【ユナイテッド エアラインズ】22/1/19決算発表内容と私の投資戦略

決算分析

個別株投資で毎年資産+10%を目指すサラリーマン投資家、かたつむり君です。

通勤時間や平日の夜、週末の時間を使って、売買候補となる銘柄の研究を行っています。
日々様々な情報が飛び交いますが、特に年に4回(四半期に1回)行われる決算発表は、企業の業績・状態を把握し、今後の投資戦略を考える上でとても重要な情報です。

この記事では、私が保有中 or 気になっている銘柄の決算発表内容をチェックし、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。

記載している銘柄を推奨しているわけではありませんが、私の視点や考え方が読者の方の参考になれば嬉しいです。

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■本日のチェック銘柄

今日チェックするのは米航空大手のユナイテッド エアラインズ(ティッカーシンボル:UAL)です。
NASDAQ上場で、決算期は12月です。
SBI証券お客様サイト内の銘柄サマリー情報より数値を抜粋すると、時価総額は138億ドル、従業員数は85,300人です。

今は苦しい環境にありますが、将来的に興味がある分野の一つが「観光」関連です。
米国を代表するエアライングループの決算内容に興味があり、今回チェックしてみました。
アメリカン航空やデルタ航空など、大手航空会社は他にもありますが、今回ユナイテッド航空を選んだのは、コロナ前最後に行った海外旅行がグアムだったのですが、その時に使ったのがユナイテッド航空で、縁を感じたこともあります(笑)

なお、現在私はユナイテッド エアラインズの株は保有していません。

■決算発表内容の概要

2022/1/19(水)に発表した2021年12月期第4四半期決算の主な内容は以下の通りです。
なお、コロナ禍で航空業界は特に2020年に大打撃を受け、2021年の前年比は反動で非常に大きくなりますので、PLについては2020年だけでなく、コロナ前の2019年とも比較していきます。

【主な決算発表内容】(単位:百万ドル)
・売上高 (Total operating revenue):
  8,192(20年:3,412 19年:10,888 20年比:+140.1% 19年比:▲24.8)
・営業利益(Operating income(loss)):
  ▲408(20年:▲2,135 19年:861 20年比:- 19年比:-)
・純利益 (Net income):
  ▲646(20年:▲1,897 19年:641 20年比:- 19年比:-)
・資産合計(Total assets):68,175(前期末:59,548)
・自己資本(Total stockholders’ equity):5,029(前期末:5,960)
・現金  (Cash and cash equivalents):18,283(前期末:11,269)
・有利子負債(Current maturities of long-term debt, Long-term debt):33,363(前期末:26,747)
・営業CF(Net cash provided by (used in) operating activities):
  +2,067(前年同期:▲4,133) ※通期
・投資CF(Net cash provided by (used in) investing activities):
  ▲1,672(前年同期:+50) ※通期
・財務CF(Net cash provided by financing activities):
  +6,396(前年同期:+12,957) ※通期

■決算発表内容分析のものさし

決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。

それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。

★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)

【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100

【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上

★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)

【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%)      =純利益÷自己資本×100
※四半期決算時は純利益を年換算し算定

【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE      :15%以上

★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か

【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100

【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。)

★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か

【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること

■決算発表内容分析

それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。

●成長性のチェック

Q4の売上高は20年同期比+140.1%、19年同期比▲30.8%でした。
通期の売上高は20年比+60.4%、19年比▲43.1%でした。

20年比では改善されましたが、コロナ前の19年比ではまだ6割弱と、低迷が続いてます。
通期の売上高を事業別に見ると、特に国をまたいだ人流が制限される中、旅客からの売上(Passenger revenue)は19年比▲49%と落ち込んでいます。(21年:20,197 20年:11,805 19年:39,625)
一方で、貨物からの売上(Cargo)は19年の約2倍と伸びています。(21年:2,349 20年:1,648 19年:1,179)
売上高の82%が旅客からの売上、貨物からの売上は10%のため、貨物の伸びが売上高全体に与えるインパクトは小さいですが、厳しい環境下での試行錯誤が見て取れます。
事業別売上高の推移をグラフにすると、各事業の傾向と影響の大きさがわかると思います。

また、四半期ごとの売上高推移をグラフにすると、だんだんと売上高が回復に向かってきていますので、今後のさらなる回復に期待したいところです。

Q4の営業利益は▲408と、20年同期の▲2,135から赤字幅は縮まりました。
19年同期は861の黒字でした。

赤字幅が縮小した要因は売上高の改善(20年同期比+140.1%)が大きいですが、19年水準まで戻るには一層の売上改善が必要となります。
経費の面を見ると、人件費(Salaries and related costs)は19年比▲16%と、需要激減に伴い人員削減を進めたことが伺えます。(21年:2,579 20年:2,168 19年:3,078)
燃料費用(Aircraft fuel)は19年比では▲13%減少していますが、売上高に比べると減少率が小さく、原油高の影響もでているようです。(21年:1,962 20年:679 19年:2,249)

