【セールスフォース】22/3/1決算発表内容と私の投資戦略

決算分析

今日はセールスフォースの決算をチェックしていきましょう♪

Slackの買収で巨大帝国ができるのかな~

どうでしょうねぇ。高額過ぎて、私は目先は結構ネガティブに捉えていますね。

君はいつも保守的だなー

皆さんこんにちは。
個別株投資で毎年資産+10%を目指すサラリーマン投資家、かたつむり君です。
(TWITTER:@posikatatsumuri


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通勤時間や平日の夜、週末の時間を使って、売買候補となる銘柄の研究を行っています。
日々様々な情報が飛び交いますが、年に4回(四半期に1回)行われる決算発表は、企業の業績・状態を把握し、今後の投資戦略を考える上で特に重要な情報です。

この記事では、私が保有中 or 気になっている銘柄の決算発表内容をチェックし、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。

記載している銘柄を推奨しているわけではありませんが、私の視点や考え方が読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。

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■本日のチェック銘柄

今日チェックするのは顧客情報管理(CRM)のクラウドサービスを提供するセールスフォース・ドットコム(ティッカーシンボル:CRM)です。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場で、決算期は1月です。
SBI証券お客様サイト内の銘柄サマリー情報より数値を抜粋すると、時価総額は2,072億ドル、従業員数は56,606人です。

私が勤める会社でもセールスフォースのシステムを導入しており、私にとっては比較的身近な銘柄です。
一昨年12月にはビジネスチャット事業を展開するスラック・テクノロジーズ(Slack)を約2兆8900億円で買収したことも話題になりました。
どのようなシナジーが生み出されて成長を続けていくのか、これから注目していこうと思っています。

なお、現在私はセールスフォース・ドットコムの株を保有していません。

■決算発表内容の概要

2022/3/1(火)に発表した2021年11~2022年1月期(第4四半期)決算の主な内容は以下の通りです。

【主な決算内容】(単位:百万ドル)
・売上高 (Total revenues):7,326(前年同期:5,817 前年同期比:+25.9%)
・営業利益(Income(loss) from operations):▲176(前年同期:193 前年同期比:-)
・純利益 (Net income(loss)):▲28(前年同期:267 前年同期比:-)
・資産合計(Total assets):95,209(前期末:66,301)
・自己資本(Total stockholders’ equity):58,131(前期末:41,493)
・現金  (Cash and cash equivalents):5,464(前期末:6,195)
・有利子負債(Noncurrent debt):10,592(前期末:2,673)
・営業CF(Net cash provided by operating activities):
 +6,000(前年同期:+4,801)※通期
・投資CF(Net cash used in investing activities):
 ▲14,536(前年同期:▲3,971)※通期
・財務CF(Net cash provided by financing activities):
 +7,838(前年同期:+1,194)※通期

■決算発表内容分析のものさし

決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。

それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。

★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)

【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100

【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上

★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)

【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%)      =純利益÷自己資本×100
※四半期決算時は純利益を年換算し算定

【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE      :15%以上

★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か

【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷資産合計×100

【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。

★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か

【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること

■決算発表内容分析

それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。

●成長性のチェック

Q4の売上高は前年同期比+25.9%でした。
営業利益は前期の黒字193から、今期は▲176の赤字となりました。
純利益は前期の黒字267から、今期は▲28の赤字となりました。

通期の売上高は前年同期比+24.7%でした。
営業利益は同+20.4%でした。
純利益は同▲64.5%でした。

売上高の93%をサブスクリプション&サポート(Subscription and support)が占めます。
その内訳は5つのセグメント(Sales、Service、Platform & Other、Marketing & Commerce、Data)に分けられますが、各セグメントともに売上高は対前年15%以上の成長となりました。
昨年7月に買収が完了したSlackの売上高は「Platform & Other」に含まれます。

※同社の決算説明資料より抜粋

売上高を地域別に見ると、AMERICAS(北米、南米)が全体の68%と主戦場で、EMEA(欧州、中東、アフリカ)が23%で続きます。

※同社の決算説明資料より抜粋

●収益性のチェック

Q4は営業利益、純利益はいずれも赤字のため、収益性のチェックは割愛します。
通期の売上高営業利益率は2.1%、売上高純利益率は5.5%でした。
ROEは2.5%でした。
いずれも指標と水準には届きませんでした。 過去3年の利益率推移は以下の通りです。
売上高営業利益率:4.0%、1.7%、 2.1%
売上高純利益率 :8.4%、0.7%、19.2%

●安全性のチェック

自己資本比率は61.1%でした。
保有している現金は5,464、有利子負債は10,592で、有利子負債が現金を上回りました。

自己資本比率は問題のない水準ではありますが、前期末と比べると、現金が▲731(6,195→5,464)と減っているのに対し、有利子負債は+7,919(2,673→10,592)と大きく増加しています。
また、現金は減少していますが、資産合計は+28,908(66,301→95,209)と大きく増えています。
この主な要因は2021年7月に完了したSlackの買収により、のれん(Goodwill)が+21,619(26,318→47,937)増加していることです。

