個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのはクレジットカード大手のマスターカード(ティッカーシンボル:MA)です。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場で、決算期は12月です。
SBI証券お客様サイト内の「銘柄サマリー」情報より数値を抜粋すると、時価総額は3,641億ドル、従業員数は24,000名です。
私がこの会社に注目している理由は、グローバルなキャッシュレス化の流れの中でクレジットカード業界は今後も成長が続くと思っているからです。
同じ理由でビザ、アメリカン・エキスプレスにも注目しています。
なお、現在私は、マスターカードの株を保有していません。
■決算発表内容の概要
2023/1/26(木)に発表した2022年10~12月期(第4四半期)決算の主な内容は以下の通りです。
【各数値の定義】(決算書のどの数値からとっているか)
売上高:Net Revenue
営業利益:Operating income
純利益:Net Income
資産合計:Total Assets
自己資本:Mastercard Incorporated Stockholders’ Equity
現金:Cash and cash equivalents
有利子負債:Short-term debt, Long-term debt
営業CF:Net cash provided by operating activities
投資CF:Net cash used in investing activities
財務CF:Net cash used in financing activities
■決算発表内容分析のものさし
私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
Q4の売上高は前年同期比+11.5%、営業利益は同+12.6%、純利益は同+6.1%でした。
Q4累計の売上高は前年同期比+17.8%、営業利益は同+21.6%、純利益は同+14.3%でした。
売上高、営業利益は目安の+10%上回りましたが、純利益は+10%には届きませんでした。
また、通期と比べるとQ4はいずれの数値も弱い結果となりました。
通期では+10%を超える増収増益でした。
今年は国境を超える旅行が活況となり、Q4のクロスボーダー決済は現地通貨ベースで+31%増加しました。
●収益性のチェック
Q4の売上高営業利益率は54.7%、売上高純利益率は43.4%でした。
Q4累計の売上高営業利益率は55.2%、売上高純利益率は44.7%でした。
極めて高い収益性を示しました。
過去8年(2015年~2022年)の利益率推移は以下の通りです。
安定して非常に高い利益率を維持しています。
ROEは145.9%と、なんと100%を超え、驚異的な高さです。
●安全性のチェック
自己資本比率は16.3%でした。
保有している現金は7,008百万ドル、有利子負債は14,023百万ドルと、有利子負債が現金を上回りました。
この1年間の増減を見ると、有利子負債が+122百万ドル増加したにもかかわらず、現金は▲413百万ドル減少しました。
過去5年(2018年12月~2022年12月)の貸借対照表の推移は以下の通りです。
短期的な安全性を示す流動比率(流動資産÷流動負債×100%)は117%と、安全の目安とされる100%を上回っています。
クレジットカード会社ということであまり固定資産は持っていないイメージでしたが、意外と固定資産の割合も多いです。
固定資産の主な内容はM&Aによるのれん(Goodwill、7,522百万ドル)で総資産の19%を占めます。
2021年12月に固定資産が大きく増加しましたが、そのうちのれんの増加が2,702百万ドルです。
この年、仮想通貨・ブロックチェーンデータ分析企業の「Cipher Trace」を買収しました。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは+11,195百万ドルと、キャッシュインとなりました。
Q4累計営業利益12,264百万ドルは下回りました。
キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。
営業CFからも本業でしっかりキャッシュを稼いでいることがわかりますが、財務CFの金額が非常に大きいこともよくわかります。
財務CFの主な内容は、自社株買い(Purchases of treasury stock:▲8,753百万ドル)と配当金の支払い(Dividends paid:▲1,903百万ドル)です。
株主還元の姿勢が強いのは素晴らしいことですが、借入を増やし(Proceeds from debt:+1,123百万ドル)、現金を減らしてまで、株主還元を行っているということになります。
個人的には営業CF、もしくはフリーCF(営業CF+投資CF)の範囲内で株主還元すべきで、ちょっとやりすぎなのではないかと感じています。
ただ、借入してでも株主還元を重視する姿勢は、米国では違和感なく受け入れられているようです。
マクドナルドはその典型ですね。
よろしければ以下の記事もご参照下さい。
参照:債務超過なのに連続増配企業?!米・マクドナルドが倒産しないか心配!
■業績予想に対する進捗度
SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報に記載されている今期業績予想に対する進捗度をチェックします。
業績予想に対する進捗度は、売上高:99.9%、純利益:98.7%でした。
■来期の業績予想から見る将来成長性
SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。
来期は売上高:+12.9%、純利益:+16.0%と予想されています。
世界的な景気減速が予想される中ではありますが、+10%を超えての増収増益が予想されています。
■株価水準とチャートの動き
2/6(月)の終値は372ドルです。PERは30倍です。
過去5年の株価の動き(週足)は以下の通りです。
コロナショックで2020年には一時大きく調整しましたが、その後は右肩上がりで上昇しました。
2022年は多くの銘柄の株価が崩れましたが、その中でも同社の株価は年後半に力強い上昇を見せました。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
通期では+10%を超える増収増益と、力強い決算で着地しました。
過去8年間(2015年12月期~2022年12月期)の売上高・営業利益・純利益・EPSの推移は以下の通りです。
2020年12月期こそコロナ禍でやや落ち込みましたが、総じて右肩上がりの力強い推移です。
ただし、Q4の増収率・増益率は、通期と比べると弱く、世界的な景気減速が予想される中、不安が垣間見える決算でもありました。
同社の財務数値で最も素晴らしいのは、利益率の高さです。
通期の売上高営業利益率は55.2%、売上高純利益率は44.7%と、今期も驚異的な高さとなりました。
ROEについては145.9%と、100%を超えました!
グローバルなキャッシュレス化の流れの中でクレジットカード業界は今後も成長が続くと思っており、是非ポートフォリオに加えたい銘柄の一つです。
配当利回りは0.6%ほどと低いため、狙いはキャピタルゲインです。
「5年で株価2倍」を狙うためには、株価が大きく下がるのを待ちたいところです。
買付の目安は300ドルです。(現在の株価から▲20%程の水準)
為替の水準によってはさらに下がるまで待ちたいと思っています。
長期的には非常に強い銘柄だと思いますが、短期的には景気減速懸念などで株式市場全体が調整する可能性もあると思いますので、そのチャンスがきたらエントリーできるように、じっくり観察を続けたいと思います。
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
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■参考:同社に関する過去の記事
・【マスターカード】22/7/28決算発表内容と私の投資戦略
※22/7/28(木)に発表した2022年4月~6月期(第2四半期)決算についての記事です。
・【マスターカード】22/4/28決算発表内容と私の投資戦略
※22/4/28(木)に発表した2022年1月~3月期(第1四半期)決算についての記事です。
・【マスターカード】22/1/27決算発表内容と私の投資戦略
※22/1/27(木)に発表した2021年10月~12月期(第4四半期)決算についての記事です。
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