皆さんこんにちは。
個別株投資で毎年資産+10%を目指すサラリーマン投資家、かたつむり君です。
(TWITTER:@posikatatsumuri)
通勤時間や平日の夜、週末の時間を使って、売買候補となる銘柄の研究を行っています。
日々様々な情報が飛び交いますが、年に4回(四半期に1回)行われる決算発表は、企業の業績・状態を把握し、今後の投資戦略を考える上で特に重要な情報です。
この記事では、私が保有中 or 気になっている銘柄の決算発表内容をチェックし、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
記載している銘柄を推奨しているわけではありませんが、私の視点や考え方が読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは近畿圏や首都圏で介護付有料老人ホーム事業を展開するチャーム・ケア・コーポレーション(証券コード:6062)です。(以下、チャームケア)
東証1部上場で、決算期は6月です。
4月からの新市場区分では「プライム市場」に区分されます。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は369億円、従業員数は連結で1,731名です。
『「豊かで実りある高齢社会」づくりに貢献します。』という使命(ミッション)を掲げる同社は、なかなか珍しい6月決算の会社です。
私がこの会社に注目している理由は、
①日本が高齢化社会になるのは確実で、その中で高齢者にとって必要とされるビジネスは伸びていくと考えているから
②展開エリアを絞るドミナント戦略をとっているから
③シニアベンチャーで会社を興した下村社長のパッションが素晴らしいと思うから
です。
現在私はチャームケアの株を200株保有しています。
■決算発表内容の概要
2022/8/8(月)に発表した2022年6月期第4四半期決算の主な内容は以下の通りです。
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)
【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100
【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上
★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)
【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%) =純利益÷自己資本×100
※四半期決算時は純利益を年換算し算定
【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE :15%以上
★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か
【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷資産合計×100
【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。)
★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か
【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比+26.5%、営業利益は同+14.6%、純利益は同+92.2%でした。
いずれも指標の+10%を越えて増収増益となりました。
なお、同社では今期より「収益認識に関する会計基準」が適用となりました。
これにより、売上高・利益がこれまでより先送りされる形となったことで、業績をより弱く見せています。
前期数値と単純比較はできませんが、便宜的に単純比較して増収率・増益率を計算しています。
参考:チャームケアと収益認識基準
今期は新規に8ホームが開設されました。(前期新規開設は5ホーム)
連結子会社化する株式会社ライクの4ホームもQ2から連結数値に取り込まれています。
開設2年目を経過した既存ホームの入居率は94.0%(前年同期:95.4%)でした。
前期末までの入居率の推移は以下の通りです。
入居スピードが比較的遅い高価格帯ホームの新規開設が増えてきたことや、コロナの影響により入居率は下落傾向ではありますが、90%を超える高い水準を維持しています。
営業利益の伸びが売上高の伸びに比べて弱いのは、株式会社ライクの子会社化に伴う株式取得費用やのれん償却額が発生したこと、世界的な原油価格高騰の影響による電気代やガス代など光熱費が前期より20%以上上昇したこと、などが要因です。
純利益が大きく増加したのは、ホームの土地・建物の売却による特別利益(固定資産売却益:2,034百万円)のためです。
●収益性のチェック
売上高営業利益率は7.9%、売上高純利益率は10.2%でした。
特別利益の計上による一時的な要因も大きいですが、売上高純利益率は目安の10%を上回りました。
過去12年間(2011年6月期~2022年6月期)の利益率の推移は以下の通りです。
2015年6月期までは利益率の低下が続きましたが、2016年6月期以降はじわじわと利益率が改善しています。
ROEは23.8%でした。
目安の15%を上回りました。
●安全性のチェック
自己資本比率は33.2%でした。
現金は6,941百万円、有利子負債は10,654百万円と、有利子負債が現金を上回りました。
