【決算書比較】日清食品HDと東洋水産、あなたはどちらがお好み?(2024年3月期第2四半期)

決算分析

皆さん、即席麺はお好きですか?

今日は即席麺の大手2社、日清食品HD東洋水産の決算書を比較します。

複数の会社の決算書を比較することで、その会社の個性がよりわかるようになります。

この記事を通して両社の違いを感じ、少しでもあなたの投資の参考になれば嬉しいです。

なお、この記事では、10/31(火)、11/9(木)に発表された2024年3月期第2四半期決算の数値を用いて比較します。

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■PL(損益計算書)の比較

まずはPLを比較します。

・売上高

2024年3月期第2四半期の売上高と増収率は以下の通りです。

売上高は日清食品HDが上回りました。

増収率は両社とも10%ほど、期初の業績予想に対する進捗率は両社とも50%前後と、ほぼ同水準でした。

日清食品HDは通期業績予想を若干上方修正しました。(710,000百万円→720,000百万円)

日清食品HDの売上高の内訳は以下の通りです。

※日清食品HDの決算説明資料より抜粋

ほとんどのセグメントで増収となりましたが、唯一中国地域のみ▲2.4%の減収となりました。
中国経済の減速表れています。

前年度通期で60.4%(為替の影響を除いても+31.1%)と強さが際立った米州地域は、今期も16.2%と力強く牽引しました。(ドルベースでは7.3%

高付加価値商品の提案強化・導入推進に加えて、価格改定効果により増収しました。

セグメント別の売上高構成比は以下の通りです。
売上高に占める海外比率は37%です。

東洋水産の売上高の内訳は以下の通りです。

※東洋水産の決算説明資料より抜粋

前年度通期で+56.2%(ドルベースでは+43.2%)と大幅増収した海外即席麺事業が、当期も+19.9%と牽引しました。(ドルベースでは16.0%

セグメント別の売上高構成比は以下の通りです。
売上高に占める海外比率は45%です。


過去13年間(2011年3月期~2023年3月期)とこのQ2の売上高の推移は以下の通りです。

2023年3月期に過去最高の売上高を記録した両社。

当期も順調に進捗しています。

日清食品HDは2019年3月期以外は増収、東洋水産は2017年3月期、2022年3月期以外は増収です。

日本国内は人口減少が進んでいますが、両社とも海外比率が35%を超え、積極的に海外展開を進めていることも、安定して増収を続けられている要因と感じます。

・営業利益・純利益

2024年3月期第2四半期の営業利益・純利益は以下の通りです。

営業利益・純利益ともに日清食品HDが上回りました。

両社ともに+50%を超える大幅増益でした。

期初の業績予想に対する進捗率は、日清食品HDは75%を超え、東洋水産も60%前後と、非常に順調です。

好調な業績を受けて両社ともに業績予想を上昇修正しました。

【日清食品HD】
営業利益:+27.8%
(57,500百万円→73,500百万円
純利益:+25.9%
(42,500百万円→53,500百万円) 
※レンジの下限値の上昇率

【東洋水産】
営業利益:+4.0%
(50,000百万円→52,000百万円
純利益:+3.6%
(41,500百万円→43,000百万円

特に日清食品HDの上方修正ぶりが際立っています。

日清食品HDのセグメント別の営業利益構成比は以下の通りです。
営業利益の50%海外事業が稼ぎました。

東洋水産のセグメント別の営業利益構成比は以下の通りです。
営業利益の71%海外事業が稼ぎました。

過去13年間(2011年3月期~2023年3月期)とこのQ2の純利益の推移は以下の通りです。

両社とも赤字の年はなく、黒字を続けています。
2014年3月期のみ東洋水産が上回りましたが、他の年は日清食品HDが上回っています。

今期はQ2にも関わらず過去の通期を上回る純利益を叩き出していることがわかります。
通期でどのような水準で着地するのか、楽しみです。

・利益率・ROE

2024年3月期第2四半期の利益率・ROEは以下の通りです。

利益率は東洋水産が、ROEは日清食品HDが上回りました。

過去13年(2011年3月期~2023年3月期)とこのQ2の純利益率の推移は以下の通りです。

抜いては抜き返しの競り合いを続けながら、両社利益率が改善しています。

円安や価格改定で海外が牽引していることが大きな要因です。

2021年3月期の日清食品HDは、湖池屋の企業結合により一時的に利益率が高まりました。

■BS(貸借対照表)の比較

次に、BSを比較します。

2024年3月期第2四半期の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。

特徴的なのは、東洋水産の安全性の高さです。

日清食品HDと比べ資産合計は小さいですが、現金に比率が高く、有利子負債は非常に少なく、自己資本比率も高いです。

両社のBSを図にすると以下の通りです。

短期的な安全性を示す流動比率(流動資産÷流動負債×100%)は、日清食品HDが149.0%、東洋水産が462.0%と、東洋水産の安全性の高さがこの数値にも表れています。

日清食品HDの非流動資産の中で最も大きいのは有形固定資産(265,839百万円)で、資産合計の37.5%です。

■その他の項目(株価、配当など)

株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。

・PER・株価

PERは日清食品HD:27.1、東洋水産:18.8と、日清食品HDの方が割高です。

両社の株価の推移は以下の通りです。

まずは、日清食品HDです。

※日清食品HDの株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

続いて、東洋水産です。

※東洋水産の株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

両社とも上場来高値圏で推移しており、非常に好調です。

・配当・増配率

配当性向は日清食品HDが37.9%と、東洋水産の28.5%を上回りました。

過去6年と2024年3月期予想の1株配当の推移は以下の通りです。

両社とも1株配当が上昇傾向にありますが、日清食品HDの今期の増配の強さが際立っています。

日清食品HDは中長期成長戦略2030で累進的配当、配当性向40%を掲げており、2024年3月期で4期連続増配予想となっています。

配当性向が低く、自己資本比率が高い東洋水産の方が、将来的な増配余力はあるのかもしれません。

・株主優待

株主優待は株式投資の楽しみの1つです。
両社とも株主優待の内容は自社製品詰合せです。

日清食品HDは100株以上300株未満保有で、年に1回3,000円相当の製品が送られます。

※日清食品HDの株主優待(100株以上300株未満保有株主用)。SBI証券お客様サイトより抜粋。


東洋水産は100株以上1,000株未満保有で、年に1回2,000円相当の製品が送られます。

※東洋水産の株主優待(100株以上1,000株未満保有株主用)。SBI証券お客様サイトより抜粋。

■おわりに

即席麵の大手2社の比較、いかがでしたでしょうか?

グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的に両社の違いを感じて頂けるように意識しました。

両社とも増収増益で業績予想を上方修正、素晴らしい決算でした。
価格改定をしても業績が大きく落ち込まないブランド力積極的な海外展開姿勢が重要であると改めて感じました。

即席麺ということで私たちの生活にも身近な両社。
新商品の発表や売れ筋商品を直接肌で感じやすいのも、こうした生活に身近な銘柄のいいところですね。

この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。

本日もお読み頂きありがとうございました!

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