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最近モノの値段が高くて苦しい!
という方も多いのではないでしょうか?
長く続いたデフレの時代から、インフレの時代に突入してきています。
低金利の時代から、だんだんと金利上昇の時代になった時、巨額の有利子負債を抱える企業の経営は苦しくなっていく可能性があります。
有利子負債の比率が気になる会社を6社を紹介します。
■金利上昇が上がるとどうなる?BSとPLのつながり
有利子負債が多い会社はなぜ、金利が上がると経営が苦しくなる可能性があるの?
BS(貸借対照表)とPL(損益計算書)のつながりからイメージを膨らましてみましょう。
『金持ち父さん貧乏父さん』シリーズを読んだ方にはおなじみだと思いますが、BSとPLは以下のようにつながっています。
・良い資産を持っていると、そこから収益が生み出される。
・悪い負債を持っていると、それによって費用が増大していく。
・だから悪い負債を断ち切り、良い資産を持ちましょう。
これが金持ち父さんのシンプルな教えです。
銀行からの借入金や、資金調達のために発行した社債など、「有利子負債」と呼ばれる借金は文字通り「負債」で、利息の支払いという形で費用が発生します。
支払う必要がある利息は、「有利子負債の金額 × 金利」で計算されます。
つまり、
有利子負債の金額が大きいほど、金利負担は大きくなり、金利が高いほど、金利負担は大きくなります。
現在大きな有利子負債を抱えている企業は、金利が上がる時代に苦しいということになるかもしれません。
具体的にいくつかの企業の決算書を覗いてみましょう!
■有利子負債の比率が気になる会社6選
有利子負債の比率が気になるのは、日本製鉄(5401)、ANAホールディングス(9202)、JR東海(9022)、ソフトバンク(9434)、楽天G(4755)、レノバ(9519)の6社です。
■日本製鉄(5401)
日本製鉄の2024年3月期第2四半期時点の貸借対照表を図解すると、以下の通りです。
なお、あまり一般的ではありませんが、「有利子負債」と「現金」の比率がよりわかりやすく見えるように、その2つを抜き出し、色を分けてBSを表現しています。
バランスを意識してご覧下さい。
(以下、他の会社も同様に表現。金額は百万円単位。)
有利子負債の額は3兆728億円と巨額です!
手元で保有している現金が6,551億円ですから、実に4.7倍!
今すぐ有利子負債を返せと言われても返せません。
資産合計に占める有利子負債の割合は28.8%です。
日本製鉄では、つい先日2023年12月18日(月)、米鉄鋼大手のUSスチールを約2兆円で買収することが発表されました。
プレスリリースには「本買収を実行するための資金調達につきましては、主として主要取引銀行からの借入金で対応する予定であり、資金の手当てを確保しております。」
と記載がありました。
有利子負債の比率は今後グッと上昇することが予想されます。
金利上昇の逆風を跳ね返して「総合力世界No.1鉄鋼メーカー」にまで成長していけるのか、今後の動向に注目です。
■ANAホールディングス(9202)
ANAホールディングスの2024年3月期第2四半期時点の貸借対照表を図解すると、以下の通りです。
有利子負債の額は1兆5486億円。
手元で保有している現金が6,388億円ですから、約2.4倍です!
資産合計に占める有利子負債の割合は43.6%と、企業資本の4割以上の調達源泉が有利子負債ということで、比率が非常に高いです。
競合の日本航空(JAL)も34.5%と比率が高いですが、ANAはより有利子負債の比率が高いです。
なお、コロナ禍前の2019年3月期の有利子負債の額は7,700億円、資産合計に占める割合は28.7%でしたので、コロナの打撃により有利子負債の金額も割合も増加したことが伺えます。
現金を手厚くしていることもよくわかります。
人流の正常化、業績の回復に伴い今後財務体質が改善していくか、注目です。
■JR東海(9022)
JR東海の2024年3月期第2四半期時点の貸借対照表を図解すると、以下の通りです。
有利子負債の額は4兆3491億円!
手元で保有している現金が5,035億円ですから、約8.6倍です!
資産合計に占める有利子負債の割合は45.5%と、企業資本の半分近くの調達源泉が有利子負債ということで、比率が非常に高いです。
JR東海で特徴的なのは有利子負債の内容です。
4.3兆円のうち、実に3兆円は「中央新幹線建設長期借入金」!
