【決算書比較】テスラとゼネラルモーターズ、あなたはどちらがお好み?(2022年7-9月期)

決算分析

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興味がある方は、以下の記事をご参照下さい。

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あなたに質問です!
米国を代表する自動車メーカーといえばどこでしょうか?

かつては「ビッグ・スリー」と呼ばれる大手3社(フォードゼネラルモーターズクライスラー)が市場を占有していましたが、近年ではEV大手のテスラの台頭もあり、業界地図が塗り替えられようとしています。

Twitterで、テスラかゼネラルモーターズ(以下「GM」と記載します)、どちらの株を買いたいかアンケートを取った結果は以下の通りです。

8割の方が「テスラ株を買いたい!」を選び、GMに圧倒的に差をつけました。
世代交代を感じさせる結果となりました。


この記事では、近年成長著しいテスラと、「ビッグ・スリー」の一角であるGMの決算書を比較します。

複数の会社の決算書を比較することで、その会社の個性がよりわかるようになります。

両社の違いを感じて頂き、少しでもあなたの投資の参考になれば嬉しいです。

なお、この記事では、主に今年10月に発表された2022年7~9月期決算(第3四半期決算)の数値を用いて比較します。

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■PL(損益計算書)の比較

まずはPLを比較します。

・売上高

2022年7~9月期(第3四半期)及びQ3累計の売上高・増収率は以下の通りです。

売上高はGMがテスラの倍近く上回りました。
両社とも前年同期(2021年7~9月)比で+50%を超える増収となりました。

テスラの売上高は四半期として過去最高、GMの売上高は第3四半期として過去最高となりました。


Q3累計で見ると、テスラは+58.3%、GMは+21.6%と、テスラの方が累計では強い成長を示しています。

過去12年間(2010年12月期~2021年12月期)の売上高の推移は以下の通りです。


GMの売上高が伸び悩んでいるのに対し、テスラの売上高は右肩上がりに増加しています。

両社の売上高は、2021年12月期では約2.2倍の差がありましたが、今期Q3でその差は約2.0倍となりました。

年々差が詰まっています。

わずか6年前の2016年に、両社の売上高は約21倍の開きがありましたので、近年テスラが急速に成長していることが見て取れます。

・営業利益

2022年7~9月期(第3四半期)及びQ3累計の営業利益は以下の通りです。

売上高では倍の差をつけられているテスラですが、営業利益ではなんとGMを上回ります!

前年同期(2021年7~9月)比でテスラは+84.0%、GMは+106.2%と、両社とも大幅増益となりました。

Q3累計で見ると、テスラは+149.5%と驚異的な増益である一方、GMは▲1.3%の減益でした。

過去12年間(2010年12月期~2021年12月期)の営業利益の推移は以下の通りです。

テスラは2019年12月期までは通期営業利益は赤字でした。

2020年12月期に初めて通期営業利益が黒字化すると、翌2021年12月期には増益率+227%(営業利益3.3倍)と、急成長を遂げました。

GMは12年間のうち、巨額の営業赤字を計上した2012年12月期以外は黒字です。
営業利益の金額は上がったり下がったり、安定感はありません。

・純利益

2022年7~9月期(第3四半期)及びQ3累計の純利益は以下の通りです。

Q3の純利益額はGMがわずかに上回りました。

GMも+36.6%と大きく利益を伸ばしましたが、テスラは+103.5%倍増!)とさらに大きく利益を伸ばしました。

Q3累計で見ると、テスラの純利益が上回ります。

テスラは+177.3%の大幅増益、GMは▲4.1%の減益と、営業利益同様に明暗が分かれています。

過去12年間(2010年12月期~2021年12月期)の純利益の推移は以下の通りです。

2021年12月期でも純利益は1.8倍の差がありましたが、今期Q3累計ではテスラが上回っていますので、通期としては、今期初めてテスラが逆転するかもしれません。

・利益率・ROE

2022年7~9月期(第3四半期)及びQ3累計の利益率・ROEは以下の通りです。


売上高では倍の差をつけられているテスラが、営業利益・純利益ではGMを上回っていることからもわかる通り、テスラの利益率が圧倒的に高いです。

Q3累計で見ると、売上高営業利益率は10.3ポイント、売上高純利益率は8.5ポイントも高いです。

株主資本をどれだけ効率的に利益に結びつけられているかを示すROEも13.5ポイントの差をつけています。

売上高営業利益率の推移をグラフにすると以下の通りです。

GMは、2021年12月期は7.3%と他の年と比べると高い利益率でしたが、その他の年(赤字の2012年12月期は除く)は1.0%~5.9%それほど高くありません。

