2021年の相場、皆さんお疲れ様でした。
1年の最後の最後に、私が100株保有中の銘柄、再生可能エネルギーの「レノバ」が3日間で▲55.1%(4,600円→2,064円)と大暴落しました。
まさに「2021年年末の悲劇」であり、レノバの将来性を大きく揺るがす一大事でした。
今後の投資生活に今回の経験を活かしていくため、この暴落から学ぶべき8つの教訓を書き残します。
8つの教訓とは以下の通りです。
①銘柄の分散って大事(1銘柄集中投資はNG)
②売りたくても売れないことがある
③含み益はあくまで幻(売るまで利益は確定しない)
④株価は会社の未来で決まる
⑤良い噂や評判も盲信は危険
⑥勝つこともあれば負けることもある、それがビジネスの世界
⑦誰のせいでもない
⑧資金力は偉大
まずは、何が起きたのか、から整理していきます。
■何が起きたの?
ことの発端は2021/12/24(金)クリスマスイブに流れた一つのニュースでした。
レノバが受注を目指していた秋田県由利本荘市沖の洋上風力事業の選定業者が発表され、三菱商事連合が受注、レノバは残念ながら失注となりました。
レノバも本件に相当力を入れていましたし、レノバが受注するだろうと期待されていた事業でしたので、驚きのニュースでした。
入札案件を受注できた時にプレスリリースを出すことはあっても、受注できなかった時にプレスリリースを出すことは珍しいですよね。
今回の決定を受けて、レノバはプレスリリースを出しました。
それだけ会社にとっても投資家にとっても重要な事業であったということですね。
なお、今回受注したのは三菱商事エナジーソリューション、三菱商事、ウェンティ・ジャパン、シーテックの4社による共同事業体です。
今回の入札は「価格点」(120点満点)と「 事業実現性に関する得点 」(120点満点)の2つの項目、合計240点満点で業者が選定されましたが、経済産業省のHPに公表された結果によると、価格点が満点の「120点」と、圧倒的な高評価を受けました。
供給価格が「11.99円/kWh」となっていますが、今回の公募の上限額が「29円/kWh」でしたので、すさまじく安い金額で提示したということです。
下表で、受注した事業者以外は事業者名が伏せられていますが、レノバ連合は「公募参加事業者6」であると見られています。
数年前から開発に着手して得た風況等のデータの多さや、これまで築いてきた地元との関係性といったレノバの強みが反映された「事業実現性に関する得点」は「91点」で全事業者中トップでした。
ただし、他事業者に大差をつける程には至りませんでした。
一方で「価格点」は全事業者中最下位の「83.65点」でした。
強気の価格設定をしたことが伺えます。
三菱商事連合の価格点が強すぎて、完敗、という結果した。
ただ、仮に三菱商事連合がいなくても、受注できなかったことにはなります。
■レノバの「将来性」に与える影響は?!
レノバは再生可能エネルギー事業に取り組んでおり、太陽光、バイオマス、洋上風力、地熱発電など、多様な事業を展開しています。
主な事業の現在運転中の設備容量、建設中を含めた設備容量は以下の通りです。
【太陽光発電】
運転中:350MW(計12施設) 建設中含む:370MW(計13施設)
【バイオマス発電】
運転中:100MW(計2施設) 建設中含む450MW(計7施設)
【陸上風力発電】
運転中:140MW(計1施設)
今回の由利本荘市沖の洋上風力事業の設備容量は「700MW」と見込まれていました。
現在運転中の設備容量合計(590MW)よりも大きな水準です。
いかに期待が大きかったか、数字の上でもわかるかと思います。
直近の決算発表資料を見ても、今回の洋上風力事業受注が今後の設備容量積み上げの大きなウエイトを占めていること、将来に向けた成長エンジンとして洋上風力発電が期待されていたことがわかると思います。
これだけ重要性の高い案件の失注ですから、当然同社の将来性の前提が大きく揺らぐ一大事件というわけです。
■株価はどうなった?
