皆さんこんにちは。
個別株投資で毎年資産+10%を目指すサラリーマン投資家、かたつむり君です。
(TWITTER:@posikatatsumuri)
通勤時間や平日の夜、週末の時間を使って、売買候補となる銘柄の研究を行っています。
日々様々な情報が飛び交いますが、年に4回(四半期に1回)行われる決算発表は、企業の業績・状態を把握し、今後の投資戦略を考える上で特に重要な情報です。
この記事では、私が保有中 or 気になっている銘柄の決算発表内容をチェックし、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
記載している銘柄を推奨しているわけではありませんが、私の視点や考え方が読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは貸会議室ビジネスを展開するTKP(証券コード:3479)です。
東証グロース市場上場で、決算期は2月です。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は608億円、従業員数は連結で1,425名です。
「Anytime, Anywhere, for All workers ~いつでも、どこでも、すべての働く人たちに」のキャッチコピーを掲げる同社のビジネスの3つの柱は、①貸会議室のTKP、②レンタルオフィスのリージャス、③アパホテルです。
なお、社名の由来はもともと創業者の河野社長のイニシャルからつけた「Takateru Kawano Partners」に由来しています。
私がこの会社に注目している理由は、
①困難な状況に対して素早く方向転換を図れる経営の柔軟性とスピード感が素晴らしいから
②オフィス機能の縮小や働き方改革という時代背景を受けて、同社の持つ空間が顧客企業の生産性向上に貢献していくだろうと考えているから
です。
なお、現在私はTKPの株を100株保有しています。
■決算発表内容の概要
2022/7/14(木)に発表した2023年2月期第1四半期決算の主な内容は以下の通りです。
【主な決算発表内容】(単位:百万円)
売上高 : 13,180(前年同期: 10,272 前年同期比:+28.3%)
営業利益 : 2,552(前年同期: ▲829 前年同期比:-)
純利益 : 393(前年同期:▲1,878 前年同期比:-)
資産合計 :106,670(前期末 :111,280)
自己資本 : 38,305(前期末 : 37,842)
現金 : 10,947(前期末 : 13,931)
有利子負債: 51,211(前期末 : 53,300)
営業CF : - (前年同期: - )※非開示
投資CF : - (前年同期: - )※非開示
財務CF : - (前年同期: - )※非開示
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)
【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100
【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上
★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)
【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%) =純利益÷自己資本×100
※四半期決算時は純利益を年換算し算定
【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE :15%以上
★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か
【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100
【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。)
★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か
【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比+28.3%でした。
営業利益は前期の赤字▲829百万円から1,215百万円に黒字転換しました。
純利益は前期の赤字▲1,878百万円から393百万円に黒字転換しました。
コロナ前の2020年2月期第1四半期の売上高は10,405百万円でしたので、コロナ前の売上高を上回り、四半期過去最高売上高を記録しました。
コロナ禍以降初めて全段階利益での黒字化となり、回復が数字に表れてきました。
四半期売上高の推移は以下の通りです。
TKP単体の売上高は前期比+42.6%となりました。
会議室需要の大幅な回復、ワクチンセンター・コロナ療養向けのホテル貸出が寄与しました。
売上高が伸びると経費も増えがちですが、経費をコントロールできていることも、営業利益の黒字拡大につながりました。
レンタルオフィスのリージャスの売上高は+11.6%となりました。
四半期売上高は過去最高となりました。
施設稼働率の改善も好材料です。
●収益性のチェック
売上高営業利益率は9.2%、売上高純利益率は3.0%でした。
いずれも目安の15%、10%を下回りました。
過去7年(2016年2月期~2022年2月期)と今期Q1の利益率推移は以下の通りです。
まだQ1ですので通期でどれだけの利益率を残せるかは未知数ですが、Q1の利益率はコロナ前の水準にあと一息というところまで回復してきました。