テスラは2019年12月期までは赤字でしたのでマイナス圏ですが、黒字化後の2020年12月期は6.3%、2021年12月期は12.1%と利益率が大きく改善しました。

今期Q3累計での売上高営業利益率は17.1%ですので、さらに利益率が高まっています。

■BS(貸借対照表)の比較

2022年7~9月期(第3四半期)の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。

資産合計はGMがテスラの3.5倍と大きく上回っています。

これだけの規模の差があるにもかかわらず、現金はテスラの方が多いです。

現金に対する有利子負債の大きさを見ると、GMは現金の5.4倍もの有利子負債を抱えているのに対し、テスラは現金の1/6しか有利子負債がありません。

自己資本比率が28.4ポイントも違うことからもわかるように、財務の安全性はテスラの方が圧倒的に良好です。

両社のBSを図にすると以下の通りです。

■CF(キャシュフロー計算書)の比較

続いて、CFを比較します。

2022年1~9月累計(第3四半期累計)のCFの概要は以下の通りです。


両社とも、本業から生み出すキャッシュ(営業CF)はプラスです。

①投資CFはGMの方が大きいこと
②財務CFはテスラがマイナスである一方GMはプラスであること

この2点が今期の特徴的なところです。

CFの概要を図にすると以下の通りです。

まずはテスラです。

財務CFの主な内容は借入金の返済です。

本業でしっかり稼ぎ(営業CF)、そのキャッシュを使って借入金を返済し、財務体質を改善させています。

テスラの現金・有利子負債の四半期推移は以下の通りです。

有利子負債が四半期ごとに減少していっていることがわかります。
一方で現金は増加しています。

稼ぐ力の強さが表れています。

続いてGMです。

投資CFのマイナスが大きい主な要因はGMの金融サービス部門である「GM Financial」における金融債権の購入(Purchases of finance receivables)です。

財務CFがプラスになっている要因は、子会社優先株式の発行(償還)(Issuance (redemptions) of subsidiary preferred stock)です。

■その他の項目(株価、配当など)

株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。

・PER・株価

PERは投資を検討する際に気になることの一つです。

テスラは62.8倍、GMは5.9倍と、GMの方が割安です。

両社の株価の推移は以下の通りです。

まずはテスラです。

※テスラの株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

通期業績が黒字化となった2020年、2021年と、株価は急激に上昇しました。
コロナ禍の2020年1年間でテスラの株価は約8倍上昇しました。

2022年に入ってからは軟調な展開です。

続いて、GMです。

※GMの株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

コロナ前の2018年、2019年は30ドル~40ドルの間での動きが多く、現在の株価もこの頃と同じ水準です。

2018年は増収減益、2019年は減収減益、2020年は減収増益と、なかなかさえない展開が続いていましたが、2021年は増収増益となりました。

今期2022年は増収減益予想、来期2023年も増収減益予想なっており、株価もなかなかさえない展開が続きそうです。

・配当

テスラは無配です。

GMは配当がありますが、配当性向は2.8%、配当利回りは0.47%といずれも低く、株主還元に積極的とはいえません。

両銘柄とも、配当目当てで買うべき対象ではありません。

■おわりに

米・自動車産業を代表する2社の比較、いかがでしたでしょうか?

グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的に両社の違いを感じて頂けるように意識しました。

イメージ通りという方も多いと思いますが、テスラの急成長ぶりが様々な数値やグラフから感じとれたのではないでしょうか。

売上高の規模、BSの規模ではまだまだGMの方が大きいですが、今期通期の純利益でテスラがGMを逆転するようなことがあれば、米・自動車産業の変化を象徴するような大きな話題になるかもしれませんね。

私自身テスラ株を持っていますので、今後ますます成長していくことを期待したいと思います。

この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。

本日もお読み頂きありがとうございました!


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