アメリカの会計基準では、日本の会計基準のようにのれんは定期償却されないため、現時点でPLにとってマイナスの影響は出ていませんませんが、今後Slack事業の低迷があった場合には、巨額の減損損失を計上するリスクをはらんでいます。
買収後のシナジーをしっかりだしていけるのか、今後の業績推移に注目です。

●キャッシュ創出力のチェック

通期の営業CFは+6,000と、キャッシュインとなりました。
通期営業利益548を上回りました。

キャッシュの循環を見ると、
本業で得たキャッシュ(営業CF:+6,000)と、社債発行など資金調達により得たキャッシュ(財務CF:+7,838)を使い、積極的に投資をしている(投資CF:▲14,536)ことがわかります。
健全な資金繰りのパターンと言えます。

※参考:キャッシュ・フロー計算書を見るポイント!8つのパターンから資金の流れを理解しよう!

投資CF(▲14,536)の具体的な内容は、大型の企業買収(Business combinations:▲14,876)、つまりSlackの買収です。
この投資を、将来の売上高や利益の増加につなげることができるのか、来期以降注目していこうと思います。

■業績予想に対する進捗度

SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報に記載されている今期業績予想に対する進捗度をチェックします。
業績予想に対する進捗度は、年間の業績予想が妥当なものかを考える上で大切な指標です。
もし進捗度が高い場合は、業績予想の上方修正が発表される可能性もあります。
Q1は25%、Q2は50%、Q3は75%、Q4は100%を超えている場合を優秀と定義して、チェックしていきます。
もちろん企業によって季節波動がありますので、単純に数値だけをみるのではなく、前年度の四半期進捗を参考にするのも大事ですね。

業績予想に対する達成度は売上高100.4%、純利益122.1%でした。

■来期の業績予想から見る将来成長性

SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。

※SBI証券お客様サイトより、同社の業績予想を抜粋

来期の売上高成長率は+21.2%、純利益成長率は▲50.6%と予想されています。

来期は年間を通じてSlackの業績が寄与していきます。
売上高は増加するものの、利益は赤字ですので、利益面で改善への道筋が見えるかどうか、注目していきたいと思います。

※同社の決算説明資料より抜粋

■株価水準とチャートの動き

3/3(木)の終値は204ドルです。
会社発表の来期通期EPS予想(GAAP earnings per share:0.46ドル~0.48ドル)から計算するとPERは400倍を超えています。
過去5年の株価の動き(週足)は以下の通りです。

※SBI証券お客様サイトより、同社の株価チャートを抜粋

株価は右肩上がりに伸び、昨年11月には5年前から約4倍の水準になりました。
しかしそれ以降は下落を続け、現在は最高値から▲34%ほど下落した水準です。

■私の投資戦略

以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。

通期では増収減益での着地となりました。
約2兆8900億円という巨額で赤字企業のSlackを買収しました。
買収によるシナジー効果、収益改善が今後のカギで、投資家が注目しているところだと思います。
来期は減益予想になっていますし、純利益はしばらく低迷する可能性がありますので、数年後を見据えてどれだけSlack事業が将来利益を生み出せると考えるか、同社を判断する分かれ目になりそうです。
個人的にはしばらく株価は調整するのではないかと思っています。
Slackの将来性が大きいとしても、400倍を超えるPERを市場が受け入れるとは考えにくく、収益改善の道筋が見えたとしてもすでに高いPERに耐えられず下落、収益改善の道筋が見えなければもちろん下落、となるのではないかなと考えています。
特に今年のFRBの利上げが進むなど、グロース企業にとっては厳しい相場環境が続くと思われますので、なかなかの逆風の1年になると考えています。

しばらくは手を出さずに静観の予定です。
コロナ前の水準の150ドルを割るくらいまでは様子見。
その時点での同社の業績、チャートの動き、相場全体の雰囲気を見て、改めてエントリーのタイミングを探ろうと考えています。

私は今年に入ってからSlackと同じビジネスチャット事業を展開するChatwork株を買いましたが、ビジネスチャット事業はまだまだ市場開拓余地があり成長性があると考えています。
問題はあまりに高額な買収額です。
数年後に巨額の減損損失を出してしまうような気がして、尻込みしてしまうのが正直なところです。

BtoBビジネスが中心のせいか、日本人の知名度は低い銘柄だと思いますが、Slackも含めて将来的な成長が期待できる銘柄ではありますので、今後もじっくり観察を続けたいと思います。

以上が私の戦略です。

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■まとめ

私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になったのであれば嬉しいです。

私が銘柄選びの基準や、仕掛けるタイミング、投資に対する考え方について参考にしている書籍は以下の通りです。
よろしければ読んでみて下さい。

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毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!

■参考:同社に関する過去の記事

【セールスフォース】21/11/30決算発表内容と私の投資戦略
※21/11/30(火)に発表した2021年8月~10月期(第3四半期)決算についての記事です。

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