個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは米・オンライン決済大手のペイパル ホールディングス(ティッカーシンボル:PYPL)です。
NASDAQ上場で、決算期は12月です。
SBI証券お客様サイト内の「銘柄サマリー」情報より数値を抜粋すると、時価総額は844億ドル、従業員数は29,900人です。
かつては米・電子商取引(EC)のイーベイの中のオンライン決済事業でしたが、2015年に分割しました。
2021年9月には、日本で後払いサービスを展開するペイディの買収を発表し、話題になりました。
CEOのDan Schulman氏はもともとアメリカン・エキスプレスの幹部です。
2023年内に退任することを発表しました。
私が同社を注目している理由は、デジタル化の流れの中で、オンライン決済プラットフォームとして成長すると期待しているからです。
なお、現在私はペイパル ホールディングスの株を14株保有しています。
(2022年2月:6株買付、2022年12月:8株買付)
■決算発表内容の概要
2023/2/9(木)に発表した2022年10~12月期(第4四半期)決算の主な内容は以下の通りです。
【各数値の定義】(決算書のどの数値からとっているか)
売上高:Net revenues
営業利益:Operating income
純利益:Net income
資産合計:Total assets
自己資本:Total Paypal stockholders’ equity
現金:Cash and cash equivalents
有利子負債:Long-term debt
営業CF:Net cash provided by operating activities
投資CF:Net cash used in investing activities
財務CF:Net cash (used in) provided by financing activities
■決算発表内容分析のものさし
私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
Q4の売上高は前年同期比+6.7%、営業利益は同+18.5%、純利益は同+15.0%となりました。
Q4累計の売上高は前年同期比+8.5%、営業利益は同▲10.0%、純利益は同▲42.0%でした。
通期では増収減益でしたが、四半期では増収増益となりました。
イーベイを除く通期売上高増収率は+12%でした。
21Q3(2021年7~9月期)以降、元親会社であるイーベイとの決別によって売上高・純利益の前年比は減収・減益が目立ちましたが、決別から1年が経過し、その影響も一巡してきました。
22Q3から増収・増益に転じ、改善の兆しを見せています。
21Q3から22Q4の増収率、増益率(純利益)の推移は以下の通りです。
19Q1以降の四半期売上高・営業利益・純利益の推移は以下の通りです。
22Q2には四半期純利益が赤字に転じましたが、22Q3以降黒字に戻しています。
Q4累計の総決済額(Total Payment Volume:TPV)は前年同期比+9%増加の1兆3,600億ドルでした。
●収益性のチェック
Q4の売上高営業利益率は16.8%、売上高純利益率は12.5%でした。
Q4累計の売上高営業利益率は13.9%、売上高純利益率は8.8%でした。
通期と比べると直近四半期は利益率が改善しており、Q4は目安としている15%、10%を上回りました。
イーベイとの決別の影響もそろそろ一巡し、利益率の低迷も底打ちでしょうか。
19Q1以降の四半期利益率の推移は以下の通りです。
ROEは11.5%でした。
目安の15%には届きませんでしたが、Q2時点では1.7%、Q3時点では9.9%でしたので、期末に向かって改善しました。
●安全性のチェック
自己資本比率は25.8%でした。
30%を切っており、低い状態です。
19Q1以降の資産合計・自己資本・自己資本比率の推移は以下の通りです。
保有している現金は7,776百万ドル、有利子負債は10,417百万ドルと、有利子負債が現金を上回りました。
前期末(2021年12月末)と比べると、現金は+2,579百万ドル(5,197百万ドル→7,776百万ドル)増加し、有利子負債は+2,368百万ドル(8,049百万ドル→10,417百万ドル)増加しました。
19Q1以降の現金・有利子負債の推移は以下の通りです。
22Q2に、有利子負債が10,000百万ドルを越えました。
22Q2の時は少し心配していましたが、22Q3、22Q4と現金が増加しましたので、過度に心配する必要はないかもしれません。
とはいえ今後も現金・有利子負債の推移は注意深く観察していきます。
