【ネットフリックス】22/1/20決算発表内容と私の投資戦略

決算分析

個別株投資で毎年資産+10%を目指すサラリーマン投資家、かたつむり君です。

通勤時間や平日の夜、週末の時間を使って、売買候補となる銘柄の研究を行っています。
日々様々な情報が飛び交いますが、特に年に4回(四半期に1回)行われる決算発表は、企業の業績・状態を把握し、今後の投資戦略を考える上でとても重要な情報です。

この記事では、私が保有中 or 気になっている銘柄の決算発表内容をチェックし、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。

記載している銘柄を推奨しているわけではありませんが、私の視点や考え方が読者の方の参考になれば嬉しいです。

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■本日のチェック銘柄

今日チェックするのは米・動画配信大手のネットフリックス(ティッカーシンボル:NFLX)です。
NASDAQ上場で、決算期は12月です。
SBI証券お客様サイト内の銘柄サマリー情報より数値を抜粋すると、時価総額は2,251億ドル、従業員数は9,400人です。

私がこの会社に注目している理由は、未来のメディアの在り方を変える可能性があると思っているからです。
スポンサーからの広告収入ではなく、利用者からお金を取るビジネスモデルである同社。
継続的に利用してもらうためには魅力的なコンテンツを作り続ける必要があり、そのためにコンテンツに対して莫大な資金を投じています。

ユーザーにとっての価値を追求する姿勢が現在のテレビとは全く異なり、近い将来テレビは駆逐され、ネットフリックスがエンターテイメントの中心になっているのではないかと予想しています。
なお、現在私はネットフリックスの株を1株保有しています。

■決算発表内容の概要

2022/1/20(木)に発表した2021年12月期第4四半期決算の主な内容は以下の通りです。

【主な決算発表内容】(単位:百万ドル)

売上高 (Revenues):7,709(前年同期:6,644 前年同期比: +16.0%)
営業利益(Operating Income):632(前年同期:954 前年同期比:▲33.8%)
純利益 (Net income):607(前年同期:542 前年同期比:+12.0%)
資産合計(Total assets):44,585(前期末:39,280)
自己資本(Total stockholders’ equity):15,849(前期末:11,065)
現金  (Cash and cash equivalents):6,028(前期末:8,206)
有利子負債(Short-term debt, Long-term debt):15,393(前期末:16,309)
営業CF(Net cash provided by (used in) operating activities):▲403(前年同期:▲138)
投資CF(Net cash used in investing activities):▲954(前年同期:▲146)
財務CF(Net cash provided by (used in) financing activities):▲136(前年同期:+34)

■決算発表内容分析のものさし

決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。

それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。

★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)

【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100

【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上

★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)

【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%)      =純利益÷自己資本×100
※四半期決算時は純利益を年換算し算定

【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE      :15%以上

★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か

【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100

【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。)

★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か

【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること

■決算発表内容分析

それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。

●成長性のチェック

Q4の売上高は前年同期比+16.0%でした。
営業利益は同▲33.8%でした。
純利益は同+12.0%でした。

Q4の売上高、純利益は、指標にしている+10%を上回る成長となりました。
一方、営業利益は▲33.8%の減益となりました。
昨年10月に発表したQ3決算では+33.5%の増収でしたので、大きく悪化しました。
この要因は売上原価や販売管理費の増加が、売上高の増加を大きく上回ったためです。
売上原価(Cost of revenues)は+25%(4,207→5,240)、
マーケティング費(Marketing)は+25%(636→793)、
技術開発費(Technology and development)は+14%(564→647)、
一般管理費(General and administrative)は+24%(322→398)、
4項目中3項目が約25%の増加となり、売上高の増加(+16%)を大きく上回りました。

通期(12ヶ月累計)で見ると、売上高は前年同期比+18.8%、営業利益は同+35.1%、純利益は+85.3%と、大幅な増収増益となりました。

●収益性のチェック

Q4の売上高営業利益率は8.2%、売上高純利益率は7.9%、ROEは32.3%でした。

利益率は目安としている15%、10%には届きませんでした。
通期で見ると、売上高営業利益率は20.9%、売上高純利益率は17.2%と高い収益性を示しました。
ROE32%と、株主資本を非常に効率よく利益に結びつけています。

過去3年の利益率を見ると、
売上高営業利益率は10.2%、12.9%、18.3%、
売上高純利益率は7.7%、9.3%、11.0% です。
年々利益率が高まってきています。

●安全性のチェック

自己資本比率は35.5%でした。
保有している現金は6,028、有利子負債は15,393でした。
有利子負債が現金を約2.5倍上回りました。

有利子負債が保有現金より多いことや、自己資本比率がさほど高くないことから、安全性はそれほど優れているとは言えなさそうです。
安定的に本業からキャッシュを稼げているか(営業CFがプラスか)に注目していく必要があります。