純利益は▲646と、20年同期の▲1,897から赤字幅は縮まりました。
19年同期は641の黒字でした。

●収益性のチェック

今期は営業利益、純利益ともに赤字のため、収益性のチェックについては割愛します。

参考に、コロナ前の19年通期は、売上高営業利益率は9.9%、売上高純利益率は7.0%でした。
指標としている10%、15%には届きませんでしたが、個人的には意外と高いなと感じました。

●安全性のチェック

自己資本比率は7.4%でした。
保有している現金は18,283、有利子負債は33,363でした。有利子負債が現金を上回りました。

19年末の自己資本比率は21.9%でしたので、コロナ禍による需要の蒸発により、財務の安全性は大きく悪化しました。
有利子負債も19年末は14,552でしたので、倍以上増加したことになります。

コロナ鎮静化→人流回復→売上高回復→キャッシュ増加→有利子負債返済→自己資本比率改善 といったよいサイクルを作っていけるか、今後のコロナの感染状況、人流の回復具合に注目していきたいと思います。

●キャッシュ創出力のチェック

通期の営業CFは+2,067と、キャッシュインとなりました。

通期の営業利益が▲1,022とマイナスにもかかわらず営業CFがプラスなのは、減価償却費等の資金流出を伴わない費用項目の割合が大きいことが要因です。
減価償却費等(Depreciation and amortization)は2,485で、この金額は20年、19年も同水準です。

■業績予想(会社発表)に対する進捗度

SBI証券お客様サイト内の財務詳細情報に記載されている今期業績予想に対する進捗度をチェックします。
業績予想に対する進捗度は、年間の業績予想が妥当なものかを考える上で大切な指標です。
もし進捗度が高い場合は、業績予想の上方修正が発表される可能性もあります。
Q1は25%、Q2は50%、Q3は75%、Q4は100%を超えている場合を優秀と定義して、チェックしていきます。
もちろん企業によって季節波動がありますので、単純に数値だけをみるのではなく、前年度の四半期進捗を参考にするのも大事ですね。

売上高の進捗度は101.0%、純利益は▲1,997の予想に対し、▲1,964での着地となりました。
(営業利益は予想がないため割愛します。)

■来期の業績予想から見る将来成長性

SBI証券お客様サイト内の財務詳細情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。

※SBI証券お客様サイトより、同社の業績予想を抜粋

来期の売上高成長率は+66.9%の増収と予想されています。
19年の95%ほどの水準です。

純利益は▲101と予想されています。
3期連続の赤字ではありますが、赤字幅は21年から大幅に縮小され、黒字転換まであと一歩というところまでの回復が予想されています。
外部環境による影響が大きいため今後変動していく可能性は大いにあると思いますので、その点は注意が必要です。

■株価水準とチャートの動き

1/21(金)の終値は41ドルです。純利益予想が赤字のため、PER情報はありません。

※SBI証券お客様サイトより、同社の株価情報を抜粋

過去5年の株価の動き(週足)は以下の通りです。

※SBI証券お客様サイトより、同社の株価チャートを抜粋

2019年は80~100ドルの間で推移していましたが、2020年のコロナショックにより、株価は20ドルまで、実に1/4程度まで下落しました。
2021年は40~60ドルのあいだでの推移ととなりました。

■私の投資戦略

以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。

通期で見ると、売上高は20年比で増収したものの、コロナ前の19年比は6割ほど、自己資本比率も10%を切り、有利子負債は2年前の倍以上に膨らむということで、厳しい経営環境は続いています。
旅客需要もだんだんと回復傾向にありますが、コロナ感染状況次第な部分もありますので、今後も世界の感染状況を注視していきたいと思っています。

現在の財務の状況からすると、投資対象としては当てはまりませんが、株価が極端に下がっているので興味深いなと思っています。
5年後くらいまでを見据えれば、コロナ前の水準の少し手前の80ドル近くまで戻ることは十分に考えられるのではないでしょうか。
しばらくコロナの状況は不安定だと思いますが、35ドル程度まで下がれば5年で株価2倍を狙えるのではないかと思っています。
以上が私の戦略です。

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■まとめ

私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になったのであれば嬉しいです。

私が銘柄選びの基準や、仕掛けるタイミングについて参考にした書籍は以下の通りですのでよろしければ読んでみて下さい。

毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!

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