皆さんこんにちは。
個別株投資で毎年資産+10%を目指すサラリーマン投資家、かたつむり君です。
(TWITTER:@posikatatsumuri)
通勤時間や平日の夜、週末の時間を使って、売買候補となる銘柄の研究を行っています。
日々様々な情報が飛び交いますが、年に4回(四半期に1回)行われる決算発表は、企業の業績・状態を把握し、今後の投資戦略を考える上で特に重要な情報です。
この記事では、私が保有中 or 気になっている銘柄の決算発表内容をチェックし、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
記載している銘柄を推奨しているわけではありませんが、私の視点や考え方が読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは米・オンライン決済大手のペイパル ホールディングス(ティッカーシンボル:PYPL)です。
NASDAQ上場で、決算期は12月です。
SBI証券お客様サイト内の「銘柄サマリー」情報より数値を抜粋すると、時価総額は1,180億ドル、従業員数は30,900人です。
同社はもともと米・電子商取引(EC)のイーベイにあったオンライン決済事業で、2015年に分割して誕生しました。
昨年9月には、日本で後払いサービスを展開するペイディの買収を発表し、話題になりました。
CEOのDan Schulman氏はもともとアメリカン・エキスプレスの幹部です。
私が同社を注目している理由は、デジタル化の流れの中で、オンライン決済プラットフォームとして成長すると期待しているからです。
なお、現在私はペイパル ホールディングスの株を6株保有しています。
■決算発表内容の概要
2022/8/2(火)に発表した2022年4~6月期(第2四半期)決算の主な内容は以下の通りです。
【各数値の定義】(決算書のどの数値からとっているか)
売上高:Net revenues
営業利益:Operating income
純利益:Net income
資産合計:Total assets
自己資本:Total Paypal stockholders’ equity
現金:Cash and cash equivalents
有利子負債:Long-term debt
営業CF:Net cash provided by operating activities
投資CF:Net cash used in investing activities
財務CF:Net cash (used in) provided by financing activities
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)
【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100
【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上
★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)
【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%) =純利益÷自己資本×100
※四半期決算時は純利益を年換算し算定
【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE :15%以上
★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か
【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷資産合計×100
【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。
★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か
【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
Q2の売上高は前年同期比+9.1%、営業利益は同▲32.2%、純利益は前期の1,184百万ドルの黒字から今期は▲341百万ドルの赤字に転落しました。
Q2累計の売上高は前年同期比+8.3%、営業利益は同▲32.0%、純利益は同▲92.6%でした。
増収ではありますが目安にしている+10%には届かず、営業利益・純利益は減益もしくは赤字となりました。
21Q3以降の純利益の増減率推移を見ると、減速感が数字に表れています。
21Q3:+6.5% → 21Q4:▲48.9% → 22Q1:▲53.6% → 22Q2:赤字転落
19Q1以降の四半期売上高・営業利益・純利益の推移は以下の通りです。
この期間で四半期純利益が赤字になるのは初めてです。
Q2の総決済額(Total Payment Volume:TPV)は前年同期比+9%増加の3,110億ドルでした。
21Q3は3,100億ドル、21Q4は3,395億ドル、22Q1は3,230億ドルでしたので、こちらも減速しています。
21Q3、21Q4、22Q1の記事でも書きましたが、減速の要因は、元親会社であるイーベイとの決別が進んでいることです。
イーベイとの取引を除いた増収率は+14%でした。
●収益性のチェック
売上高営業利益率は11.2%で、目安としている15%には届きませんでした。
19Q1以降の四半期利益率の推移は以下の通りです。
売上高純利益率はQ2が赤字転落ということもあり大きく下落が続いていますが、売上高営業利益率は22Q1から22Q2にかけて、下げ止まっています。
