私は毎年資産+10%達成を目標に投資に励むサラリーマン投資家です。
通勤時間や平日の夜、週末の時間を使って、売買候補となる銘柄の研究を行っています。
日々様々な情報が飛び交いますが、特に年に4回(四半期に1回)行われる決算発表は、企業の業績・状態を把握し、今後の投資戦略を考える上でとても重要な情報です。
この記事では、私が保有中 or 気になっている銘柄の決算発表内容をチェックし、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
記載している銘柄を推奨しているわけではありませんが、私の視点や考え方が読者の方の参考になれば嬉しいです。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは家計簿アプリ『マネーフォワードME』を展開するマネーフォワード(証券コード:3994)です。
今年6月にマザーズから東証1部に市場変更されました。決算期は11月です。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は4,555億円、従業員数は連結で1,008名です。
個人向け家計簿アプリでなじみのある人が多いと思いますが、売上構成比では、個人向け(Home)は2割弱、法人向け(Business、Finance)が7割強と、法人向けの割合が高いのが特徴です。
私がこの会社に注目している理由は、
①マネーフォワードMEを使っていて、非常に使い勝手がよく、多くの人々のお金に対する意識変革に貢献するサービスだと感じているから
②同社の法人向けサービスが、会計分野におけるデジタル化に大きく貢献すると考えていくから
③辻社長の話しぶり・雰囲気が好きだから
です。
なお、現在私はマネーフォワードの株を保有していません。
■決算発表内容の概要
2021/10/15(金)に発表した2021年11月期第3四半期決算の主な内容は以下の通りです。
【主な決算発表内容】(単位:百万円)
売上高 : 11,293(前年同期: 7,970 前年同期比:+41.7%)
営業利益 : ▲401(前年同期:▲1,603 前年同期比:-)
純利益 : ▲758(前年同期:▲1,561 前年同期比:-)
資産合計 : 56,408(前期末 :21,712)
自己資本 : 41,130(前期末 : 9,618)
現金 : 38,180(前期末 : 8,920)
有利子負債: 8,679(前期末 : 6,546)
営業CF : - (前年同期:-) 開示なし
投資CF : - (前年同期:-) 開示なし
財務CF : - (前年同期:-) 開示なし
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。 それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)
【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100
【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上
★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)
【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%) =純利益÷自己資本×100
【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE :15%以上
★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か
【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100
【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。)
★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か
【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比+41.7%と、大幅な増収でした。
営業利益は▲401、純利益は▲758でした。
前年同期は営業利益が▲1,603、純利益は▲1,561でしたので、赤字幅が大きく縮小されています。
売上比率の小さい金融機関向け(X)は前年同期比で減少したものの、主力である法人向け(Business、Finance)、個人向け(Home)はともに前年同期比+40%以上の高成長となりました。
●収益性のチェック
営業利益、純利益ともに赤字で、収益性のチェックは難しいため今回は割愛します。
●安全性のチェック
自己資本比率は72.6%でした。
現金は41,130で、有利子負債8,679を大きく上回りました。
安全性は非常に良好です。
自己資本比率は前期末時点の44.3%から大きく改善されました。
これは8月に実施した海外公募増資315億円の調達によるものです。
今回公募増資により調達した資金はさらなる積極的な成長投資に使われていく予定です。
●キャッシュ創出力のチェック
キャッシュ・フロー計算書は非開示のため今回は割愛します。
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
会社が発表した業績予想に対する進捗度は、年間の業績予想が妥当なものかを考える上で大切な指標です。
もし進捗度が高い場合は、業績予想の上方修正が発表される可能性もあります。
1Qは25%、2Qは50%、3Qは75%、4Qは100%を超えている場合を優秀と定義して、チェックしていきます。
もちろん企業によって季節波動がありますので、単純に数値だけをみるのではなく、前年度の四半期進捗を参考にするのも大事ですね。
マネーフォワードでは、今期の業績予想を幅で示しています。
売上高:14,750~15,750。営業利益:▲1,196~▲796。純利益:▲1,308~▲908。
売上高の進捗度は業績予想のボトム・14,750に対して76.6%です。
概ね業績予想通りの進捗といえます。
営業利益は▲498と、通期予想に対して赤字幅が小さいです。
Q4で広告宣伝費や人件費等、何か大きな経費の計上を予定しているのでしょうか。
Q4決算に注目したいと思います。
純利益は▲758ですので、このペースで行くとの業績予想の幅に収まりそうですので、予定通りの進捗といえそうです。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報では、過去の業績に加えて、今期の業績予想、来期の業績予想が記載されています。
会社四季報の記者が会社に取材をし、分析した結果掲載されている予想値です。
会社が発表している業績予想と一致する場合もあれば、ずれることもあります。
このずれがある時は、注意が必要です。
今期の会社発表業績予想から、来期の四季報発表業績予想への成長性を見ていきます。
売上高は、+42.4%と引き続き高い成長性を維持していく見込みです。
営業利益は「0」。これまで売上高の増加、規模の拡大に注力して積極的に販管費を投じてきた同社の営業利益が、ついに黒字化か、というところまできました。
純利益は引き続き赤字予想ですが、赤字幅は非常に小さくなっています。
ここからいよいよ、これまでの投資の果実を収穫する時を迎えるのでしょう。
このままの勢いで来期にも黒字化をするのか、もしくは再度赤字幅が膨らみ足踏みするのか、注目していきたいと思います。
■株価水準とチャートの動き
純利益が赤字のため、PERが算出されないため、こちらは割愛します。
過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。
2017年9月の上場以来、2000円を挟んで推移していましたが、昨年の3月以降、株価は右肩上がりで力強く上昇しています。
企業においてはコロナ禍で在宅勤務が増加し、経理業務のデジタル化ニーズが高まったことが大きいのではないでしょうか。
また、いよいよ営業利益・純利益の黒字化が近づいてきたという期待感も株価の上昇を後押ししたのではないかと考えています。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
まず一番に評価すべきは売上高の成長性の強さです。
上場した2017年11月期から、昨年2020年11月期まで4年連続で+50%以上の増収を続けています。
これは驚異的な成長です。
今期は対前年+30~40%での着地になりそうですが、引き続き高い成長性を維持しています。
営業利益・純利益が赤字のため指標が判断できない部分も多いですが、黒字になれば、おそらく高い収益性が示されるのだと思います。
海外公募増資により財務の安全性も高まり、さらなる成長に向けた次の一手がとても楽しみな会社です。
昨年株価が大きく上昇した分(年間で+87%上昇)、もし今年大きな調整があれば仕込みたいと思い、3000円あたりまで下がったら買いたいなと思いながら観察していました。
が、残念ながら下がる気配はありませんでした。
まだまだ成長余地はあるとは思いますが、非常に人気のある銘柄ですので、安易に投資をすると高値掴みになってしまう可能性もあります。
5年で株価2倍を目指す上で、いくらで買うかはとても重要なので、しばらくは様子を見る、というのが現在の戦略です(その結果買えなくても、仕方ないですね)。
あまりネガティブなことを期待するのは良くないですが、個人事業に関しては個人の銀行口座や証券口座の情報と連携させるなど、非常にセンシティブな情報を取り扱っています。
最近は情報漏洩やサイバーセキュリティに関する被害も多くメディアで取り上げられ、世間の目も厳しいので、もしそういった関連の出来事で今後株価が大きく調整することがあれば、またその要因が一時的なことで解決可能であると考えられれば、その時には狙っていきたいと考えています。
■まとめ
長くなりましたが、お読み頂きありがとうございました!
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、上記のような観点で継続的に観察を続けています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指して日々観察をしています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になったのであれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
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