皆さん、牛丼は好きですか?
牛丼と言えば、どこのお店がお好きですか?
吉野家派ですか?
松屋派ですか?
すき家派ですか?
なか卯派ですか?
この記事では、人気の牛丼の比較、ではなく、牛丼チェーン大手2社、吉野家ホールディングスと松屋フーズホールディングスの決算書を比較します。
複数の会社の決算書を比較することで、その会社の個性がよりわかるようになります。
両社の違いを感じて頂き、少しでもあなたの投資の参考になれば嬉しいです。
なお、吉野家ホールディングスは2月決算、松屋フーズホールディングスは3月決算と、決算期にズレがあります。
以下記事では、10/11(水)に発表された吉野家ホールディングス2024年2月期第2四半期決算と、11/6(月)に発表された松屋フーズサービス2024年3月期第2四半期決算とを比較します。
■PL(損益計算書)の比較
まずはPLを比較します。
・売上高
2023年度第2四半期の売上高・増収率は以下の通りです。
売上高は吉野家が約1.5倍上回りました。
両社とも+10%を超える増収、期初の通期予想に対する進捗度は52%でした。
両社とも業績予想を上方修正しました。
【吉野家】
期初:176,000百万円→181,000百万円
【松屋】
期初:113,600百万円→123,400百万円
吉野家のセグメント別売上高は以下の通りです。
主力はもちろん吉野家で、売上高全体の66%を占めます。
うどんチェーンのはなまるが16%、海外が14%となっています。
前年同期比では吉野家:+10.6%、はなまる:+17.4%、海外:+10.4%と、全セグメント増収となりました。
松屋は、牛めしの「松屋」の他、とんかつの「松のや」、鮨の「すし松」なども展開していますが、セグメント別の売上高は開示されていません。
過去13年間(2010年度~2022年度)とこのQ2の売上高の推移は以下の通りです。
いずれの年も、吉野家が上回っています。
売上高はコロナ禍によって2020年度、2021年度と落ち込みました。
特に吉野家の下落ぶりが目立ちます。
コロナ禍では厳しい環境であった外食産業ですが、2022年度、2023年度と売上高は回復傾向です。
・営業利益・純利益
2023年度第2四半期の営業利益・純利益は以下の通りです。
営業利益は約2.5倍、純利益は約2.2倍、吉野家が上回りました。
松屋の営業利益、両社の純利益は2Q時点で期初の通期予想を上回り、両社ともに業績予想を上方修正しました。
【吉野家】
・営業利益
期初:4,600百万円→6,800百万円
・純利益
期初:2,400百万円→3,700百万円
【松屋】
・営業利益
期初:1,000百万円→3,500百万円
・純利益
期初:400百万円→2,200百万円
過去13年間(2010年度~2022年度)とこのQ2の営業利益・純利益の推移は以下の通りです。
吉野家はコロナ前の2018年度も大きな赤字を計上しました。
店舗の撤退等による減損損失5,107百万円を特別損失に計上したためです。
一方、2021年度の大幅な利益は、助成金等収入13,125百万円を営業外収益に計上したためです。
売上高ではいずれの年も完敗だった松屋ですが、純利益では2010~2012年度、2015~2020年度では吉野家を上回っています。
・利益率・ROE
2023年度第2四半期の利益率・ROEは以下の通りです。
過去13年間(2010年度~2022年度)とこのQ2の営業利益率の推移は以下の通りです。
コロナ禍前の2010年度~2019年度を見ると、松屋の方が高い営業利益率を記録しています。
コロナ禍以降は吉野家が上回り、利益率が逆転しているのはとても興味深いです。
■BS(貸借対照表)の比較
次に、BSを比較します。
2023年度第2四半期の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。
資産合計は吉野家が約36%上回りました。
有利子負債や自己資本比率は同水準ですが、現金は吉野家が約2倍保有しています。
両社のBSを図にすると以下の通りです。
短期的な安全性を示す流動比率(流動資産÷流動負債×100%)は、吉野家が158.6%、松屋が132.0%でした。
両者ともに安全の目安といわれる100%を上回りました。
■その他の項目(株価、配当など)
株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。
・PER・株価
PERは吉野家:56.9倍、松屋:45.4倍です。
両社ともに割安の目安とされる15倍を大きく上回っています。
両社の株価の推移は以下の通りです。
まずは吉野家です。
続いて、松屋です。
コロナ禍で大きく下落した両社ですが、吉野家は今年11月に上場来高値を更新、松屋も好業績を受けてコロナ禍前の水準に迫るまで戻ってきています。
・配当・増配率
配当利回りは、吉野家:0.49%、松屋:0.60%と、両社とも1%にも満たない水準です。
過去8年(2015年度~2022年度)と今期予想の両社の1株配当・増配率は以下の通りです。
吉野家はコロナ禍の2020年度に無配に転落しました。
両社とも株主還元に積極的とは言えません。
・株主優待
吉野家は100株以上保有で、年に2回2,000円相当の飲食券(500円×4枚)が送られます。
松屋は100株以上保有で、年に1回優待食事券10枚が送られます。
1年以上の継続保有が条件で、優待食事券1枚で主要メニューより1品選択できます。
■おわりに
牛丼チェーン大手2社の比較、いかがでしたでしょうか?
グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的に両社の違いを感じて頂けるように意識しました。
コロナ禍では苦しんだ両社ですが、業績も回復し、株価も非常に好調。
コロナ禍で勇気を持って買えた投資家さんは今頃報われていますね。
配当利回りは高くなく、株主還元に積極的とは言えず、またPERも決して低くありません。
株価成長を狙うのか、株主優待を楽しむのか、保有目的を明確にして投資判断したいですね。
あなたはいかがですか?
この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。
本日もお読み頂きありがとうございました!
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よろしければご覧ください!
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