さんは即席麺はお好きですか?

カップヌードル、赤いきつね、色々ありますね。

今日は即席麺の大手2社、日清食品HD東洋水産の決算書を比較します。

複数の会社の決算書を比較することで、その会社の個性がよりわかるようになります。

この記事を通して両社の違いを感じ、少しでもあなたの投資の参考になれば嬉しいです。

なお、この記事では、今年8月に発表された2023年3月期第1四半期の数値を用いて比較します。

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■PL(損益計算書)の比較

まずはPLを比較します。

・売上高

2023年3月期第1四半期の売上高と増収率は以下の通りです。

売上高は日清食品HDが上回りました。
増収率は日清食品HDが+12.7%、東洋水産が+23.3%と、東洋水産が上回りました。
通期予想に対する進捗率は両社ほぼ同水準でした。

日清食品HDの売上高の内訳は以下の通りです。

※日清食品HDの決算説明資料より抜粋

国内即席めん事業、国内非即席めん事業、海外事業、いずれの事業とも増収でしたが、特に海外事業が+38.5%と大きく牽引しました。

米州地域の+47.9%を筆頭に、海外全地域で増収となりました。
プレミアム商品が好調だったこと、価格改定効果もありますが、+97億円のうち+53億円は為替が円安になった影響です。

東洋水産の売上高の内訳は以下の通りです。

※東洋水産の決算説明資料より抜粋

こちらも牽引したのは海外即席麺事業で、前年同期比+72.0%と大幅増収でした。
ドル建ての増収率は+39.2%ですので、その差額が為替による影響ということになります。

過去12年間(2011年3月期~2022年3月期)の売上高の推移は以下の通りです。

日清食品HDは2019年3月期が減収でしたが、それ以外の年は増収し、売上が直近でも伸びています。
一方の東洋水産は2022年3月期に収益認識に関する会計基準を適用したことにより減収となり、日清食品HDと差をつけられています。


・営業利益・純利益

2023年3月期第1四半期の営業利益・純利益は以下の通りです。

営業利益は日清食品HDが上回りましたが、純利益は東洋水産が上回りました。

日清食品HDは営業利益が+0.1%、純利益が▲4.6%と苦戦しました。
国内非即席めん事業、具体的にはチルドや冷凍食品などの低温・飲料事、ヨークやシスコなどの菓子事業が、資材高騰などコスト増により減益となりました。

一方の東洋水産は営業利益が+27.7%、純利益が+34.3%と、大幅増益となりました。
要因は売上高と同じく、海外即席麺事業が+119.3%と大幅増益したことが牽引しました。
ドル建ての増益率は+77.5%でしたので、その差額が為替による影響ということになります。

過去12年間(2011年3月期~2022年3月期)の純利益の推移は以下の通りです。

両社とも赤字の年はなく、黒字を続けています。
2014年3月期を除いては、純利益は日清食品HDが上回っています。

・利益率・ROE

2023年3月期第1四半期の利益率・ROEは以下の通りです。

利益率・ROEは東洋水産が上回りました。

過去12年(2011年3月期~2022年3月期)の純利益率の推移は以下の通りです。

純利益率はおおむね4~6%で推移してきましたが、2021年3月期だけは利益率が跳ね上がりました。
日清食品HDは湖池屋の企業結合による影響が大きく寄与しました。

■BS(貸借対照表)の比較

2023年3月期第1四半期の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。

特徴的なのは、東洋水産の安全性の高さです。
資産合計は小さいですが、現金に比率が高く、有利子負債は非常に少ないです。

一方の日清食品HDは有利子負債によってレバレッジをかけた経営を進めています。

両社のBSを図にすると以下の通りです。

短期的な安全性を示す流動比率(流動資産÷流動負債×100%)は、日清食品HDが149.9%、東洋水産が479.8%と、東洋水産の安全性の高さがこの数値にも表れています。

日清食品HDの非流動資産の中で最も大きいのは有形固定資産(262,824百万円)です。

■その他の項目(株価、配当など)

株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。

・PER・株価

日清食品HDは32.2倍、東洋水産は22.1倍と、日清食品HDの方が割高です。

両社の株価の推移は以下の通りです。

まずは、日清食品HDです。

※日清食品HDの株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

続いて、東洋水産です。

※東洋水産の株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

両社ともチャートの形が似ていると感じます。
2020年7~8月に最高値を記録して以来は低迷が続いていましたが、直近では再度高値を狙う動きになっています。

・配当

配当性向は日清食品HDが42.9%と、東洋水産の34.0%を上回りました。
配当利回りは、東洋水産が1.54%と、日清食品HDの1.33%を上回りました。

配当性向が低く、自己資本比率が高い東洋水産の方が、将来的な増配余力はあるのかもしれません。

・株主優待

株主優待は株式投資の楽しみの1つです。
両社とも株主優待の内容は自社製品詰合せです。

日清食品HDは100株以上300株未満保有で、年に1回3,000円相当の製品が送られます。

※日清食品HDの株主優待(100株以上300株未満保有株主用)。SBI証券お客様サイトより抜粋。


東洋水産は100株以上1,000株未満保有で、年に1回2,000円相当の製品が送られます。

※東洋水産の株主優待(100株以上1,000株未満保有株主用)。SBI証券お客様サイトより抜粋。

■おわりに

即席麵の大手2社の比較、いかがでしたでしょうか?
グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的に両社の違いを感じて頂けるように意識しました。

即席麺ということで私たちの生活にも身近な両社。
新商品の発表や売れ筋商品を直接肌で感じやすいのも、こうした生活に身近な銘柄のいいところですね。

この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。

本日もお読み頂きありがとうございました!

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