【決算書比較】三菱商事vs伊藤忠商事、あなたはどちらがお好み?(2023年3月期)

決算分析

絶好調!!

まさにその言葉がぴったりの総合商社業界。

2023年3月期は、三菱商事三井物産の純利益が1兆円を超えるなど、資源高の追い風もあり絶好調でした!!

この記事では総合商社の代表格である2社、三菱商事伊藤忠商事の決算書を比較します。

資源ビジネスに強いと言われる三菱商事。
非資源ビジネスに強いと言われる伊藤忠商事。

就職活動の人気ランキングでも首位を争う両社。

実際の業績はどうなのか?

両社の違いを感じて頂き、少しでもあなたの投資の参考になれば嬉しいです。

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■PL(損益計算書)の比較

まずはPLを比較します。

・売上高

2023年3月期の売上高・増収率は以下の通りです。

売上高は三菱商事が21.5兆円

伊藤忠商事の13.9兆円もすごいですが、三菱商事が大きく上回りました!

増収率も三菱商事が上回り、24.9と大幅な増収でした。

過去10年間(2014年3月期~2023年3月期)の売上高の推移は以下の通りです。

10年間全て三菱商事が上回りました。

2023年3月期は両社とも過去最高の売上高を記録しましたが、三菱商事の増収率が大きく、その差は過去最大に広がりました。

・純利益

2023年3月期の純利益は以下の通りです。

純利益は三菱商事が25.9%過去最高益となった一方、伊藤忠商事は2.4%でした。

三菱商事は三井物産とともに、総合商社として初めて純利益1兆円の大台を達成しました!

一方の伊藤忠商事は、5大商社の中で唯一の減益でした。

明暗が分かれました。

伊藤忠商事の石井啓太社長は以下のように述べ、好決算を強調しました。

前の期に一過性収益があった反動で減益だったが、2年連続で8千億円を超えた

期首に発表した通期予想に対する達成度は、三菱商事:138.9%、伊藤忠商事:114.4%でした。

両社とも通期予想を上回りましたが、特に三菱商事は大幅に上ブレでの着地となりました。

三菱商事のセグメント別純利益構成比は以下の通りです。

純利益全体の37%を占める金属資源14%天然ガスが利益を牽引しました。

金属資源は豪州原料炭事業における市況上昇、天然ガスはLNG関連事業や北米シェールガス事業における持分利益の増加が貢献しました。

伊藤忠商事のセグメント別純利益構成比は以下の通りです。

純利益全体の36%を占める金属17%エネルギー・化学品15%機械14%住生活が牽引しました。

金属は石炭価格の上昇、北米事業の堅調な推移、エネルギー・化学品は市況価格上昇に伴うエネルギートレーディング取引の採算改善、電力取引の堅調な推移が好業績の要因です。

金属が最も利益を稼いでいる点は、両社とも共通しています。

両社の資源:非資源の割合は以下の通りです。

資源の占める比率は三菱商事が55%(金属資源、天然ガス、石油・化学ソリューション)、伊藤忠商事が48%(金属、エネルギー・化学品)と、イメージ通り伊藤忠商事の資源の割合が低い結果となりました。

過去10年間(2014年3月期~2023年3月期)と2024年3月期予想の純利益の推移は以下の通りです。

資源ビジネスの割合が高い三菱商事は、業績の波が大きく、2022年3月期、2023年3月期と2期連続で過去最高益を更新しました。

一方で2016年3月期は創業来初の赤字をだしました。

チリでの銅鉱山開発などにおいて、資源価格の下落による巨額の減損処理を計上したことが原因です。

非資源ビジネスの割合が高い伊藤忠商事は、この10年間全て黒字を出し続けています。

市況や外部環境によってデコボコが大きいのが総合商社株の特徴ですが、その中でも伊藤忠商事の安定感は際立っています。

・利益率・ROE

2023年3月期の利益率・ROEは以下の通りです。

大きな差はありませんが、利益率、ROEともに伊藤忠商事が上回りました

過去10年間(2014年3月期~2023年3月期)の純利益率の推移は以下の通りです。

利益率の推移からも伊藤忠商事の安定感、三菱商事の波の大きさを感じます。

■BS(貸借対照表)の比較

次に、BSを比較します。

2023年3月期の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。

資産合計は三菱商事が22兆円、伊藤忠商事が13兆円と、三菱商事が大きく上回りました。

自己資本比率はほぼ同水準です。

三菱商事は、資産規模では伊藤忠商事の1.7ですが、現金は2.5、有利子負債は1.6と、現金を手厚く保有していることがわかります。

両社のBSを図にすると以下の通りです。

貸借対照表のバランスは非常に似ています。

■CF(キャシュフロー計算書)の比較

続いて、CFを比較します。

2022年度3月期のCFの概要は以下の通りです。

両社とも、本業からしっかりキャッシュを生み出し(営業CF)、その範囲の中で事業投資や設備投資を行い(投資CF)、借入金の返済や配当・自社株買いによる株主還元を行っている(財務CF)というキャッシュの流れは共通しています。

キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。

まずは三菱商事です。


続いて伊藤忠商事です。


■その他の項目(株価、配当など)

株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。

・PER・PBR

PERは三菱商事:8.2、伊藤忠商事:8.8です。

一般的にPER15倍が割安の目安とされますので、総合商社はPERがとても低いことがわかります。

最近特に話題のPBRは、三菱商事:0.96、伊藤忠商事:1.43です。

市場全体でPBR1倍割れの銘柄が注目されていますが、三菱商事は1倍割れです。

かなり株価は上がってきている印象ですが、PER、PBRの観点からは、まだまだ割高と言われるような水準ではありません。

両社の株価の推移は以下の通りです。

まずは三菱商事です。

※三菱商事の株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

続いて、伊藤忠商事です。

※伊藤忠商事の株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

・配当

総合商社といえば高配当で、安定した配当を期待して投資をしている方も多いと思います。

配当性向は両社とも30%ほどで同水準、配当利回りは三菱商事:3.69%、伊藤忠商事:3.38%と、三菱商事が上回りました。

両社とも積極的な株主還元姿勢を表明しています。

■おわりに

総合商社大手2社の比較、いかがでしたでしょうか?

グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的に両社の違いを感じて頂けるように意識しました。

三菱商事と伊藤忠商事、どちらの株主になりたいかTwitterでアンケートをとったところ、結果は以下の通りでした。

両社ともに魅力的な銘柄ではありますが、三菱商事の方が高い人気を示しました。

私自身も三菱商事の企業規模、配当方針、PBRの低さなど、とても魅力を感じており、将来的にはポートフォリオに加えたいと思っています。

ただし、現在は資源高円安、さらに著名投資家のウォーレン・バフェット氏による投資など、強烈な追い風が吹いています。

今後反動がでてくることは十分に考えられますので、これから投資をする上では、気をつけないといけませんね。

絶好調がいつまでも続くわけはなく、絶好調の翌年度以降、前期比で減速感が出れば株価が下がってくる可能性は十分にあると思いますので、チャンスをじっくり待ちたいと思います。

この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。

本日もお読み頂きありがとうございました!

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コメント

  1. yoshi より:

    私は利益の大きい、三菱商事の方が良いです。

    • yoshiさん、ブログを読んで頂きありがとうございました!
      純利益の観点から、三菱商事を選好される方も多いのでしょうね!
      資源が強いイメージがありますが、非資源も伸びてきているようで、今後最高益の反動をどこまで抑えられるか、注目したいですね!

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