【決算書比較】住友電工とフジクラ、あなたはどちらがお好み?(2024年3月期第2四半期)

決算分析

電線御三家」をご存知ですか?

電線を取り扱う住友電工、フジクラ、古河電工の3社を指します。

この記事では、そのうち住友電工フジクラの決算書を比較します。

複数の会社の決算書を比較することで、その会社の個性がよりわかるようになります。

両社の違いを感じて頂き、少しでもあなたの投資の参考になれば嬉しいです。

なお、この記事では、11/2(木)、11/8(水)に発表された2024年3月期決算第2四半期決算の数値を用いて比較します。

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■PL(損益計算書)の比較

まずはPLを比較します。

・売上高

2024年3月期第2四半期の売上高・増収率は以下の通りです。

売上高は住友電工が5倍以上上回りました。

「御三家」と並び称されても、その規模は大きく異なります。

住友電工はワイヤーハーネス、防振ゴム、電力ケーブルなどの拡販に加えて円安の影響もあり、9.6%の増収。
上半期として過去最高、初めて2兆円を超えました。

一方、フジクラはエレクロトニクス事業、情報通信事業の市場環境が厳しく、1.8%減収となりました。

期初の業績予想に対する進捗率は両社とも50%ほどですが、住友電工が業績予想を上方修正したのに対し、フジクラは業績予想を下方修正しました。

【住友電工】
期初:4,100,000百万円 → 4,300,000百万円

【フジクラ】
期初:770,000百万円 → 760,000百万円 

住友電工のセグメント別売上高構成比は以下の通りです。

過半の53%を占める自動車関連事業が主力です。

半導体等の部品不足の解消により世界の自動車生産回復が進み、受注数量増加に伴い生産性も改善し、前年同期比19.5%と大きく伸びました。

売上高の22%を占める環境エネルギー事業3.2%の増収。
脱炭素社会の進展が継続し、エネルギーインフラ、再エネ関連の投資が活況で、高圧電力ケーブル・送配電機器の需要が堅調でした。

フジクラのセグメント別売上高構成比は以下の通りです。

主力は売上高の38%を占める情報通信事業です。

前期に活況であったデータセンターやFTTx(※)向けで投資抑制が進んでいるものの、為替影響により+1.1%の増収でした。

※FTTx・・・Fiber To The x。光ファイバーによる有線通信における、ユーザ宅向けの網構成の方式の総称。

22%を占める自動車事業は北米での新車種立ち上げ等により17.1%増収。

一方、21%を占めるエレクトロニクス事業は前期までの巣ごもり需要の減退、顧客の投資抑制の影響により16.1%の減収でした。

過去11年(2013年3月期~2023年3月期)とこのQ2の売上高の推移は以下の通りです。

2023年3月期は、為替が円安に推移し業績を押し上げたこともありますが、両社とも過去最高の売上高を記録しました。

住友電工は売上高が初めて4兆円台となりました。 両社海外での売上高の比率が高く、2023年3月期の海外比率は、住友電工:63、フジクラ:71%でした。

・営業利益・純利益

2024年3月期第2四半期の営業利益・純利益は以下の通りです。

営業利益は2倍以上の差がありますが、純利益はわずかな差となりました。

期初の通期予想に対する進捗率、住友電工は26.7%と非常に低く見えますが、もともと下期偏重の計画であったため、上期予想(22,000百万円)は上回っています。

住友電工は営業利益・純利益の通期予想を上方修正し、フジクラは営業利益の通期予想を下方修正しました。

【住友電工】
・営業利益 
 期初:180,000百万円 → 200,000百万円
・純利益 
 期初:100,000百万円 → 110,000百万円

【フジクラ】
・営業利益 
 期初:60,000百万円 → 54,000百万円

住友電工のセグメント利益は以下の通りです。

営業利益の約半分自動車関連事業が稼ぎました。

営業利益を20,000百万円上方修正しましたが、自動車関連事業の上方修正(+25,000百万円)が主因です。

通期のセグメント利益予想は110,000百万円と、2016年度の98,600百万円を上回って過去最高を更新する見通しです。

フジクラのセグメント利益構成比は以下の通りです。

住友電工とは対照的に、自動車事業は赤字(▲1,381百万円)です。

利益面で牽引しているのは情報通信事業ですが、データセンター需要などは踊り場にあり、円安の追い風があったにもかかわらず前年同期比0.6%の減益と苦戦しています。

エレクトロニクス事業は同52%と、セグメント利益は半減しました。

稼ぎ頭の2事業が苦戦し、苦しい状況となっています。

過去11年(2013年3月期~2023年3月期)とこのQ2の営業利益・純利益の推移は以下の通りです。
(2013年3月期~2015年3月期はフジクラの営業利益のデータを確認できず。)

