【ニューモント】21/10/28決算発表内容と私の投資戦略

決算分析

私は毎年資産+10%達成を目標に投資に励むサラリーマン投資家です。

通勤時間や平日の夜、週末の時間を使って、売買候補となる銘柄の研究を行っています。
日々様々な情報が飛び交いますが、特に年に4回(四半期に1回)行われる決算発表は、企業の業績・状態を把握し、今後の投資戦略を考える上でとても重要な情報です。

この記事では、私が保有中 or 気になっている銘柄の決算発表内容をチェックし、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
記載している銘柄を推奨しているわけではありませんが、私の視点や考え方が読者の方の参考になれば嬉しいです。

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■本日のチェック銘柄

今日チェックするのは鉱山会社のニューモント(ティッカーシンボル:NEM)です。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場で、決算期は12月です。
SBI証券お客様サイト内の銘柄サマリー情報より数値を抜粋すると、時価総額は431億ドル、従業員数は14,300人です。
金の産出量 は世界第1位を誇ります。
事業内容は金、銀、銅、亜鉛、鉛の生産と探査で、米国の他、カナダ、メキシコ、ドミニカ共和国、ペルー、スリナム、アルゼンチン、チリ、オーストラリア、ガーナで展開しています。

私がこの会社に注目している理由は、
①日本市場では投資できない興味深い投資先テーマであるから
②金価格に連動する金鉱株に興味を感じているから
 です。
なお、現在私ニューモントの株は保有していません。

■決算発表内容の概要

2021/10/28(木)に発表した2021年7~9月期(第3四半期)決算の主な内容は以下の通りです。

【主な決算内容】(単位:百万ドル)

売上高 (Sales):2,895(前年同期:3,170 前年同期比:▲8.7%)
営業利益(Sales-Costs and expenses):66(前年同期:998 前年同期比:▲93.4%)
純利益 (Net Income attributable to Newmont stockholders):3(前年同期:839 前年同期比:▲99.6%)
資産合計(Total Assets):39,865(前期末:41,369)
自己資本(Newmont stockholders’ equity):22,712(前期末:23,008)
現金  (Cash and cash equivalents):4,636(前期末:5,540)
有利子負債(Debt):5,482(前期末:6,031)
営業CF(Net Cash Provided by Operating Activities):+1,144(前年同期:+1,596)
投資CF(Net Cash Provided by Investing Activities):▲390(前年同期:▲337)
財務CF(Net Cash Provided by Financing Activities):▲697(前年同期:▲242)

■決算発表内容分析のものさし

決算発表内容について、私は主に①成長性②収益性③安全性④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。

それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。

★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)

【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100

【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上

★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)

【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%)      =純利益÷自己資本×100 ※四半期決算時は純利益を年換算し算定

【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE      :15%以上

★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か

【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100

【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。)

★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か

【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること

■決算発表内容分析

それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。

●成長性のチェック

売上高は前年同期比▲8.7%でした。
営業利益は同▲93.4%、純利益は同▲99.6%でした。

減収減益の決算でした。
なお、9カ月の累計でみると、売上高は前年同期比+8.8%、営業利益は同▲0.2%、純利益は同▲39.6%と、増収減益でした。
段階利益の変動具合がまちまちだなという印象を受けますね。

●収益性のチェック

売上高営業利益率は2.3%、売上高純利益率は0.1%、ROEは7.1%でした。

なお、前年同期は、売上高営業利益率は31.5%、売上高純利益率は26.5%、ROEは8.6%でした。
今四半期は営業利益と純利益の額が極端に小さいため、数値のブレも大きくなっています。

●安全性のチェック

自己資本比率は57.0%でした。
保有している現金4,636に対して、有利子負債は6,031と、現金を上回りました。
有利子負債の方が多いと少し心配になりますが、ポイントは本業でキャッシュが入ってきているか。次の項目でチェックしていきます。

●キャッシュ創出力のチェック

営業CFは+1,144と、キャッシュインとなりました。
営業利益が極端に小さい(66)こともありますが、営業CFは営業利益を上回っています。

キャッシュフローのバランスを見ると、営業活動(+1,144)で稼いだキャッシュで、投資活動(▲390)と財務活動(▲697)のキャッシュをまかなっていることが分かります。
この構図は前年同期も同じで、良好なキャッシュフローの状態であると考えています。

