個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは北米で風力や太陽光といった再生可能エネルギー発電事業を行うネクステラ・エナジー(ティッカーシンボル:NEE)です。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場で、決算期は12月です。
SBI証券お客様サイト内の銘柄サマリー情報より数値を抜粋すると、時価総額は1,455億ドル、従業員数は15,000人です。
私がこの会社に注目している理由は、再生可能エネルギー事業に将来性を感じるからです。
なお、現在私ネクステラエナジーの株は保有していません。
■決算発表内容の概要
2023/1/25(水)に発表した2022年10~12月期(第4四半期)決算の主な内容は以下の通りです。
【各数値の定義】(決算書のどの数値からとっているか)
売上高:Operating Revenues
営業利益:Operating Income
純利益:Net Income(Loss) Attributable to NextEra Energy, Inc.
資産合計:Total Assets
自己資本:Total common shareholders’ equity
現金:Cash and cash equivalents
有利子負債:Other short-term debt, Current portion of long-term debt, Long-term debt
営業CF:Net Cash provided by operating activities
投資CF:Net Cash used in investing activities
財務CF:Net Cash provided by financing activities
■決算発表内容分析のものさし
私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
Q4の売上高は前年同期比+22.2%、営業利益は同+50.9%、純利益は同+26.4%でした。
Q4累計の売上高は前年同期比+22.8%、営業利益は同+40.1%、純利益は同+16.1%でした。
Q4、Q4累計とも+10%を超える増収増益となりました。
過去12年(2011年12月~2022年12月)の売上高の推移は以下の通りです。
この期間の売上高では過去最高となりました。
過去11年(2012年12月~2022年12月)の増収率推移は以下の通りです。
とても不安定な印象です。
11年中5年が減益と、とても不安定な印象です。
今期は売上高が大きく増加したことと、直近2年間減収が続いていた反動もあり、増収率は大きく改善しました。
●収益性のチェック
Q4の売上高営業利益率は33.2%、売上高純利益率は24.7%でした。
Q4累計の売上高営業利益率は19.5%、売上高純利益率は19.8%でした。
過去12年(2011年12月~2022年12月)の利益率の推移は以下の通りです。
●安全性のチェック
自己資本比率は24.7%でした。
発電事業は投資先行型のビジネスということもあり、自己資本比率は30%を切る低い水準です。
保有している現金1,691百万ドルに対して、有利子負債は63,257百万ドルと、有利子負債が現金の37倍と大きく上回っています。
前期末(2021年12月末)と比較すると、現金は+962百万ドル増加(639→1,601百万ドル)しましたが、有利子負債は+9,812百万ドル(53,445→63,257百万ドル)とそれ以上に大幅に増加しました。
財務の安全性は悪化していますので、懸念しています。
過去5年(2018年12月~2022年12月)の貸借対照表の推移は以下の通りです。
・固定資産の比率が極めて高いこと
・資産の増加ペースに比べて純資産の増加ペースが遅いこと
が見て取れます。
●キャッシュ創出力のチェック
Q4累計の営業CFは+8,262百万ドルと、キャッシュインとなりました。
Q4累計の営業利益4,081百万ドルを上回るキャッシュインとなりました。
キャッシュフローの概要は以下の通りです。
投資CFのキャッシュアウトが目立ちます。
主な内容は、設備投資などです。
・Capital expenditures of FPL(▲9,067百万ドル)
・Independent power and other investments of NEER(▲9,541百万ドル)
これらの投資活動が、売上高・利益の成長につながっていくか、注目です。
財務CFのキャッシュインも非常に大きいです。
主な内容は借入金の増加(Issuances of long-term debt:+13,856百万ドル)です。
「営業CF:+ 投資CF:▲ 財務CF:+」と、営業活動により生み出したキャッシュに加えて借入も行い、積極的な投資を行っている、というキャッシュの循環になっています。
自己資本比率の低さや有利子負債の増加など、財務の安全性に対する懸念がありますので、キャッシュの推移には引き続き注目したいと思います。
参照:危ない会社への投資を回避できる!キャッシュ・フロー8つのパターン!
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
SBI証券お客様サイト内の財務詳細情報に記載されている今期業績予想に対する達成度をチェックします。
業績予想に対する進捗度は、売上高:99.9%、純利益:87.3%でした。
■来期の業績予想から見る将来成長性
SBI証券お客様サイト内の財務詳細情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。
来期の成長率は、売上高:+15.2%、純利益:+29.3%と、増収増益が予想されています。
なお、今回の決算発表資料では、2026年まで調整後EPSは年6~8%成長と予想されています。
■株価水準とチャートの動き
2/10(金)の終値は74ドルです。PERは26倍です。
過去5年の株価の動き(週足)は以下の通りです。
2020年にコロナウイルスの影響で一時的に大きく調整しましたが、そこを除けば安定して右肩上がりに上昇してきました。
移動平均線が上向きから横向き・下向きに変わりつつありますので、今後の株価の推移に注目です。
現在の株価は2021年末に付けた最高値93ドルから▲18.2%ほど下落した水準です。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
22Q1前にCEOが交代した今期でしたが、+10%を超える増収増益での着地となりました。
22Q1時点で営業利益・純利益が赤字でしたが、22Q2以降回復しました。
同社に対する懸念は安全性の低さです。
発電事業は多額の設備投資・先行投資が必要なビジネスモデルということもあり、自己資本比率は24.7%と目安の30%を切っています。
また、有利子負債が非常に多く、現金の37倍と多額の有利子負債を抱えています。
特にこの1年、現金が+962百万ドル増加したのに対し、有利子負債が+9,812百万ドルとそれ以上に大幅に増加していることも気になります。
金利上昇によって有利子負債が財務に与えるインパクトも大きくなると思われますので、今後の財務の安全性については懸念があります。
営業CFが安定してプラスで推移するのか、今後の推移を見守りたいと思います。
過去12年間(2011年12月期~2022年12月期)の売上高・営業利益・純利益・EPSの推移は以下の通りです。
株価は過去5年で、一時3倍の水準まで上昇しましたが、2019年12月期は増収減益、2020年12月期は減収減益、2021年12月期は減収増益と、業績は決して右肩上がりというわけではありません。
その中で株価が3倍になったというのは、それだけ脱炭素、再生可能エネルギーへの期待が高い、ということだと思います。
脱炭素、再生可能エネルギーを重視する世界的な流れは数年で途絶えることはないでしょうが、すでに大きな期待は株価に反映されている面もあり、今後調整する可能性は大いにあるのではないかと考えています。
買付の目安は50ドル(現在の株価▲33%の水準)です。
ここまで下がるとPERは20倍を切りますし、配当利回りも目安の3%を超え、長期保有しやすい水準になります。
下がるまで、じっくり様子を見ようと思います。
買えなかったら買えないで、仕方ないと割り切っています。
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
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■参考:同社に関する過去の記事
・【ネクステラ・エナジー】22/7/22決算発表内容と私の投資戦略
※22/7/22(金)に発表した2022年4月~6月期(第2四半期)決算についての記事です。
・【ネクステラ・エナジー】22/4/21決算発表内容と私の投資戦略
※22/4/21(木)に発表した2022年1月~3月期(第1四半期)決算についての記事です。
・【ネクステラ・エナジー】22/1/25決算発表内容と私の投資戦略
※22/1/25(火)に発表した2021年10月~12月期(第4四半期)決算についての記事です。
・【ネクステラ・エナジー】21/10/20決算発表内容と私の投資戦略
※21/10/20(水)に発表した2021年7月~9月期(第3四半期)決算についての記事です。
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