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世界を舞台にダイナミックにビジネスを展開する総合商社。
この記事では総合商社の代表格である2社、三菱商事と三井物産の決算書を比較します。
両社の違いを感じて頂き、少しでもあなたの投資の参考になれば嬉しいです。
なお、この記事では、10/31(火)、11/2(木)に発表された2024年3月期第2四半期決算の数値を用いて比較します。
■PL(損益計算書)の比較
まずはPLを比較します。
・売上高
2024年3月期第2四半期の売上高・増収率は以下の通りです。
売上高は三菱商事が三井物産を約50%上回りました。
その額9.5兆円!
中間期でこの規模、すごいです。
両社とも減収となりましたが、過去最高の業績を上げた前期から▲10~▲14%程度の減収にとどまっています。
通期予想は両社とも非開示です。
三井物産のセグメント別売上高は以下の通りです。
生活産業、エネルギー、化学品の3セグメントが売上高構成比20%を超え、牽引しました。
前年同期比では、生活産業:▲6.0%、エネルギー:▲30.6%、化学品:▲19.4%、とそれぞれ減収となりました。
三菱商事の事業は10セグメントに分かれますが、売上高の内訳は開示されていません。
セグメント別の純利益内訳は開示されていますので、後程説明します。
過去10年間(2014年3月期~2023年3月期)とこのQ2の売上高の推移は以下の通りです。
2014年3月期、2015年3月期は三井物産の方が上回っていましたが、2016年3月期以降は三菱商事が上回っています。
・純利益
2024年3月期第2四半期の純利益は以下の通りです。
純利益はわずかに三菱商事が上回りました。
絶好調だった前期と比べるとやはり減益で、三菱商事:▲35.3%、三井物産:▲15.4%と減益となりました。
期初の通期予想に対する進捗率は三菱商事:50.7%、三井物産:51.8%と、順調な進捗で、両社とも業績予想を上方修正しました。
三菱商事は約3%(920,000百万円→950,000百万円)、三井物産は約7%(880,000百万円→940,000百万円)、上方修正しました。
期末まで両社のデッドヒートは続きそうです。
三菱商事のセグメント別純利益構成比は以下の通りです。
純利益全体の29%を占める金属資源、17%を占める天然ガスが、利益を牽引しました。
金属資源は、前年同期に豪州原料炭事業などで爆発的な利益を叩き出した反動で、前年同期比▲58%の減益です。
天然ガスは、前年同期にLNG販売事業の取引損失の反動で、前年同期比+75%の増益です。
三井物産のセグメント別純利益構成比は以下の通りです。
純利益全体の38%を占める機械・インフラ(売上高構成比:10%)、31%を占める金属資源(売上高構成比:15%)が、利益を牽引しました。
機械・インフラは、資産リサイクル益、船舶・VLI・建機好調により前年同期比+83%の増益です。
金属資源は、原料炭・鉄鉱石価格の下落により前年同期比▲46%の減益でした。
売上高牽引したと紹介した化学品(売上高構成比:21%)は純利益構成比では3%、生活産業(売上高構成比:25%)は純利益構成比では16%と、利益貢献度は売上高に比べると高くありません。
過去10年間(2014年3月期~2023年3月期)とこのQ2の純利益の推移は以下の通りです。
2016年3月期は赤字でしたが、それ以外の年は黒字です。
2022年3月期は両社とも過去最高益を記録しました。
2021年3月期のみ、三井物産が上回りましたが、それ以外の年は三菱商事が上回っていますが、近年は両社の差は肉薄しています。
毎年安定して右肩上がり、というわけではなく、市況や外部環境によってデコボコが大きいのが総合商社株の特徴です。
・利益率・ROE
2024年3月期第2四半期の利益率・ROEは以下の通りです。
利益率、ROEともに三井物産が上回りました。
過去10年間(2014年3月期~2023年3月期)とこのQ2の純利益率の推移は以下の通りです。
2016年3月期は両社とも赤字であったため、利益率がマイナスになっています。
上げ下げの大きな流れは両社とも極めて類似していると感じますが、2018年3月期以降は三井物産が純利益率で上回っています。
■BS(貸借対照表)の比較
次に、BSを比較します。
2024年3月期第2四半期の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。
資産合計は三菱商事が三井物産の1.4倍と上回りました。
一方、自己資本比率では三井物産が42.2%と、38.3%の三菱商事を上回りました。
両社のBSを図にすると以下の通りです。
貸借対照表のバランスは非常に似ています。
■CF(キャシュフロー計算書)の比較
続いて、CFを比較します。
2024年3月期第2四半期のCFの概要は以下の通りです。
両社とも、本業から生み出すキャッシュ(営業CF)はプラスです。
投資キャッシュフローが、三菱商事はプラスであるのに対し、三井物産がマイナスであるところが対照的です。
キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。
まずは三菱商事です。
続いて三井物産です。
三菱商事の投資CFは、有形固定資産等の取得による支出(▲242,545百万円)がある一方で、持分法で会計処理される投資の売却による収入(+181,459百万円)や投資不動産の売却による収入(+64,669百万円)により、プラスとなりました。
三井物産の投資CFは、持分法適用会社に対する投資の取得及び売却・回収(▲229,474百万円)、有形固定資産等の取得及び売却(▲151,406百万円)により、マイナスとなりました。
■その他の項目(株価、配当など)
株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。
・PER・株価
PERは三菱商事:10.3倍、三井物産:9.2倍です。
両社の株価の推移は以下の通りです。
まずは三菱商事です。
コロナショック後の2020年4月には一時2,100円を割るまで下落しましたが、その後資源価格の高騰などを背景に業績は絶好調、ウォーレン・バフェットによる投資も追い風となり、株価は右肩上がりでグングン上昇しました。
続いて、三井物産です。
三菱商事と同じく、コロナショックにより一時的に下落しましたが、その後力強く右肩上がりで上昇しました。
・配当・増配率
配当利回りは三菱商事:3.00%、三井物産:2.95%です。
株価の上昇により、現在の配当利回りは依然と比べるとそれほど高くありません。
両社の過去8年と2024年3月期予想の1株配当金の推移は以下の通りです。
右肩上がりの素晴らしい還元姿勢。
両社とも累進配当を掲げ、積極的な株主還元姿勢を示しています。
■おわりに
総合商社大手2社の比較、いかがでしたでしょうか?
グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的に両社の違いを感じて頂けるように意識しました。
絶好調の前年からの反動はあるものの、通期予想を上方修正した両社。
今年も総合商社の強さは健在です。
株価上昇により配当利回りはそれほど高くなくなりましたが、累進配当を掲げている株主還元姿勢は魅力の一つです。
両社とも純利益の通期予想を上方修正し、その着地予想は肉薄しています。(三菱商事:950,000百万円、三井物産:940,000百万円)
年度末にどちらがより大きな利益を残すのか、注目ですね。
この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。
本日もお読み頂きありがとうございました!
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よろしければご覧ください!
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