個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのはビジネスチャット事業を展開するChatwork(証券コード:4448)です。
東証グロース市場上場で、決算期は12月です。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は442億円、従業員数は連結で314名です。
同社のコーポレートミッションは「働くをもっと楽しく、創造的に」です。
私がこの会社に注目している理由は、ビジネスチャットはビジネスにおけるインフラとしてなくてはならない存在になり得ると考えているからです。
現在私はChatworkの株を200株保有しています。
■決算発表内容の概要
2023/8/10(木)に発表した2023年12月期第2四半期決算の主な内容は以下の通りです。
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比+36.0%でした。
営業利益は前期▲247百万円から今期▲428百万円と、赤字幅が拡大しました。
純利益は前期▲229百万円から今期▲422百万円と、赤字幅が拡大しました。
主力であるChatworkセグメント売上高は+39.2%と大幅増収となりました。
KPIとして掲げているCAGR40%は下回りましたが、高成長が続いています。
増収率の推移は以下の通りです。
Chatworkセグメント売上高の構成要素である登録ID数は前年同期比+16.3%、1日当たりのサービス利用者(Daily Active User:DAU)は同+8.3%増加しました。
●収益性のチェック
営業利益、純利益ともに赤字のため、収益性のチェックは割愛します。
●安全性のチェック
自己資本比率は43.0%でした。
現金1,597百万円に対し、有利子負債は1,474百万円と、現金が有利子負債を上回りました。
前期末比の増減では、現金が▲1,254百万円減少したのに対し、有利子負債は+608百万円増加しました。
過去4年(2019年12月期~2022年12月期)と今期Q2の貸借対照表の推移は以下の通りです。
2021年12月期に貸借対照表の規模が大きくなったのは、2021年Q3にクラウドストレージ事業を連結対象にしたこと、2021年12月に20億円の増資を実施したことが要因です。
前期末(22Q4)と比べると、固定資産と固定負債が大きく増加しました。
固定資産では、今年2月の(株)ミナジンの連結化によりのれんが1,049百万円増加(285百万円→1,334百万円)しました。
固定負債では、長期借入金が492百万円増加(763百万円→1,255百万円)しました。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは▲254百万円と、キャッシュアウトとなりました。
キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。
投資CFの主な内容は、「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出」が▲580百万円です。
(株)ミナジンの連結子会社化によるものです。
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
今期は業績予想を非開示で、Chatworkセグメントの売上高+40%、全体の売上高+35%を目標として掲げていましたが、今回の決算発表では通期予想の発表が行われました。
売上高は下限予想に対して44.0%の進捗です。
売上高は7月に実施した価格改定、ミナジン社連結化の影響により、前年比+44%を超える大幅増収となる見込みです。
営業利益は通期では赤字ですが、第4四半期での黒字化を目指しています。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報から、来期の業績予想を見ていきます。
参考までに、修正後の今期業績予想から、来期の四季報業績予想へは、売上高:+35.4%です。
営業利益・純利益は黒字転換予想となっています。
■株価水準とチャートの動き
8/14(月)の終値は864円。純利益が赤字のためPER情報はありません。
上場来の株価の動き(週足)は以下の通りです。
2019年9月の上場後半年もしないタイミングでコロナショックに直面したものの、その後テレワーク増加によるチャット普及期待などもあり、上場来高値の2,624円まで上昇しました。
しかし、その後業績の赤字転落もあり、株価は大きく調整し、最高値から▲88%の311円まで沈みました。
まだ営業赤字が続いていますが、売上高の成長などが再評価されたのか、昨年秋口以降、株価は上昇傾向にあります。
今回の決算発表を受け、翌営業日の8/14(月)は▲16.8%と大幅下落しましたので、今後の推移に注目です。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
売上高は+36.0%と大幅増収、営業利益・純利益は赤字幅拡大、という決算でした。
中期経営計画でも2024年までは投資フェーズと掲げていますので、営業利益・純利益の赤字は織り込み済みです。
投資を優先するため営業利益・純利益の赤字は今期いっぱい続くと思いますが、中途半端に黒字にするのではなく、売上高の伸び、特にChatworkセグメントの拡大にフォーカスしての経営を推進しており、好感を持って見守っています。
次の第3四半期以降は今年7月に実施した値上げの効果もでてきますので、楽しみです。
ビジネスチャットの国内普及率は18.6%と、まだまだ開拓余地があります。
コロナ禍をきっかけに増加した在宅勤務やDX推進の流れは間違いなく追い風です。
私が勤める会社では、Chatworkとは別の会社のチャットシステムが導入されています。
使い始めて4年ほどたちますが、気軽なコミュニケーションツールとしてとても重宝しており、今後もなくなることはないでしょう。
また、過去のやり取りの履歴はとても大切で、他社のチャットシステムに切り替えるハードル、スイッチングコストも高いと感じています。
社員間のコミュニケーションに課題を感じる会社はますます増えていくと思いますので、今後の成長を期待しています。
今年に入ってから、株価が年初来+50%まで上がったところで100株を売却し、現在は200株保有しています。
これまでの投資の果実が顕在化してくるのは2025年以降だと考えていますので、この200株についてはしばらく保有を継続する予定です。
今回の決算発表後、株価は大きく下げましたが、そんなに悪いとも思っていません。
Q4からは四半期で黒字転換を見込んでいますので、本格的に評価が高まるのは来年以降かと思っています。
売上高の力強い伸びが続いていくことを前提に、このまま株価がずるずる下がるようなら、年明けにでも追加買付を狙いたいところです。
これが私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
★★私が株式投資において参考にした書籍を以下の記事にまとめています!★★
よろしければご覧ください!
■参考:同社に関する過去の記事
・保有から1年でダブルバガー達成!Chatworkの株価はまだ上昇するか?!
※今年3月に保有していた100株を売却しました。その際の考え方をまとめました。
・キリンHD・Chatwork・アライドアーキテクツ 株主総会に行ってきました。
※2023/3/29に行われた株主総会の感想などをまとめました。
・【四季報活用術】連続赤字からの黒字転換銘柄を狙おう!
※連続赤字から黒字転換を期待できる銘柄として、Chatworkを紹介しています。
・【Chatwork】22/8/12決算発表内容と私の投資戦略
※22/8/12(金)に発表した2022年12月期第2四半期決算についての記事です。
・【Chatwork】22/5/13決算発表内容と私の投資戦略
※22/5/13(金)に発表した2022年12月期第1四半期決算についての記事です。
・【Chatwork】22/2/10決算発表内容と私の投資戦略
※22/2/10(木)に発表した2021年12月期第4四半期決算についての記事です。
・【Chatwork】21/11/12決算発表内容と私の投資戦略
※21/11/12(金)に発表した2021年12月期第3四半期決算についての記事です。
コメント
Chatworkは買いなんですね。貴重な情報ありがとうございます。
yoshiさん、コメント頂きありがとうございます!
私は買いだと思っていますが、年内は手は出さないつもりです。年が明けても低迷してたらまた考えます。
毎週末にポートフォリオの状況公開してます。売買した時はその時の考え方も書くようにしてますので、
一投資家の考えとして参考程度にご覧いただけますと幸いです。