住友電工は2018年3月期をピークに伸び悩んでいましたが、2022年3月期から回復に転じ、2023年3月期は大きな利益をあげ、今期も好調です。
好調が今後も持続するのか、注目です。

フジクラは2020年3月期に最終赤字を計上しました。
国内製造拠点の光ファイバー関連事業(▲79億円)と欧州のワイヤハーネス事業(▲57億円)に関わる資産の減損損失計上、繰延税金資産の取り崩し(▲116億円)が原因です。
2023年3月期は営業利益・純利益ともに過去最高益を記録しましたが、今期は円安が続いているにも関わらず苦戦していますので、果たして好調が持続するのか、こちらも注目です。

・利益率・ROE

2024年3月期第2四半期の利益率・ROEは以下の通りです。

利益率・ROEはいずれもフジクラが上回りました。

過去11年(2013年3月期~2023年3月期)とこのQ2の純利益率の推移は以下の通りです。

2022年3月期からフジクラが逆転しました。

住友電工は低位安定といった感じです。

■BS(貸借対照表)の比較

次に、BSを比較します。

2024年3月期第2四半期の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。

資産合計には5.9の差があります。

売上高もそうですが、「御三家」と並び称されても、その規模は大きく異なります。

両社のBSを図にすると以下の通りです。

両者ともに流動資産(オレンジ)が負債合計(水色+黄色)を上回っていますが、流動資産のうち棚卸資産が比較的大きなウエイトを占めます。

住友電工は資産合計の22%902,187百万円)、フジクラは20%143,517百万円)が棚卸資産です。

見込んだ需要の通り将来販売できれば問題ありませんが、もし不良在庫となれば減損損失を計上するリスクもありますので、棚卸資産の推移は気にかけようと思います。

■その他の項目(株価、配当など)

株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。

・PER・株価

PERは住友電工:13.0、フジクラ:7.7です。

割安の目安とされる15倍を下回っています。

両社の株価の推移は以下の通りです。

まずは住友電工です。

※住友電工の株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

続いて、フジクラです。

※フジクラの株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

・配当・増配率

配当利回りは、住友電工:2.72%、フジクラ:3.94と、フジクラが上回りました。

配当性向は、住友電工:35.4%、フジクラ:30.3と、どちらも無理のない水準です。

住友電工は中期経営計画の目標として配当性向40%としており、下期の業績によっては増配も期待されます。

過去8年間と2024年3月期予想の両社の配当の推移は以下の通りです。

両社とも減配の年も複数あり、業績によって配当が上下する可能性がある会社であるということは認識しておく必要がありそうです。

ここ3年間でフジクラの1株配当が急激に増加していますが、今期はすでに売上高・営業利益の通期予想を下方修正しており、純利益や配当も今後修正される可能性もありますので、注意が必要です。

一方、住友電工は当期最高益が期待されますので、今後増配基調となるのか、注目です。

■おわりに

「電線御三家」のうちの2社の比較、いかがでしたでしょうか?

グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的に両社の違いを感じて頂けるように意識しました。

同じ業界とはいえ、売上高や資産規模などは大きく異なる両社。

足元の業績も好調な住友電工と軟調なフジクラと、対照的でした。

なお、直近の四季報では、それぞれ以下のようにコメントされています。

■住友電工

【横ばい圏】柱の自動車ハーネスは需要回復で数量伸長し、採算が改善。ただ、電子部品は原材料費高騰のうえ、市中在庫の調整長期化も痛い。光ファイバーもIT企業向けが、なお回復鈍い。営業益横ばい圏。
【協 業】住友理工と米バイオ技術企業の共同開発に住友ゴムと参画、廃棄物のリサイクル技術開発等に取り組む。三菱商事テクノスとは金型レス金属部品量産で協業。

■フジクラ

【連続増配】車載ハーネスは人件費増でなお水面下。電子部品も市況低迷長期化。ただ情報ケーブルは北米電力会社向け製品軸に需要減が想定より緩和。建設電販資材も上期採算改善。前号比で営業減益幅やや縮小。
【海外展開】高付加価値品を中心に光ケーブルは欧米や中東で顧客開拓を積極化。成長と同時に特定顧客への依存回避図る。車載ハーネスの新規案件は採算重視継続。

今後四季報のコメントがどう変わっていくかも、投資のヒントになりますね。

なかなか目立つ業界ではありませんが、脱炭素や情報通信といった長期的な成長分野を陰ながら支える企業として、ひそかに注目しています。

皆さんはどうお考えですか?

この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。

本日もお読み頂きありがとうございました!

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