私は毎年資産+10%達成を目標に投資に励むサラリーマン投資家です。
株式投資の際、皆さんはどのような基準で銘柄を選んでいますか?
最近は、株主還元意識の高い米国株の人気が高まっているように感じますが、株主を最優先とする米国企業の在り方に今後大きな変化が生まれるかもしれません。
先日12/2(木)のテレビ東京『モーニングサテライト』の中で紹介されていた『PBC』という企業の在り方がとても興味深かったので、今日はそちらを紹介したいと思います。
■PBCとは何か?
『PBC』とはPublic Benefit Corporationの略で、米国で認められている法人の形態のことです。
株式会社で求められる「株主最優先」ではなく、広く社会全体に利益・恩恵が及ぶような経営を掲げる組織形態です。
PBOの企業には、以下のようなことが求められています
・企業として追及するパブリックベネフィット(公益)を明示すること
・取締役は株主の経済的利益と、経営の影響が及ぶステークホルダー全体の利益のバランスをとる責任を負うこと
・2年ごとに公益追及の進捗などを株主に報告すること
とにかく利益を極大化せよという株主のプレッシャーに邪魔されず、地球環境や社会に前向きなインパクトを与える、サステナブル・持続可能な経営に邁進できる仕組みとして注目されています。
■具体的な企業は?
番組の中で紹介されていたのはオールバーズ(ティッカーシンボル:BIRD)とワービー・パーカー(ティッカーシンボル:WRBY)の2社です。
オールバーズは天然素材を使ったスニーカーを製造・販売する企業で、今年11月にナスダック市場に上場しました。
環境保護を優先した経営を標榜し、「株主価値を最大化しない行動を取る可能性がある」と明言しての上場でした。
2015年創業。時価総額(11/30時点)は27億7,200万ドル。
売上高(2020年12月期)は2億1,930万ドル。営業損失(2020年12月期)は2,922万ドルです。
ウール、ユーカリ、サトウキビを原料としたシンプルなデザインのスニーカーを製造しており、1足当たりの温暖化ガス排出量は一般的なスニーカーのおよそ半分です。
事業モデルの改良により環境負荷をさらに減らす計画をたてています。
温暖化ガスを吸収する再生型農業や環境負荷の少ない海上輸送の推進がテーマに上がっています。
ワービー・パーカーは手軽な価格でメガネを製造・販売する企業で、今年9月にニューヨーク証券取引所に上場しました。
メガネが1つ売れると、経済的に恵まれない人にメガネを1つ届ける活動を続けるなど、インパクト重視の経営に特徴があります。
2010年創業。時価総額(11/30時点)は57億4,400万ドル。
売上高(2020年12月期)は3億9,372万ドル。営業損失(2020年12月期)は5,563万ドルです。
2社の共通点としては以下の3つが挙げられています。
・消費者と直結するD2C(Direct to Consumer)企業であること
・デザインへのこだわりがあること
・デジタルを駆使した販売手法が顧客の支持を得ていること
経済的成長だけでなく、社会的インパクトも、というソーシャル系だが野心的な姿勢を持ち、今回上場を果たしたことで、今後の産業界のスタンダードになる可能性があるとされています。
両者とも現在は営業損失を出している段階ですが、時価総額は決して小さくなく、こうした企業が次の世界の主役候補になると株式市場が注目しているとも言えそうです。
■日本の企業は?
日本にも社会的な課題を経営目標に掲げて上場を目指すスタートアップの例はあります。
番組の中では以下の2社が紹介されていました。
中高生にプログラミングを教える「ライフイズテック」。
公式HP:Life Is Tech! ライフイズテック │ 中学生・高校生向け IT・プログラミング教育、スクール (life-is-tech.com)
売上高や利益だけではなく、将来生徒の中から世界的な経営者を輩出したり、日本の起業率を高めるなどの潜在力も勘案して企業価値を評価して欲しいとの考えを持っています。
保育施設のデジタル化を手掛ける「ユニファ」。
公式HP:ユニファ株式会社 – 家族の幸せを生み出す社会インフラを創り出す (unifa-e.com)
保育士不足の解消などを社会に役立つ会社であるとロジカルに説明して上場することを視野に入れている。
ただ、現在は社会課題の解決を前面に押し出して上場を果たし、モデルケースになるほどのスタートアップは出てきていません。
有識者からは日本でもPBCのような仕組みを検討すべきとの声もでているそうです。
■まとめ~投資における考え方
いかがでしょうか?
私自身は、企業の在り方として、非常に興味深いなと感じました。
最近はSDGs、ESG投資といった言葉もしきりに聞かれるようになりましたが、それをさらに前面に押し出す形態です。
さて、皆さんはPBCに投資したいですか?
私自身、このニュースを見て、早速PBCに投資してみたい!とはまだ思ってはいません。
いくら社会的意義のある事業を行っていても、PBCという形態をとっていても、利益がでなければ市場からはいずれ見放されてしまいます。
やはり会社は利益をだしてなんぼ、というのが資本主義の根幹ですし、投資をする立場としては利益を出し続けてくれる企業に投資をしたいというのは今後も揺らがないと思います。
一方でPBCが注目を集めているという事実、それが示すメッセージは感じ取る必要がありますね。
それは、環境のことや社会のことを全く無視したような事業や経営を進めている会社はこれから淘汰される、ということではないでしょうか。
社会にネガティブなインパクトを与える事業や環境への配慮が足りない事業の進め方には今後厳しい目が向けられる可能性もあり、企業の情報開示の中で環境に関して触れられていない場合や触れられていても不十分な企業は、長期的には保有のバランスに注意が必要であるなと考えています。
利益を継続的に出して株主に還元しつつ、環境や社会へもしっかりと配慮・貢献ができる会社と長く付き合っていきたいですね。
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