個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
株式投資を学ぶならファイナンシャルアカデミー■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは迷惑情報フィルタ事業を展開するトビラシステムズ(証券コード:4441)です。
東証プライム市場上場で、決算期は10月です。
プライム市場ではありますが、上場維持基準のうち「流通株式時価総額」の基準を満たしておらず、基準の適合に向けた計画書を提出しての暫定的なプライム市場区分となっています。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は86億円、従業員数は54名です。
同社が掲げる企業理念は「私たちの生活 私たちの世界を よりよい未来につなぐトビラになる」です。
私がこの会社に注目している理由は
①迷惑電話・特殊詐欺という社会問題を減少させる、社会貢献性の高いビジネスだから
②今後高齢化が進む日本において、ニーズがますます増えると考えられるから
です。
現在私はトビラシステムズの株は保有していません。
■決算発表内容の概要
2022/9/9(金)に発表した2022年10月期第3四半期決算の主な内容は以下の通りです。
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)
【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100
【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上
★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)
【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%) =純利益÷自己資本×100
※四半期決算時は純利益を年換算し算定
【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE :15%以上
★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か
【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷資産合計×100
【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。)
★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か
【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比+18.3%、営業利益は同▲7.6%、純利益は同▲21.3%でした。
Q2時点ではそれぞれ+20.9%、▲2.0%、▲20.3%でしたので、やや減速しています。
過去4年(2018年10月期~2021年10月期)と今期Q3の増収率の推移は以下の通りです。
同社の売上高の約8割はモバイル向け迷惑情報フィルタ事業です。
月間利用者数は1,500万人を突破し、日本の人口のおよそ8人に1人が利用しているサービスへと成長しました。
今後の注力事業は、トビラフォンBizなどのビジネスフォン向けフィルタサービスとされています。
まだ売上高に占める比率が小さい事業ですが、今後どこまで成長させられるか、注目です。
人材採用による人件費の増加、280blocker吸収合併によるのれん償却の増加などにより、営業利益・純利益は減益となりました。
今期は通期でも減益予想となっており、計画通りです。
●収益性のチェック
売上高営業利益率は33.3%、売上高純利益率は19.5%でした。
いずれも目安の15%、10%を上回り、高い収益性を示しました。
過去5年(2017年10月期~2021年10月期)と今期Q3の利益率の推移は以下の通りです。
今期も十分に高い利益率ではあるものの、人件費やのれん償却費の増加により、今期の利益率は低下しています。
ROEは19.9%と、こちらも目安の15%を上回りました。
●安全性のチェック
自己資本比率は63.3%でした。
現金1,411百万円に対し、有利子負債は258百万円と、現金が有利子負債を上回りました。
過去4年(2018年11月期~2021年10月期)と今期Q3の貸借対照表の推移は以下の通りです。
流動資産が負債合計を大きく上回り、短期的な財務の安全性に問題はありません。
2021年10月期から固定資産と固定負債が大きくなっています。
固定資産は合同会社280blocker買収によるのれんの増加によるものです。
固定負債は長期借入金の増加によるものです。
●キャッシュ創出力のチェック
キャッシュフロー計算書は非開示のため割愛します。
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
業績予想に対する進捗度は、売上高:76.4%、営業利益:81.1%、純利益:73.3%でした。
Q3目安の75%に対して、概ね順調な進捗となりました。
なお、今期の業績予想は増収減益予想となっています。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報から、来期の業績予想を見ていきます。
今期の会社予想から、来期の四季報発表業績予想への成長性を見ていきます。
来期の成長率は売上高:+24.1%、営業利益:+52.0%、純利益:+50.2%と予想されています。
■株価水準とチャートの動き
9/12(月)の終値は1,046円。PERは33倍です。
過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。
2019年4月の上場後、株価は急激に上昇しましたが、6月に上場来高値3,746円をつけてからは一転、下落を続けました。
2020年のコロナショック後、一旦盛り返す動きをみせましたが、2020年6月以降もずるずると下落を続けています。
移動平均線も右肩下がりで推移しています。
直近では、1年抜けられなかった長期移動平均線を抜けており、今後の動きに注目です。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
3ヶ年の中期経営計画の初年度。
今期は増収減益が予想されていますが、計画通りQ3も増収減益でした。
直近4年(2018年10月期~2021年10月期)は売上高・営業利益・純利益のいずれも+15%以上の高成長を続けてきましたので、今期は一服、という1年です。
四季報の予想通りにいくのであれば来期(2023年10月期)は売上高も利益もEPSもジャンプアップするようなイメージなっていますが、本当にその通りになるのか、事業が力強く成長を続けられるかは、今後も注目したいと思います。
現在は買付目安を600円程度まで引き下げて観察をしています。
同社株の買付に懸念を抱いている理由は以下の6点です。
・プライム市場に区分されるものの、上場維持基準を満たしておらず、暫定的な区分であるから
・売上高・営業利益、いずれの面からも、中期経営計画達成の蓋然性に疑問を感じているから(プライム市場に区分されるための過度に強気な計画に見える)
・好調な業績であるにもかかわらず、市場区分決定をめぐるタイミングで財務の要でもある前CFOが退任となったことに違和感があったから
・事業とのシナジーを感じない投資に違和感があったから
・将来的な配当の金額に不安感があるから(業績悪化でさらっと減配しそう、それによって株価が下落することがありそう)
社会的に意義ある事業を展開しているとは感じる一方で、上記の通り自分の中で引っ掛かることが多いため、しばらく様子見を継続する方針です。
不安が少しずつ解消され、その時に株価が割安であると感じられたら、その時はエントリーを検討しようと思います。
待つのも相場。見るのも相場。です。
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
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■参考:同社に関する過去の記事
・【トビラシステムズ】22/6/10決算発表内容と私の投資戦略
※22/6/10(金)に発表した2022年10月期第2四半期決算についての記事となります。
・【トビラシステムズ】22/3/10決算発表内容と私の投資戦略
※22/3/10(木)に発表した2022年10月期第1四半期決算についての記事となります。
・【トビラシステムズ】21/12/10決算発表内容と私の投資戦略
※21/12/10(金)に発表した2021年10月期第4四半期決算についての記事となります。
・【銘柄研究!】本日の気になる銘柄~トビラシステムズ
※21/9/10(金)に発表した2021年10月期第3四半期決算についての記事となります。
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