TKP単体の営業利益率は19.9%と、高い収益性を示しました。
●安全性のチェック
自己資本比率は35.9%でした。
保有している現金は10,947百万円、有利子負債は51,211百万円と、有利子負債が現金を大きく上回りました。
過去4年間(2019年2月期~2022年2月期)と今期のBSの推移は以下の通りです。
2019年2月期から2020年2月期にかけてBSが大きくなっているのは、リージャス買収によるものです。
固定資産では、リージャスの買収によりのれんが+39,559百万円(112百万円→39,671百万円)と大幅に増加しました。
固定負債では、長期借入金が+27,037百万円(24,826百万円→51,863百万円)と大幅に増加しました。
短期的な安全性を示す流動比率(流動資産÷流動負債)は2020年2月期が83.3%、2021年2月期が79.3%と、コロナ禍で安全の目安とされる100%を割りましたが、前期末の2022年2月期には113.1%と100%を超えるまでに回復しました。
●キャッシュ創出力のチェック
キャッシュフロー計算書は非開示のため、割愛します。
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
会社が発表した業績予想に対する進捗度は、年間の業績予想が妥当なものかを考える上で大切な指標です。
もし進捗度が高い場合は、業績予想の上方修正が発表される可能性もあります。
Q1は25%、Q2は50%、Q3は75%、Q4は100%を超えている場合を優秀と定義して、チェックしていきます。
もちろん企業によって季節波動がありますので、単純に数値だけをみるのではなく、前年度の四半期進捗を参考にするのも大事ですね。
業績予想に対する進捗度は、売上高:25.8%、営業利益:60.8%、純利益:98.3%です。
Q1から非常に高い進捗を見せており、業績の上方修正が期待できます。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報では、過去の業績に加えて、今期の業績予想、来期の業績予想が記載されています。
会社四季報の記者が会社に取材をし、分析した結果掲載されている予想値です。
会社が発表している業績予想と一致する場合もあれば、ずれることもあります。
このずれがある時は、注意が必要です。
今期の会社発表業績予想から、来期の四季報発表業績予想への成長性を見ていきます。
来期への成長性は、売上高+3.9%、営業利益:+10.0%、純利益:+100.0%(倍増!)と予想されています。
2021年2月期、2022年2月期と2期連続の赤字でしたが、いよいよ回復のフェーズに入っていきますので、業績の回復が楽しみです!
■株価水準とチャートの動き
7/22(金)の終値は2,107円です。PERは219倍です。
過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。
2017年3月の上場以来上昇をしてきましたが、2020年のコロナ拡大により急降下。
その後は60週移動平均線を抜けきることができずに下落が続いていましたが、今回の決算発表を受けて、しっかり上に抜ける動きになりました。
足元ではコロナ第7波ということで感染者数は増加していますが、経済活動正常化期待、業績の上方修正期待を受けて、今後の株価上昇が期待できる形になってきたと感じています。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
2期連続の赤字(2021年2月期、2022年2月期)からの回復が期待される今期、Q1は素晴らしいスタートとなりました。
売上高は前期比+28.3%の増収となり、営業利益・純利益は前期の赤字から黒字転換しました。
今期予想に対する進捗度も営業利益が60.8%、純利益が98.3%と、今後の上方修正を予想させる内容で、今後の決算発表に期待が持てる内容でした。
過去7年間(2016年2月期~2022年2月期)と、今期予想の売上高・営業利益・純利益・EPSの推移は以下の通りです。
売上高の回復、営業利益・純利益の黒字化によるEPSの改善が見て取れます。
営業利益・純利益・EPSはさらなる上方修正も期待できます。
投資方針は3ヶ月前と変わらず、1,100円あたりまで下がってくれば、追加買付をしたいと考えています。
そこからさらに▲20%ほど下がり900円を割るようなことがあれば、さらに買い増しも検討したいと考えています。
河野社長の人柄や経営手腕、ビジネスモデルなど、とても好きな銘柄ですので、じっくり応援を続けたいと思います!
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
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■参考:同社に関する過去の記事
・【TKP】22/4/14決算発表内容と私の投資戦略
※22/4/14(木)に発表した2022年2月期第4四半期決算についての記事です。
・【TKP】22/1/13決算発表内容と私の投資戦略
※22/1/13(木)に発表した2022年2月期第3四半期決算についての記事です。
・【TKP】21/10/14決算発表内容と私の投資戦略
※21/10/14(木)に発表した2022年2月期第2四半期決算についての記事です。
・【銘柄研究!】本日の気になる銘柄~TKP
※21/7/15(木)に発表した2022年2月期第1四半期決算についての記事です。
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