イーベイとの決別の影響もそろそろ一巡しますので、利益率の下落もこのあたりで一旦落ち着くでしょうか。
今後の推移に注目したいと思います。
ROEは1.7%でした。
目安の15%には届きませんでした。
●安全性のチェック
自己資本比率は25.4%でした。
19Q1以降の資産合計・自己資本・自己資本比率の推移は以下の通りです。
22Q2は四半期純利益が赤字だったこともあり、自己資本比率は低下しています。
保有している現金は4,583百万ドル、有利子負債は10,198百万ドルと、有利子負債が現金を上回りました。
前期末(2021年12月末)と比べると、現金は▲614百万ドル(5,197→4,583)減少し、有利子負債は+2,149百万ドル(8,049→10,198)増加しました。
財務の安全性は低下しています。
19Q1以降の現金・有利子負債の推移は以下の通りです。
有利子負債が10,000百万ドルを越えました。
手元の運転資金を増やすためでしょうか。少し心配です。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは+2,708百万ドルと、キャッシュインとなりました。
Q2累計営業利益1,475百万ドルを超えてのキャッシュインとなりました。
キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。
図から、投資CFが非常に大きいことがわかります。
■業績予想に対する進捗度
SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報に記載されている今期業績予想に対する進捗度をチェックします。
業績予想に対する進捗度は、売上高:47.7%、純利益:9.2%でした。
進捗度としては芳しくありませんでした。
■来期の業績予想から見る将来成長性
SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。
来期の成長率は、売上高:+14.2%、純利益:+95.4%と予想されています。
2021年は前期の反動により、2022年はイーベイ決別の影響により、2期連続の減益が予想されていますが、2023年は反転の1年になるかもしれません。
■株価水準とチャートの動き
8/17(水)の終値は99ドルです。PERは58倍です。
過去5年の株価の動き(週足)は以下の通りです。
コロナ禍でオンライン決済が増加したことを追い風に、2020年から株価は急速に上昇し、一時コロナ前の約3倍の水準まで上昇しました。
ところが、2021年の減益、2022年も2期連続の減益見込みということで、業績予想にあわせるように、株価も下落を続けています。
現在の株価は100ドルを割り込み、コロナ禍で上昇した分は全て帳消しになりました。
コロナ前並みの株価になりましたし、昨年7月に記録した最高値310ドルから▲68%ほど下落していますし、そろそろ底打ちしてもいい頃かと考えています。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
21Q3、21Q4、22Q1の記事でも記載したイーベイとの決別の影響により、増収減益、純利益は赤字転落の決算となりました。
今期通期でも純利益は大幅に減益(▲56.3%)予想となっており、成長性、収益性、安全性、今期業績に対する進捗と、多くの切り口でさえない決算結果になりました。
株価もコロナ前の水準まで下落しています。
ほとんどネガティブな内容でしたが、だからこそ、そろそろ底打ちのタイミングなのでは、と考えています。
イーベイの影響で前年比が弱く見えるのはQ2までで一巡しますので、Q3決算発表後は徐々に復調の兆しが見えてくるのではないかと予想しています。
今からQ3決算発表の10月下旬までが仕込むチャンスではないかと考えています。
ただし、目先のネックとしては為替です。
1ドル134円と円安水準であり、手が出しにくいのが正直なところです。
「株価が引き続き軟調に80ドル程度で推移し、かつ1ドル120円以下まで下げてくれたら、是非第2弾の買付を発動したいと考えています。」
と、3ヶ月前の記事で書きましたが、為替は引き続き円安です。
株価も、今月2日にアクティビストで知られる米エリオット・インベストメント・マネジメントが20億ドル相当の同社株を取得したと報じられ、大きく上昇しました。
今回はいいタイミングで買うのは難しいかもしれませんので、無理せずじっくり静観しようと思っています。
無理やり波に乗ろうとすると、後で後悔しそうですので。
直近では不調ではありますが、世界的なデジタル化の流れの中で、長い目で見れば同社のビジネスはまだまだ伸びていくと考えていますので、株価面・為替面でいいタイミングが来るのをじっくり待ちたいと思います。
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
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■参考:同社に関する過去の記事
・【ペイパル】22/4/27決算発表内容と私の投資戦略
※22/4/27(水)に発表した2022年1月~3月期(第1四半期)決算についての記事です。
・【ペイパル】22/2/1決算発表内容と私の投資戦略
※22/2/1(火)に発表した2021年10月~12月期(第4四半期)決算についての記事です。
・【ペイパル】21/11/8決算発表内容と私の投資戦略
※21/11/8(月)に発表した2021年7月~9月期(第3四半期)決算についての記事です。
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