個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
株式投資を学ぶならファイナンシャルアカデミー■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは民泊等の宿泊サイトを運営するエアビーアンドビー(ティッカーシンボル:ABNB)です。
NASDAQ上場で、決算期は12月です。
SBI証券お客様サイト内の銘柄サマリー情報より数値を抜粋すると、時価総額は588億ドル、従業員数は6,132人です。
私がこの会社に注目している理由は、旅行・宿泊のオンライン予約は今後世界でますます普及していくと考えているからです。
なお、現在私エアビーアンドビーの株は保有していません。
■決算発表内容の概要
2022/11/1(火)に発表した2022年7~9月期(第3四半期)決算の主な内容は以下の通りです。
【各数値の定義】(決算書のどの数値からとっているか)
売上高:Revenue
営業利益:Income from operations
純利益:Net income
資産合計:Total assets
自己資本:Total stockholders’ equity
現金:Cash and cash equivalents
有利子負債:Long-term debt
営業CF:Net cash provided by operating activities
投資CF:Net cash provided by (used in) investing activities
財務CF:Net cash provided by financing activities
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
Q3の売上高は前年同期比+28.9%、営業利益は同+41.3%、純利益は同+45.6%でした。
Q3累計の売上高は同+45.7%、営業利益は同+343.0%、純利益は前期の赤字▲407百万ドルから今期は1,575百万ドルに黒字転換しました。
初めての通期純利益黒字化が見えてきました。
Q3は目安の10%を越えての増収増益、世界的なインフレ、ウクライナ情勢などの逆風が吹く中でも、力強く成長しました。
19Q1以降の四半期売上高の推移は以下の通りです。
グラフが示す通り、過去最高の四半期売上高を記録しました。
20Q1以降の四半期増収率の推移は以下の通りです。
20Q2はコロナショックにより需要が蒸発し大幅減収となったため、その翌年21Q2は前年同期の売上が非常に小さいため、それぞれ異常値となっており、グラフから切れていますがご了承ください。
事業が正常のサイクルに戻りつつある中で、増収率の伸びが低下してきています。
下落というより、「落ち着いてきている」と捉えた方が正しいかもしれません。
コロナ禍の増収率は異常値になっていますので、今後増収率がどのような推移を描くのか、注目していきたいと思っています。
19Q1以降の四半期純利益の推移は以下の通りです。
四半期純利益も、過去最高を記録しました。
同社は例年Q3(7-9月)が売上高・利益ともに増えるサイクルのようで、サイクル通り今Q3は好決算となりました。
次回Q4は今回よりも弱い決算発表になるでしょうから、そこで市場がどのような反応をするのか、注目です。
●収益性のチェック
Q3の売上高営業利益率は41.7%、売上高純利益率は42.1%でした。
Q3累計の売上高営業利益率は24.1%、売上高純利益率は24.2%でした。
Q3の利益率は目安の15%、10%を大きく上回りました。
19Q1以降の四半期売上高純利益率の推移は以下の通りです。
毎年Q3は利益率が跳ね上がる傾向にありますが、今年は特に高く、初めて40%を超え、非常に高い収益性を示しました。
●安全性のチェック
自己資本比率は34.5%でした。
保有している現金7,524百万ドル、有利子負債は1,986百万ドルと、現金が有利子負債を上回りました。
直近のQ2では自己資本比率は27.5%と30%を割っていましたが、改善しました。
純利益により自己資本が増加したこと、Q2で膨らんでいた売掛金(Funds receivable and amounts held on behalf of customers)が代金回収により縮小(7,466百万ドル → 4,805百万ドル:▲2,661百万ドル)し、資産合計が小さくなった(19,059百万ドル → 16,077百万ドル:▲2,982百万ドル)ことなどが要因です。
過去3年(2019年12月期~2021年12月期)と今期Q3の貸借対照表の推移は以下の通りです。
固定資産が非常に少なく、資産のほとんどが流動資産です。
Q3では、資産合計の約47%が現金です。
2020年、2021年は通期純利益は赤字でしたが、増資などもあり純資産は増加してきました。
今後はQ3累計で純利益は黒字ですし、通期純利益黒字化によって純資産が増加していくと自己資本比率はさらに改善され、市場の評価も一気に高まるのではないかと思っています。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは+2,967百万ドルと、キャッシュインとなりました。
Q3累計営業利益1,567百万ドルを上回りました。
キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。
本業の黒字化に伴い、営業CFが増加しているのは良い傾向です。
■業績予想に対する進捗度
SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報に記載されている今期業績予想に対する進捗度をチェックします。
業績予想に対する達成度は、売上高:78.1%、純利益:94.3%でした。
Q3の目安である75%を上回り順調な進捗をみせました。
ただし、Q4では売上高も市場予想よりも減速する可能性が示唆されましたので、どのような通期着地になるのか、注目です。
■来期の業績予想から見る将来成長性
SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。
来期の成長率は、売上高:+12.7%、純利益:+9.6%と予想されています。
■株価水準とチャートの動き
11/7(月)の終値は95ドルです。PERは38倍です。
上場来の株価の動き(週足)は以下の通りです。
上場は2020年の12月、コロナ禍真っ只中でした。
上場初値は公開価格の2倍を超え、投資家の人気を集めてのスタートでした。
現在上場から1年11ヶ月。
どんな銘柄でも、上場から2年程度は様子を見たいと考え様子を見てきましたが、そろそろ2年になりますので、小さくエントリーしてもいいタイミングかなと考え始めています。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
上場来初の通期黒字化が予想されている今期、Q3は売上高・純利益ともに四半期で過去最高!
世界的なインフレやウクライナ情勢などの逆風の中での好決算となりました。
今後インフレ加速による消費減速懸念はあるものの、コロナ禍の2年間で溜め込まれた「旅行に行きたい!」という人々の欲求が上回っているようです。
間もなく上場から2年がたち、そろそろエントリーを考えてもいい頃でしょうか。
エントリーの目安と考えていた130ドル、120ドルは現在も割り込んでいます。
為替が1ドル146円台とかなり円安であることはネックですが、大きく下落している株価、今後の旅行需要回復期待などを加味すれば、小さくエントリーするのはありかと考えています。
90ドルを切るあたりで指値を入れて下落を待とうかと思います。
このまま上がってしまってエントリーするチャンスを逃すかもしれませんが、その時はドンマイ!ということで割り切ります。
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になったのであれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
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■参考:同社に関する過去の記事
・【エアビーアンドビー】22/8/2決算発表内容と私の投資戦略
※22/8/2(火)に発表した2022年4月~6月期(第2四半期)決算についての記事です。
・【エアビーアンドビー】22/5/3決算発表内容と私の投資戦略
※22/5/3(火)に発表した2022年1月~3月期(第1四半期)決算についての記事です。
・【エアビーアンドビー】22/2/15決算発表内容と私の投資戦略
※22/2/15(火)に発表した2021年10月~12月期(第4四半期)決算についての記事です。
・【エアビーアンドビー】21/11/4決算発表内容と私の投資戦略
※21/11/4(木)に発表した2021年7月~9月期(第3四半期)決算についての記事です。
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