■業績予想に対する進捗度

SBI証券お客様サイト内の財務詳細情報に記載されている今期業績予想に対する進捗度をチェックします。
業績予想に対する進捗度は、年間の業績予想が妥当なものかを考える上で大切な指標です。
もし進捗度が高い場合は、業績予想の上方修正が発表される可能性もあります。
1Qは25%、2Qは50%、3Qは75%、4Qは100%を超えている場合を優秀と定義して、チェックしていきます。
もちろん企業によって季節波動がありますので、単純に数値だけをみるのではなく、前年度の四半期進捗を参考にするのも大事ですね。

業績予想に対する売上高の進捗度は70.0%でした。
純利益の進捗度は46.6%でした。
(営業利益は業績予想がないため割愛します。)

3Q時点での進捗度としては、いずれも物足りない結果となりました。
4Qで巻き返すのか、次の決算に注目したいです。

■来期の業績予想から見る将来成長性

SBI証券お客様サイト内の財務詳細情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の会社発表の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。

※SBI証券お客様サイトより、同社の業績予想を抜粋

来期の売上高成長率は+2.5%、純利益成長率は+10.0%です。
(営業利益は業績予想がないため割愛します。)

売上高の伸びは弱く、ほぼ横ばいです。
一方純利益は+10%の成長が予想されています。
こちらも売上高と利益の増減の動きや強さがアンバランスな印象を受けます。

■株価水準とチャートの動き

直近の株価とPERは以下の通りです。
PERは20倍を切る水準です。

※SBI証券お客様サイトより、同社の株価情報を抜粋

過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。

コロナ前の2017~2019年は30ドルから40ドルのレンジの中での動きでしたが、コロナ禍となり株価が大きく跳ね上がったことが見て取れます。
金鉱株ということで金(Gold)の価値の上昇と同じように動く傾向にありますが、コロナ禍での各国でのバラマキ政策により法定通貨の価値が下り相対的に金(Gold)の価格が上昇したことが大きな要因かと思われます。
値動きが大きいのも特徴で、直近では今年5月に高値75ドルをつけて以降は下落が続き、現在の株価54ドルは高値から28%下落した水準にあります。

■私の投資戦略

以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。

ニューモントのような金鉱株は、金(Gold)の価格に株価が左右される特徴があります。
また、金の採掘コストがある程度固定的なため、売上高がある一定のバーを越えると一気に利益率が高まるオペレーティング・レバレッジという特徴もあります。
一方、そのバーを越えないと利益が大きく減少します。

今回の決算内容をみても、四半期3ヶ月の業績と、9ヶ月累計の業績とで前年同期比の増減関係にブレが大きく、四半期ごとに市況によって大きく業績が左右されやすい銘柄だといえそうです。
株価の上下動も激しく、業績によって配当の動きも流動的なようで、非常につかみづらい銘柄であると感じています。

金はインフレに強いと言われます。
今はコロナ禍で苦しんでいるものの、世界経済の成長は今後も成長し少しずつインフレは進むでしょうし、今回のコロナ禍での給付金バラマキなどによる法定通貨の価値下落によって、金の相対価値は今後もじわじわと上がっていくのではないかと予想しています。
金と連動性の大きい同社はとても興味深いと感じています。

株価の変動幅が大きい分、また現在は金の価格も高いことを考えると、安易に手を出すのは危険であると感じています。
今後も右肩上がりで株価が伸びていくというよりは、上がったり下がったりを繰り返すと予想し、下がる場面をじっくり待ちたいと思います。
目安は45ドル。現在の株価から▲17%の水準です。
ここまで下がれば是非仕掛けていきたいです。
もし現在の1株配当2.2ドルが維持されれば、この時の配当利回りは4.9%と非常に高いです。
ただし配当についても業績に応じて大きくぶれることがありそうですので、あまり配当は気にせず、値上がり益を狙っていく、というのが私の戦略です。

『よく知らないものには手を出さない』が絶対的な鉄則」(byさわかみ投信・澤上篤人)とも言われています。
金や石油といったコモディティについても、金との連関性の強い同社の業績ついてまだまだ勉強不足です。
今後の決算発表なども見ながら、同社の特徴をだんだんとつかみ、いいタイミングでエントリーできるように観察を続けていきたいと思っています。

■まとめ

長くなりましたが、お読み頂きありがとうございました!

私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、上記のような観点で継続的に観察を続けています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指して日々観察をしています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になったのであれば嬉しいです。

毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!

ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!

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