過去5年(2018年6月期~2022年6月期)の貸借対照表の推移は以下の通りです。
純利益の積み上げ、株式会社ライクの子会社化などのM&Aにより、BSの規模は大きくなっています。
短期的な安全性を示す流動比率(流動資産÷流動負債×100)は2020年6月期以来100%を越えています。
資産合計が増加している割に、固定資産は増えていない、という印象です。
「アセットライト経営」を志向しており、保有する物件の売却を進めていることもその要因と思われます。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは+3,945百万円と、キャッシュインとなりました。
営業利益2,309百万円を上回りました。
キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
会社が発表した業績予想に対する進捗度は、年間の業績予想が妥当なものかを考える上で大切な指標です。
もし進捗度が高い場合は、業績予想の上方修正が発表される可能性もあります。
Q1は25%、Q2は50%、Q3は75%、Q4は100%を超えている場合を優秀と定義して、チェックしていきます。
もちろん企業によって季節波動がありますので、単純に数値だけをみるのではなく、前年度の四半期進捗を参考にするのも大事ですね。
業績予想に対する達成度は、売上高:96.9%、営業利益:78.8%、純利益:98.4%でした。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報では、過去の業績に加えて、今期の業績予想、来期の業績予想が記載されています。
会社四季報の記者が会社に取材をし、分析した結果掲載されている予想値です。
会社が発表している業績予想と一致する場合もあれば、ずれることもあります。
このずれがある時は、注意が必要です。
今期業績から四季報の来期予想への成長性は、売上高:+34.2%、営業利益は+62.4%、純利益は+18.6%と予想されています。
会社発表の業績予想は以下の通りです。
売上高・営業利益は四季報予想より強く、純利益は四季報予想より弱い予想となっています。
来期は8ホーム、470室の開設が予定されています。
アセットライト経営に基づき、自社グループ保有物件の売却も計画されています。
■株価水準とチャートの動き
8/16(火)の終値は1,252円。PERは10倍です。
過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。
小刻みな上げ下げはありながらも、概ねきれいな右肩上がりで上昇してきました。
ビジネスモデルから、業績予想がたてやすく、計画から大きくブレにくいという特徴があり、株価も事業成長に歩調を合わせるような推移となっています。
直近では株価が移動平均線の下で推移し、移動平均線も横向きになっています。
今後再び移動平均線を上に抜けられるか、注目しています。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
業績予想には届かなかったものの、大幅な増収増益での着地となりました。
同日に発表された来期予想も売上高:+39.2%、営業利益:+87.5%、純利益:+27.4%と、強気な見通しが示されました。
また、今期配当・来期配当の増配も発表され、株主としては嬉しい限りの決算発表でした。
過去12年間(2011年6月期~2022年6月期)の売上高・営業利益・純利益・EPSの推移は以下の通りです。
営業利益・純利益・EPSに絞ると、以下の通りです。
2016年6月期以降、売上・利益ともに順調に右肩上がりでの成長が続いています。
新規施設増加による入居率の低下、連結子会社化したライクが成長の足かせにならないか、介護人材不足による人件費増加、といった不安要素はありますが、それ以上に期待が大きいと感じる銘柄です。
現在保有中の200株は長期保有するつもりです。
今後高齢化がますます進む中で同社のビジネスは成長余地があると思っていますし、増配による株主還元の高さも長期保有向きであると感じています。
もし今後株価が下落すれば、900円(現在の株価▲28%)で追加買付を検討します。
「最初の買付から▲15%以上下落したら第2次買付OK」というマイルールに従った目安の設定です。
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
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■参考:同社に関する過去の記事
・【チャームケア】22/5/9決算発表内容と私の投資戦略
※22/5/9(月)に発表した2022年6月期第3四半期決算についての記事です。
・チャームケアと収益認識基準
※新たに適用になった収益認識基準について、同社の事例を使って紹介します。
・【チャームケア】22/2/7決算発表内容と私の投資戦略
※22/2/7(月)に発表した2022年6月期第2四半期決算についての記事です。
・【チャームケア】21/11/8決算発表内容と私の投資戦略
※21/11/8(月)に発表した2022年6月期第1四半期決算についての記事です。
・【銘柄研究!】本日の気になる銘柄~チャーム・ケア・コーポレーション
※21/8/6(金)に発表した2021年6月期第4四半期決算についての記事です。
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