2022年10月21日(金)、ドル円相場は一時「1ドル151円」を超えました!
最近は為替のニュース、円安ドル高のニュースが絶えません。
日本では「円安」と表現されることが多いですが、為替は相対的なもので、「円安」であると同時に「ドル高」でもあります。
色々な通貨の中でも今年は特に円は安く、ドルは高く、ドル/円の為替レートは様々な為替レートの中でも非常に大きな変動をしています。
この記事では、米国企業の目線で「ドル高」が業績にどのように影響するのか、事例を交えて紹介します。
■ドル高という現状
今、とにかくドルが強いんです!
主要10通貨の強弱を示したのが以下のグラフです。
米国ドルが強い一方、日本円が非常に弱いことがわかります。
世界的なインフレ抑制のため、米・連邦準備制度理事会(FRB)が強烈な利上げを実施する一方で、日銀は利上げに踏み切れないことが一番の要因です。
お金は金利が高いところに集まりますので、ドルの価値が上がり(ドル高)、円の価値が下がる(円安)ことは当然ですね。
日本円以外の通貨と比べても、ドルの上昇は非常に強いことがわかります。
ドル高になると米国の企業業績にどのような影響をもたらすでしょうか?
■ドル高になると米国企業業績にどう影響?
簡単なモデルを使って説明します。
例として、ドイツで事業を展開する米国企業をイメージしてください。
とある年の1年間の業績は以下の通りでした。
この年の為替レートは「1ユーロ1.2ドル」とします。
米国企業ですので、外国での売上や利益はドルに変換して決算発表を行います。
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さて、翌年もまた、この会社はヨーロッパで前年と同額の売上・利益を稼ぎました。
この年の為替レートは「1ユーロ1.0ドル」と、前年よりも「ドル高」になったとします。
(1ユーロの価値が1.2ドルから1.0ドルに下がりました。「ユーロ安」です。
つまり、相対的にドルの価値が上がった、「ドル高」になった、ということです。)
前年と同様に、外国での売上や利益はドルに変換して決算発表を行います。
現地通貨建てでの売上高は変わっていないのに、ドルに換算すると、売上も利益も減少してしまいました。
これがドル高になることによるリスクです。
米国国内だけで事業を行っている企業であれば為替変動の影響は小さいですが、外国での売上高比率が大きい企業はドル高によるネガティブな影響を強く受けることになります。
私たち日本人が投資対象として考えている米国株は、誰もが知っているような大企業、日本も含めて世界に事業展開しているグローバル企業が多いと思いますので、注意が必要です!
■最近の決算発表での事例
最近発表された決算発表から、具体的な影響を見ていきましょう。
・アクセンチュアの事例
アクセンチュアは世界最大の経営コンサルティング会社です。
2022/9/22(木)に発表した2022年6~8月期(第4四半期)決算の説明資料には、地域別の売上高の記載があります。
ヨーロッパ地域(Europe)の売上高に注目してください。
現地通貨建て(Local Currency)では+26%の増収にもかかわらず、ドル建て(U.S. Dollars)に換算すると、+12%の増収にとどまっています。
ドル高ユーロ安が進んだことにより、ドル建ての売上高は大きく目減りしてしまいました。
なお、2022年8月期累計の地域別売上高構成比は以下の通りです。
為替の影響を受けない北米(North America)が全体の47%と主力ではありますが、ヨーロッパが33%、日本も含めたその他の地域(Growth Markets)が20%と、売上高の半分以上が為替変動リスクにさらされています。
今後ドル高が進むようだと、売上高増収率低迷の要因にもなり得ますので、注意が必要です。
2022/9/22(木)に発表した2022年6~8月期(第4四半期)決算については、以下の記事にまとめています!よろしければ読んでみて下さい!
参考:【アクセンチュア】22/9/22決算発表内容と私の投資戦略
・ナイキの事例
世界中のスポーツ選手に愛されるブランド、ナイキ。
本社は米国・アトランタですが、世界中でビジネスを展開しています。
2022/9/29(木)に発表した2022年6~8月期(第1四半期)決算の説明資料には、地域別の売上高の記載があります。
ヨーロッパ・中東・アフリカ(Europe, Middle East & Africa)の売上高を抜粋したのが以下です。
為替変動を除いた現地通貨建(% Change Excluding Currency Changes)の売上高は+17%と成長したにも関わらず、ドル建に換算にすると+1%です。
アクセンチュアと同じく、ナイキもまたドル高が進んだことにより、ドル建ての売上高は大きく目減りしてしまいました。
なお、2022年6~8月期(第1四半期)の地域別売上高構成比は以下の通りです。
為替の影響を受けない北米(North America)が全体の46%と主力ではありますが、上記のヨーロッパ・中東・アフリカが全体の28%、中国(Greater Chana)が14%、日本も含めたアジア太平洋地域・中南米地域が13%と、こちらも売上高の半分以上が為替変動リスクにさらされています。
ドル高が今後も継続するのか、やはり気になりますね。
2022/9/29(木)に発表した2022年6~8月期(第1四半期)決算については、以下の記事にまとめています!よろしければ読んでみて下さい!
■おわりに
為替の影響、いかがでしたでしょうか?
現地通貨建てでは増収増益でも、ドル高が進むことで、ドル換算すると減収減益となってしまうこともありえます。
グローバルに事業を展開する米国企業であればあるほど、ドル高の影響を大きく受けます。
私たちが投資対象にする企業の多くがグローバル企業でしょうから、投資する際は円高が与える悪影響も少し頭に入れた上で、判断したいものですね。
また、円安ドル高という状況は、主に日本円を持っている私たち日本人が米国株投資をする上では、決して有利な状況ではありません。
株価下落のリスクに加え、為替下落のリスクも抱えることになりますので、より慎重な判断が必要となります。
円安ドル高下での米国株投資についての注意点を、以下の記事にまとめています。よろしければ読んでみて下さい!
参考:米国株投資戦略~24年ぶりの円安の今、米国株を買うべきか?
この記事が米国株投資をしている皆さんにとって少しでも参考になったのであれば嬉しいです。
本日もお読み頂きありがとうございました!
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