個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは経費精算など、企業の業務効率化につながるクラウドサービスを展開するラクス(証券コード:3923)です。
東証プライム市場上場で、決算期は3月です。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は3,017億円、従業員数は連結で2,047名です。
同社が掲げるミッションは「ITサービスで企業の成長を継続的に支援します」です。
楽楽精算、楽楽明細などのサービスを展開しており、「最近経理の横澤さんが優しくなった」というテレビCM(出演:滝藤賢一さん、横澤夏子さん)もとてもコンセプトが分かりやすくて印象的です。
私がこの会社に注目している理由は
①経理業務のIT化に課題を抱える企業は多く、同社のサービスが顧客企業の生産性向上に貢献すると考えているから
②決算説明動画をHPにアップしたり、毎月月次売上高を開示したり、IR・情報開示の姿勢が素晴らしいから
③中長期的な展望を持ちながらトップラインを伸ばすための投資にも力を入れているから
です。
現在私はラクスの株を100株保有しています。
■決算発表内容の概要
2023/5/12(金)に発表した2023年3月期決算の主な内容は以下の通りです。
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比+32.8%、営業利益は同+4.9%、純利益は同+18.2%でした。
売上高は+30%超と大きく成長しました。
増収率は、2019年3月期から5期連続で+30%超え、高成長を維持しました。
売上高の約81%を占めるクラウド事業は新規受注の積み上がりにより、前年比+33.3%でした。
稼ぎ頭の「楽楽精算」は+35.1%、積極的にテレビCMを行っている「楽楽明細」は+65.3%と、大きく成長しました。
「楽楽明細」の累計導入社数は加速度的に増加しています。
中期経営目標では2022年3月期~2026年3月期までの5ヶ年で、売上高CAGR(年平均成長率)27%~30%を掲げています。
(計画当初は25%~30%でしたが、下限を27%に引き上げました。)
かなりの高成長、チャレンジングな目標設定ですが、これまでの成長の軌跡を見ると、宣言通り実現してくれるのではないかと期待が持てます。
営業利益・純利益はともに増益となりました。 成長投資のため人件費・広告宣伝費は増加しましたが、それを上回る増収効果により、増益となりました。
●収益性のチェック
売上高営業利益率は6.0%、売上高純利益率は4.6%でした。
いずれも目安としている15%、10%には届きませんでした。
現在は2026年3月期に大きな果実を得るために積極的に投資をしているフェーズですので、利益率は低く出やすい時期です。
過去9年間(2015年3月期~2023年3月期)の利益率の推移は以下の通りです。
前中期経営計画最終年度の2021年3月期は収穫期で、非常に高い利益率を残しました。
現中期経営計画最終年度の2026年3月期にこのような利益率を残せるのか、楽しみです。
ROEは14.0%でした。
●安全性のチェック
自己資本比率は67.8%でした。
現金5,990百万円に対し、有利子負債は36百万円と、現金が有利子負債を大きく上回りました。
過去5年の貸借対照表の推移は以下の通りです。
2021年3月期にBSの規模が拡大しています。
この年は前中期経営計画最終年度で、純利益が過去最高の2,936百万円を記録するなど、好業績をたたき出した1年でした。
流動資産と純資産が大きく増加しました。
いずれの年も流動資産が負債合計を上回り、自己資本比率も高く、財務の安全性は問題ありません。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは+2,170百万円と、キャッシュインとなりました。
営業利益1,656百万円を上回りました。
キャッシュフローの概要を図にすると、以下の通りです。
大きな設備投資が必要なビジネスではないため、営業CF内でのキャッシュの動きが中心です。
■業績予想(会社発表)に対する達成度
2022年11月11日の第2四半期決算発表時に発表した通期予想に対する達成度は以下の通りです。
売上高:100.4%、営業利益:116.3%、純利益:136.4%。
売上高は計画通り、営業利益・純利益は計画を上回っての着地となりました。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報から、来期の業績予想を見ていきます。
こちらは決算発表前の3月発売の四季報情報ですので、参考程度にご覧ください。 会社発表の業績予想は第2四半期までの開示となります。
最重要指標である増収率は+32.0%と予想されています。
■株価水準とチャートの動き
6/6(火)の終値は2,395円。PERは221倍です。
過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。
2020年のコロナショック以降、株価が一気に上昇しました。
コロナショック時の安値550円から、2021年9月の上場来高値4,775円まで、実に8倍以上株価は上昇しました。
2021年3月期は2019年3月期からの3ヶ年計画の最終年で収穫期の1年で好業績であったこと、コロナ禍でリモートでの業務推進、ペーパーレスでの業務推進の必要性・ニーズが一気に重なったこと、が株価上昇の要因です。
2021年後半以降は、高PER銘柄の株価下落が顕著で、同社の株価も大きく下落しました。
現在の株価は2021年9月の上場来高値から▲50%の水準です。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
5ヵ年の中期経営計画の2年目が終了しました。
売上高は+32.8%と大きく増収、営業利益・純利益も増益で着地しました。
中期経営目標で掲げている「売上高CAGR(年平均成長率)」は「27%~30%」に引き上げられました。
中計当初は「25%~30%」、1年目を終えたところで「26%~30%」に引き上げ、そして今回2年目を終えたところで「27%~30%」に引き上げと、順調に売上高が成長していることを感じられる上方修正です。
中期経営計画の目標は以下の3点です。
・5ヶ年の売上高CAGR 27%~30%
・2026年3月期の純利益 100億円以上
・2026年3月期の純資産 200億円以上
いずれも非常にチャレンジングな目標設定ですが、目指す目標が非常に具体的で、かつ目標に向かって着実に前進しており、非常に安心感をもって見守れる会社であると感じます。
経理業務のIT化に課題を抱える企業は多く、同社のサービスは時代のニーズにあっており、同社は今後ますます顧客企業の生産性向上に貢献していくと期待しています。
現在保有中の100株については、中期経営計画終了の2026年3月期までに株価2倍になることを期待し、長期保有予定です。
長期的な視点を持ちながら、じっくり応援したいと思います。
以上が私の戦略です。
■おわりに
5年で株価2倍。
私が株価成長を狙って観察している銘柄に期待しているリターンです。
5年で株価2倍を実現するためには、
①いい銘柄であること
②いいタイミングであること
が求められます。
日々学びを重ねながら、求めるリターンが実現できる銘柄・タイミングを探っていきます。
私がこれまで参考にしてきた書籍を以下の記事にまとめていますので、よろしければご覧ください!
本日もお読み頂きありがとうございました!
■参考:同社に関する過去の記事
・【ラクス】22/8/12決算発表内容と私の投資戦略
※22/8/12(金)に発表した2023年3月期第1四半期決算についての記事です。
・【ラクス】22/5/13決算発表内容と私の投資戦略
※22/5/13(金)に発表した2022年3月期第4四半期決算についての記事です。
・【ラクス】22/2/10決算発表内容と私の投資戦略
※22/2/10(木)に発表した2022年3月期第3四半期決算についての記事です。
・【ラクス】21/11/12決算発表内容と私の投資戦略
※21/11/12(金)に発表した2022年3月期第2四半期決算についての記事です。
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