●キャッシュ創出力のチェック

Q4の営業CFは▲403と、キャッシュアウトとなりました。
営業利益は632とプラスでしたが、キャッシュの流入が伴っていない状態となります。

通期で見ると、営業CFは+393、投資CFは▲1,340、財務CFは▲1,150でした。
前年通期は、営業CFは+2,427、投資CFは▲505、財務CFは+1,237でした。

本業からのキャッシュ創出力を示す営業CFが、前期に比べて非常に少なくなっていること、また営業利益の金額に対してキャッシュインの金額が非常に少ないことは、懸念事項です。

■業績予想(会社発表)に対する進捗度

SBI証券お客様サイト内の財務詳細情報に記載されている今期業績予想に対する進捗度をチェックします。
業績予想に対する進捗度は、年間の業績予想が妥当なものかを考える上で大切な指標です。
もし進捗度が高い場合は、業績予想の上方修正が発表される可能性もあります。
Q1は25%、Q2は50%、Q3は75%、Q4は100%を超えている場合を優秀と定義して、チェックしていきます。
もちろん企業によって季節波動がありますので、単純に数値だけをみるのではなく、前年度の四半期進捗を参考にするのも大事ですね。

売上高の進捗度は100.0%、純利益の進捗度は104.5%でした。
(営業利益は予想がないため割愛します。)

■来期の業績予想から見る将来成長性

SBI証券お客様サイト内の財務詳細情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。

※SBI証券お客様サイトより、同社の業績予想を抜粋

来期の売上高成長率は+14.9%、純利益成長率は+21.9%と予想されています。
(営業利益は業績予想がないため割愛します。)

売上高、純利益とも指標にしている+10%を上回る成長予想となっています。

今期までも含めた直近4年の成長率は以下の通りです。
売上高:+35.1%、+27.6%、+24.0%、+18.8%
純利益:+116.7%、+54.1%、+47.9%、+85.3%

非常に高い成長性を示してきたことと比べると、来期の成長率はやや物足りなさを感じるところです。

来期のQ1(1月~3月)の新規契約者数は、250万人予想となっており、以下のグラフを見ても、成長鈍化を感じさせる予想となりました。

※2021/1/21(金) ニュース『モーニング・サテライト』より抜粋

■株価水準とチャートの動き

1/21(金)の終値は397ドルです。PERは47倍です。

※SBI証券お客様サイトより、同社の株価情報を抜粋

過去5年の株価の動き(週足)は以下の通りです。

※SBI証券お客様サイトより、同社の株価チャートを抜粋

コロナショック後、巣ごもり需要期待もあり株価は大きく上昇していましたが、今回の決算発表を受けて、株価は1日で▲21.8%と大きく下落しました。

来期Q1の新規契約者数鈍化の見通しもあり、また世界的にグロース株からの資金流出が進んでいることもあり、次の決算発表(4月)までは軟調な展開になりそうです。

■私の投資戦略

以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。

通期業績としては売上高・利益率とも高い成長性、収益性を示しましたが、Q4(2021年10月~12月)については、営業利益が減益となるなど、減速感も見受けられる決算でした。

Q3に続き、心配なのはキャッシュ創出力です。
本業からのキャッシュ創出力を示す営業CFが、前期に比べて非常に少なくなっていること、また営業利益の金額に対してキャッシュインの金額が非常に少ないことは、とても懸念しています。
有利子負債が多く、積極的に借入を行い事業に投資をしていくのは同社のスタイルですが、本業からしっかりとキャッシュが生み出せないことは、投資対象として不安を感じる部分です。

決算発表後に株価は大きく下落しましたが、財務状態に不安も感じているため、追加での購入は考えていません。
保有が1株のみで、本日現在投資資産に占める比率は1%以下ですので、引き続き保有を継続しますが、もしもっと大きな金額を持っていたら、少しポジションを減らしたいと思う状態かなと感じています。

目先の成長不安、財務上の懸念はあるものの、5年先、10年先にこの会社がどうなっているのかが楽しみでもありますので、株価の下落が続いても基本的には保有を続ける考えです。
以上が私の戦略です。

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■まとめ

私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になったのであれば嬉しいです。

私が銘柄選びの基準や、仕掛けるタイミングについて参考にした書籍は以下の通りですのでよろしければ読んでみて下さい。

毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!

■参考:同社に関する過去の記事

【ネットフリックス】21/10/19決算発表内容と私の投資戦略
※2021/10/19(火)に発表した2021年7~9月期(第3四半期)決算についての記事です。

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