上記の通り非常に重要な事業でしたので、株価にも大きな影響を与えました。
発表翌営業日からの株価の動きは以下の通りです。
【2021/12/27(月)】
前日終値:4,600円 → 終値:3,900円 ▲700円(▲15.2%)
※売り気配のまま寄り付かずにストップ安
【2021/12/28(火)】
前日終値:3,900円 → 終値:3,200円 ▲700円(▲17.9%)
※売り気配のまま寄り付かずにストップ安
【2021/12/29(水)】
前日終値:3,200円 → 終値:2,064円 ▲1,136円(▲35.5%)
※全市場で最大の下落率
ニュース発表前の2021/12/24(金)の終値からは、3日間で▲55.1%(4,600円→2,064円)の大暴落となりました。
チャートを見てもその悲惨さがわかりますね。
■学ぶべき8つの教訓
さて、今回のレノバの一連の動きを受けて、私自身も3日で25万円ほどの含み益が消えました。
この動きを目の当たりにして、痛みを肌で感じて、株式市場に向き合う姿勢やビジネスの未来の考え方について、8つの教訓を得ました。
8つの教訓とは以下の通りです。
①銘柄の分散って大事(1銘柄集中投資はNG)
②売りたくても売れないことがある
③含み益はあくまで幻(売るまで利益は確定しない)
④株価は会社の未来で決まる
⑤良い噂や評判も盲信は危険
⑥勝つこともあれば負けることもある、それがビジネスの世界
⑦誰のせいでもない
⑧資金力は偉大
・①銘柄の分散って大事(1銘柄集中投資はNG)
私はレノバ株を100株保有していました。
2021/12/24時点での私のポートフォリオは以下の通りで、レノバの比率は株式資産の「17.0%」でした。
レノバは日本株の中で最も好きな銘柄で、「買い増したいなぁ」「資産が増やせたらもっと買いたいなぁ」と思っていたお気に入り銘柄でした。
買い増ししなかった理由は、私のマイルールで「1銘柄は資産の20%まで。」というルールを決めていたためです。
マイルールについてはこちら → どうやって株のポートフォリオ管理してるの?(その②)
今回の暴落を受けて、それなりに資産は傷みましたが、相場から退場させられるようなことにならなかったのは、このマイルールのおかげだと思っています。
今回、銘柄分散の重要性、1銘柄への集中投資は危険、ということを恐ろしいほど学びました。
今後も規律を意識しながら相場に向き合っていきます。
投資において参考にしている書籍『相場で負けたときに読む本 実践編』でもこのように書かれています。
今回、地獄に落ちることは回避できましたが、まさにその通りだなと痛感させられます。
「一つの籠にすべてを盛るな」
多くのトレーダーがすべての資金を投入し、生死を賭けたトレードをしています。
勝てば天国負ければ地獄。
地獄に落ちた自分をしっかり想像できますか?
一度地獄に落ちたら天国にはなかなか戻れません。
・②売りたくても売れないことがある
ストップ安となった12/27、12/28、ツイッターには以下のようなツイートがありました。
2日連続で、売り気配のまま寄り付きもせずのストップ安でしたので、「売りたくても、売れない」という状況でした。
(空売りしていた方はウハウハだったでしょうね。)
暴落時のヘッジ手段として「空売り」という手段があることを一つの安心材料と私は考えていました。
現物保有株式数と同じ株式数を空売りでヘッジすることで損益を固定し、その後の暴落によるダメージを相殺するというやり方です。
信用取引による手数料は若干発生しますが、ただ指をくわえて下落を眺めているだけに比べれば損失をかなり軽減できます。
新型コロナウイルスの変異種・オミクロン株が南アフリカで発見されたとの報道がでて相場が不安定になると予想した今年11月末に、一部銘柄についてこの手法をとりました。
当時のポートフォリオ、具体的なアクションはこちら → 【保有銘柄公開!】今週の株式投資ポートフォリオ振り返り#211203
ただし、今回の急激な暴落を目の当たりにして、この空売り作戦が全く通用しないケースがあるということを学びました。
自分が売りたいと思う時は、周りのみんなも売りたい(私の場合空売りでヘッジしたい)と思っているわけで、今回のように一気に全員が売りに動いた時は空売りする機会さえ与えてもらえないのだなと痛感しました。
「1つの銘柄が暴落した時、自分の資産を残せるのか?ポートフォリオは生き延びられるのか?」という視点を持って、保有銘柄のバランスを普段から整えていくことが大切であると強く学びました。
・③含み益はあくまで幻(売るまで利益は確定しない)
当たり前のことですが、含み益の状態では利益は確定できていません。
永遠に上がっていく銘柄はないわけで、どこか自分の満足いく水準まで株価が上昇したら利益を確定させることの大切さ、出口イメージを描いた上で投資をすることの大切さを学びました。
レノバについては、
FIT(固定価格買取制度)の存在により安定的な売上が期待でき、2023年にバイオマス発電設備が続々と運転開始し、海外案件も少しずつでてきており、さらに由利本荘の洋上風力発電事業が加われば、かなり長期的・安定的に成長するだろうし、基本は10年15年と長期保有。
2025年くらいに配当でも始まってくれたら嬉しいな。
というようなイメージで保有していたので、売却は一切考えていませんでした。
暴落後の今もその考えは変わりません。なにせ100株だけの保有なもので。
今後株価がさらに下落したら、マイルールの範囲内(資産全体の20%以内)で保有株数を200株、300株と増やすこともあるかもしれません。
その時は、ある程度の水準まで上昇したら一部利益確定するという出口戦略を描いた上でエントリーしないといけないと考えています。