有利子負債の約7割が話題のリニア中央新幹線のための借入金というわけです。
水資源や環境への影響を懸念する静岡県が工事に反対し、着工のメドがたたず、先日2023年12月14日にJR東海が国土交通大臣に提出した建設認可申請書では、工事完了時期をこれまでの「2027年」から「27年以降」に変更しました。
着工が進まず借入金の借入期間が長期化すれば、その分支払う必要のある利息も増えます。
借りている額が巨額なだけに、その影響は小さくありません。
今後も静岡県との協議の推移が注目されます。
■ソフトバンク(9434)
ソフトバンクの2024年3月期第2四半期時点の貸借対照表を図解すると、以下の通りです。
有利子負債の額は6兆3259億円!!
ソフトバンクは銀行事業(PayPay銀行)も行っているため、手元現金も2兆113億円と多いですが、有利子負債はその現金の約3.1倍です!
資産合計に占める有利子負債の割合は42.1%です。
本業の通信事業においては基地局の建設などで多額の資金が必要となるため、多額の有利子負債を抱えています。
■楽天G(4755)
楽天Gの2023年12月期第3四半期時点の貸借対照表を図解すると、以下の通りです。
なお、楽天GのBSは流動資産・固定資産、流動負債・固定負債の分類がありません。
有利子負債の額は4兆8133億円!
手元現金と有利子負債は同水準です。
資産合計に占める有利子負債の割合は22.2%と、ソフトバンクに比べると随分低いです。
ただし、銀行事業の預金額はソフトバンクの1.5兆円に対し、楽天Gは9.1兆円もあるため、手元現金と有利子負債が同水準、資産合計に占める有利子負債の比率が高くないからといって全く楽観はできません。
投資界隈でもよく取り上げられていますが、楽天Gは来年以降1兆円を超える巨額の社債償還が迫っています。
楽天、解体寸前?!向こう5年で1.2兆円!借金返済地獄が迫る! | かたつむり君の決算分析&個別株投資ブログ
直近で最後に通期黒字だった2018年12月期の有利子負債の額は1兆2341億円、資産合計に占める割合は16.8%でしたので、約5年間で有利子負債の規模が約3.9倍と膨らんでいることがわかります。
銀行事業の預金額も2.3兆円から9.1兆円に、約3.9倍増加していることもあり、BSの規模は大きくなっているものの、純資産の額はほとんど変わっていません。
2023年12月期は、5期連続の最終赤字が見込まれます。
苦戦するモバイル事業の収益が来期以降改善するのか、楽天浮上のカギは明確です。
今後も動向に注目です。
■レノバ(9519)
レノバの2024年3月期第2四半期時点の貸借対照表を図解すると、以下の通りです。
有利子負債の額は1907億円。
これまで紹介した5社と比べると企業の規模は小さいですが、手元現金の約9.7倍、資産合計に占める有利子負債の割合は60.1%と、他社と比べても有利子負債の比率が非常に高いです。
太陽光発電やバイオマス発電など、再生可能エネルギー施設の開発運営を行う同社。
多額の投資が先行するビジネスモデルということはありますが、上述の大企業と比べると収益を安定して稼ぐ力はまだまだ弱く不安定です。
まだまだ規模の小さい同社にとっては利息の支払いは軽くはありません。
今後投資の元本や利払いを回収するだけの収益を上げていけるのか、果実を得る前にキャッシュが尽きてしまうことがないか、PLだけでなくBSの推移も見守っていきたいと思います。
■おわりに
貸借対照表における有利子負債の比率が気になる会社を6社紹介しました。
皆さんが注目している会社もありましたか?
低金利の時代から、金利が上昇する時代に変わっていく中で、利息の支払いが企業経営に与える影響度は今まで以上に増していきます。
PLばかりが注目されがちではありますが、BSがどのような状態なのかはPLにも少なからず影響を与えますので、BSを見る目も養っていきたいですね。
冒頭でも少し触れた『金持ち父さん貧乏父さん』では、必ずしも「有利子負債(借金)=悪」とは捉えていません。
借金には「良い借金」と「悪い借金」があると説いています。
借金をして、それに対する利息を払ってでも、その利息以上のリターン(収益)が得られるのであれば、その借金は「良い借金」です。
借金の力を上手に活用して事業を成長させていければ、自己資本だけの場合と比べて、より効率的に、より大きく事業を育てられる可能性も秘めています。
今日紹介した6社に限らず、有利子負債を抱える会社が、利息の増加に苦しむのか、それを跳ね返せるくらいの大きなリターンを手に入れられるのか、その経営方針や業績推移をしっかり見守っていきたいですし、投資家として見極める目を養っていきたいですね!
この記事が少しでも皆さんの投資の参考になれば幸いです。
本日もお読み頂きありがとうございました!
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