●キャッシュ創出力のチェック
Q4累計の営業CFは+5,813百万ドルと、キャッシュインとなりました。
Q4累計営業利益3,837百万ドルを超えてのキャッシュインとなりました。
キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。
■業績予想に対する進捗度
SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報に記載されている今期業績予想に対する進捗度をチェックします。
業績予想に対する進捗度は、売上高:99.9%、純利益:99.3%でした。
■来期の業績予想から見る将来成長性
SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。
来期の成長率は、売上高:+6.7%、純利益:+56.8%と予想されています。
2021年12月期は前期の反動により、2022年12月期はイーベイ決別の影響により、純利益は2期連続の減益となりましたが、2023年12月期は反転の1年になりそうです。
■株価水準とチャートの動き
2/21(火)の終値は75ドルです。PERは22倍です。
過去5年の株価の動き(週足)は以下の通りです。
コロナ禍でオンライン決済が増加したことを追い風に、2020年から株価は急速に上昇し、一時コロナ禍前の約3倍の水準まで上昇しました。
しかし、2021、2022年と2期連続の減益ということもあり、業績予想にあわせるように、株価も下落を続けてきました。
現在の株価は100ドルを割り込み、2021年7月に記録した最高値310ドルからの下落率は約▲76%、コロナ禍前よりもさらに低い水準です。
2023年12月期は増益に転じる見込みですので、そろそろ株価も底打ちしてもいい頃かと考えています。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
Q4は増収増益だったものの、通期では増収減益の1年間となりました。
純利益は2年連続の減益で、業績にあわせるように株価も低迷を続けています。
ただ、私自身はポジティブに同社の将来性を捉えています。
21Q3決算以降観察をし続けてきたイーベイとの決別の影響も一巡し、一時赤字を記録した純利益も黒字基調に戻り、利益率の改善も見られます。
今月頭には、従業員の約7%に相当する2,000人の人員削減も発表しました。
インフレの懸念はありますが、2023年は良い業績になり株価にも反映されるのではないかと期待しています。
2022年8月に22Q2決算記事に、私はこのように書きました。
今からQ3決算発表の10月下旬までが仕込むチャンスではないかと考えています。
その後、より慎重に銘柄の観察を続け、2022年12月に8株を追加買付しました。
まずまず良いタイミングでエントリーできたのではないかと思っていますが、答え合わせは数年後ですね。
もし今後もさらに株価が下落するようなことがあれば、60ドル(現在の株価▲20%)あたりを目安にさらに追加買付を検討しています。
直近の業績はかんばしくありませんが、世界的なデジタル化の流れの中で、長い目で見れば同社のビジネスはまだまだ伸びていくと考えていますし、ネガティブな内容で多い時こそ、反転のきっかけを捉えることで利益を得られるチャンスが広がりますので、今後も期待を持ちつつ観察を継続します。
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
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■参考:同社に関する過去の記事
・【決算書比較】ペイパルとブロック、あなたはどちらがお好み?(22年7-9月期)
※キャッシュレス決済プラットフォームのペイパルとスクエアの2022年7~9月期(第3四半期)決算の比較記事です。
・【ペイパル】22/8/2決算発表内容と私の投資戦略
※22/8/2(火)に発表した2022年4月~6月期(第2四半期)決算についての記事です。
・【ペイパル】22/4/27決算発表内容と私の投資戦略
※22/4/27(水)に発表した2022年1月~3月期(第1四半期)決算についての記事です。
・【ペイパル】22/2/1決算発表内容と私の投資戦略
※22/2/1(火)に発表した2021年10月~12月期(第4四半期)決算についての記事です。
・【ペイパル】21/11/8決算発表内容と私の投資戦略
※21/11/8(月)に発表した2021年7月~9月期(第3四半期)決算についての記事です。
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