皆さんこんにちは。
個別株投資で毎年資産+10%を目指すサラリーマン投資家、かたつむり君です。
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通勤時間や平日の夜、週末の時間を使って、売買候補となる銘柄の研究を行っています。
日々様々な情報が飛び交いますが、年に4回(四半期に1回)行われる決算発表は、企業の業績・状態を把握し、今後の投資戦略を考える上で特に重要な情報です。
この記事では、私が保有中 or 気になっている銘柄の決算発表内容をチェックし、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
記載している銘柄を推奨しているわけではありませんが、私の視点や考え方が読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのはミールキット事業等を展開するオイシックス・ラ・大地(証券コード:3182)です。
東証プライム市場上場で、決算期は3月です。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は970億円、従業員数は連結で915名です。
同社の経営理念は「これからの食卓、これからの畑」です。
食に関する社会課題をビジネスの手法で解決することを目指しています。
Oisix、らでぃっしゅぼーや、大地を守る会の3事業が柱です。
私がこの会社に注目している理由は
①フードロス削減など、SDGsの観点で優れたビジネスモデルであると感じるから
②共働き・単身世帯の増加によりミールキットの利用者は今後も伸びていくと期待できるから
です。
現在私はオイシックス・ラ・大地の株は保有していません。
おためしセット(送料無料)■決算発表内容の概要
2022/5/12(木)に発表した2022年3月期第4四半期決算の主な内容は以下の通りです。
【主な決算発表内容】(単位:百万円)
売上高 :113,476(前年同期: 100,061 前年同期比:+13.4%)
営業利益 : 4,171(前年同期: 7,465 前年同期比:▲44.1%)
純利益 : 2,727(前年同期: 5,031 前年同期比:▲45.8%)
資産合計 :52,634(前期末:38,360)
自己資本 :22,132(前期末:19,090)
現金 :13,071(前期末:15,580)
有利子負債: 1,150(前期末: 1,294)
営業CF : +924(前年同期:+8,819)
投資CF :▲4,110(前年同期:▲2,780)
財務CF : +636(前年同期:+1,894)
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)
【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100
【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上
★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)
【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%) =純利益÷自己資本×100
※四半期決算時は純利益を年換算し算定
【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE :15%以上
★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か
【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷資産合計×100
【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。)
★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か
【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比+13.4%、営業利益は同▲44.1%、純利益は▲45.8%でした。
Q3時点ではそれぞれ+16.9%、▲18.8%、▲15.5%でしたので、期末にかけて減速したことがわかります。
その原因は3ヶ月前のQ3の記事でも書いた新海老名ステーション移転に伴うトラブルのためです。
新海老名ステーションのトラブルは今年1月でしたので、Q3決算には反映されず、このQ4決算で損失として計上されました。
セグメント別の売上高構成比は以下の通りです。
主力事業のOisixは前年同期比+17%、海外事業(米国)のPurple Carrotも同+17%と成長しました。
営業利益・純利益は宅配3事業の新規PR費の増加やOisix新物流センター(新海老名ステーション)への移行費の増加により減益でした。
セグメント利益の構成比は以下の通りです。
●収益性のチェック
売上高営業利益率は3.7%、売上高純利益率は2.4%でした。
目安としている15%、10%には届きませんでした。
過去10年間(2013年3月期~2022年3月期)の利益率の推移は以下の通りです。
コロナ特需で2021年3月期のみ跳ね上がりましたが、それでも利益率は2桁には届かず、利益率は決して高くありません。
ROEは12.3%でした。
目安としている15%を下回りました。
●安全性のチェック
自己資本比率は42.0%でした。
現金13,071に対し、有利子負債は1,150と、現金が有利子負債を上回りました。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは+924と、キャッシュインとなりました。