(100株はずっと持ち続けるという意志は継続)
・④株価は会社の未来で決まる
これも当たり前のことではありますが、株価は会社の業績の先行指数、会社の未来によって決まる、ということを今回痛感しました。
過去数年順調に成長してきていても、未来が暗くなると一気に株価は急落する・・・
とてもいい勉強になりました。
裏を返すと、過去数年不調でも、将来が期待される明るいニュースが出た会社は、株価が跳ね上がる可能性があるということ。
今年(2021年)、マザーズを中心に多くの銘柄が低迷しています。
今は不調だけど将来の希望がないかという視点で候補銘柄を丹念に観察し、小さい額でエントリーしていくような投資をやっていきたいと思っています。
・⑤良い噂や評判も盲信は危険
今回、自分自身にとって一番の反省点はこれです。
由利本荘市沖事業はレノバが取ると完全に信じ込んでいました。
入札事業だから100%なんてないのに・・・。
10月か11月には結果がでると言われていたので、11月下旬にはこんなツイートも。
こうは書いてますが、完全にいいニュースがでると思い込んでウキウキしていました。
仮に「取れるか取れないかはフィフティ・フィフティ」と考えていたとしても、勝利を信じて保有し続けていたので、結果は今回と同じように下落をくらっていたとは思いますが、100%盲信してしまっていた自分の思考に対して、とても反省しています。
長期投資においては「その会社の未来の成長を信じる力」はとても大事だと思っていますし、保有している限りポジティブに応援したいと思っていますが、100%盲信してしまうことがないように、リスクに全く目を向けなくなってしまうことがないように、フラットに会社の現状や未来を見る目を養っていきたいと思います。
・⑥勝つこともあれば負けることもある、それがビジネスの世界
「良い噂や評判も盲信は危険」とも重複しますが、ビジネスの世界において「100%」ということはありません。
まして入札案件ですから、ふたを開けないとわからない、勝つこともあれば負けることもありますよね。
今回株価は大暴落していますが、レノバが何か悪いことをしたわけでも、法律を犯したわけでもありません。
勝つこともあれば負けることもあるのは当たり前で、言ってみれば仕方ないこと、と思ってます。
すでに運転している事業を丁寧に安定稼働させ、開発中の事業をしっかり運転開始にこぎつけ、コツコツ別の案件を積み上げていくのみだと思っています。
もう負けちゃった事実は変わりませんから。
ビジネスの世界と同じく投資の世界も、勝つこともあれば負けることもありますから、投資する側の立場としても気持ちを切り替えないといけないですね。
・⑦誰のせいでもない
レノバは全力で事業を取りに行ったわけで、その結果として他の事業者が上回った。
レノバが悪いわけでもないし、めちゃくちゃ安く出した三菱商事連合が悪いわけでもないし、ルール作りをした国が悪いわけでもない。
結果は結果で受け入れないといけないですね。
自分でコントロールできないことで、あれこれ悩んでも仕方がない。
自分でコントロールできることに集中するのが、投資家としてあるべき姿勢と考えます。
次に進みましょう。
・⑧資金力は偉大
今回の入札結果を見て、三菱商事連合の資金力の強さが際立ちました。
由利本荘市沖事業の他、「秋田県能代市・三種町及び男鹿市沖」事業、「千葉県銚子沖」事業も受注しましたが、3事業とも価格点は満点の「120点」でした。
もう圧倒的です。
価格がめちゃくちゃ安いということは、電力を使う消費者にとってはいいことなのかなと思いますが、果たして利益は残るのでしょうかね?
・この事業単独で利益を残す気はない?
・競合に戦意喪失させて、今後の入札で参加者が減ったところで高い金額で取ろうとしてる?
・国内での実績を武器に海外でもっと大きな事業を取りに行く展望がある?
・何か附随する事業や切り口でマネタイズする目途がついてる?
三菱商事連合の値決めの裏にあるロジックはわかりませんが、いずれにしてもすごい資金力を見せつけられました。
悔しいですが、大手総合商社とは資金力が違いすぎるため、現在計画中の千葉県いすみ市沖事業も、今回と同じように真っ向勝負したら負けちゃうんでしょうね。
三菱商事や他の総合商社と上手に組む道はないものでしょうかね?
今回の価格が国内洋上風力発電事業のスタンダードになるなら、早めに諦めて海外事業など他のところにリソースを集中するのもありだと思います。
今後の決算発表や株主総会で、木南社長や千本会長がどんな未来を語るのか、楽しみに注目していきたいと思います。
■おわりに
1年の最後での大暴落はとてもショッキングでしたし、資産を大きく減らしてしまった投資家の方も多かったと思います。
新しい年が始まる前に、株式投資への向き合い方を今一度考えるように、という神様からのメッセージなのかもしれません。
今回の大暴落から学ぶべき8つの教訓を胸に、規律を持って2022年の相場に臨みたいと思います。
ちなに、レノバについては、以下の理由から引き続き期待していますし応援し続けたいと思っています。
・経営者・木南社長の落ち着いた話しぶりや語るビジョンが好き
・千本会長の存在が心強い
・2023年に向けて国内でバイオマス発電の稼働が多く予定されている
・海外案件も少しずつ動き始めている
1年間お疲れ様でした!
気持ちを切り替えて、来年も株頑張りましょう!
★★私が株式投資において参考にした書籍を以下の記事にまとめています!★★
よろしければご覧ください!
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