営業利益4,171を下回りました。
また、前年の営業CF(+8,819)と比べても大きく減少しました。
キャッシュ・フローの概要は以下の通りです。
投資CFとして多くのキャッシュを投下していることが見て取れます。
投資CFの主な内容は有形固定資産の取得による支出(▲2,199)です。
海老名物流センター関連の投資を指すと思われます。
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
会社が発表した業績予想に対する進捗度は、年間の業績予想が妥当なものかを考える上で大切な指標です。
もし進捗度が高い場合は、業績予想の上方修正が発表される可能性もあります。
Q1は25%、Q2は50%、Q3は75%、Q4は100%を超えている場合を優秀と定義して、チェックしていきます。
もちろん企業によって季節波動がありますので、単純に数値だけをみるのではなく、前年度の四半期進捗を参考にするのも大事ですね。
新海老名ステーションでのトラブルを受けて、Q3決算時に業績予想の修正が発表されました。(売上高は上方修正、営業利益・純利益は下方修正)
その修正業績予想に対する達成度は、売上高:100.4%、営業利益:119.2%、純利益:109.1%でした。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報では、過去の業績に加えて、今期の業績予想、来期の業績予想が記載されています。
会社四季報の記者が会社に取材をし、分析した結果掲載されている予想値です。
会社が発表している業績予想と一致する場合もあれば、ずれることもあります。
このずれがある時は、注意が必要です。
今期の実績から、来期の四季報発表業績予想への成長性を見ていきます。
売上高は+2.2%、営業利益は+67.8%、純利益は+79.7%と、小幅な増収、大幅な増益が予想されています。
新海老名ステーションのトラブルによる損失は今期の一時的なものだと思いますが、アフターコロナに向けて宅配事業に陰りがでる懸念、米国における急激なインフレの悪影響(Purple Carrotは来期減益の見込み)など、楽観視するのは難しい状況となっています。
■株価水準とチャートの動き
6/13(月)の終値は1,644円。PERは24倍です。
過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。
昨年のコロナショック以降、株価は大きく上昇しました。
一時951円まで下がりましたが、昨年9月には5,220円まで上昇しました。
実に5倍以上の上昇です。
非対面、デリバリー等のニーズへの期待が高まったこと、前期は業績が爆発的に良化したことが要因です。
しかしその後株価は下落し、今年1月の物流センターでのトラブルもあり、現在は昨年9月の最高値のおよそ30%の水準です。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
新海老名ステーション移転をめぐるトラブルによって、大きく減速して今期は終了しました。
・アフターコロナに向けて宅配事業に陰りがでる懸念
・米国における急激なインフレの悪影響(Purple Carrotは来期減益の見込み)
・日本でも物価上昇によって消費の手控えが生じる懸念
すぐ思いつくだけでもこれだけの懸念があり、私自身は投資にはかなり消極的なスタンスです。
過去10年(2013年3月期~2022年3月期)の売上高・営業利益・純利益・EPSの推移は以下の通りです。
売上高は右肩上がりで上昇しているものの、利益は上げ下げがあり不安定な印象です。
特に2021年3月期はコロナ禍での特需といえますので、今後の推移に注目です。
長期的な目線で見れば、フードロス削減などSDGsの観点で優れたビジネスモデルであると感じますし、共働き世帯・単身世帯の増加によりミールキットの利用者は今後も伸びていくとは思いますが、短期的な目線としては、手を出すべきタイミングではない、と考えています。
物流センターのトラブルでは、「商品が届かない」「空箱が届いた」といった報道もみましたが、誰か一人でも、空箱であることに気づいたり、違和感を抱いた社員はいなかったのでしょか?
さすがに空箱なら、いつもと重さが全然違い気づくと思うのですが・・・。
社員の意識や内部統制の仕組みには少なからず課題があるのではと感じます。
また決算説明会の動画を見ましたが、質疑応答に対する高島社長の回答に歯切れの良さを感じられず、先行きに対する懸念だけが残った印象でした。
“「2,000円」を買付の目安にしていましたが、しばらく手を出すのは控えます。”
と、3ヶ月前の記事で書きましたが、現在も同じスタンスです。
すでに株価は2,000円を割っていますが、手を出そうとは思いません。
1,000円を割り込む水準まで下がれば100株だけ買うのもありかなと考えていますが、それもあまり積極的ではありません。
同社に限らず、インフレによってBtoCビジネスはしばらく厳しい展開になると考えています。
同じ資金を投じるのであれば、BtoBビジネスを展開する企業を狙っていこうというのが目下の戦略です。
待つのも相場ですね。
以上が私の戦略です。
■まとめ
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
■参考:同社に関する過去の記事
・【オイシックス・ラ・大地】22/2/10決算発表内容と私の投資戦略
※22/2/10(木)に発表した2022年3月期第3四半期決算についての記事です。
・【オイシックス・ラ・大地】21/11/11決算発表内容と私の投資戦略
※21/11/11(木)に発表した2022年3月期第2四半期決算についての記事です。
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