【決算書比較】ハウス食品とヱスビー食品、あなたはどちらがお好み?(2023年3月期)

決算分析

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興味がある方は、以下の記事をご参照下さい。

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皆さん、カレーライスは好きですか?

この記事では、カレーとも縁の深い食品大手2社、ハウス食品グループ本社ヱスビー食品の決算書を比較します。

複数の会社の決算書を比較することで、その会社の個性がよりわかるようになります。

両社の違いを感じて頂き、少しでもあなたの投資の参考になれば嬉しいです。

なお、この記事では、今年5月に発表された2023年3月期決算の数値を用いて比較します。

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■PL(損益計算書)の比較

まずはPLを比較します。

・売上高

2023年3月期の売上高・増収率は以下の通りです。

売上高はハウス食品が倍以上上回りました。

増収率はハウス食品が8.6%と、2.2のヱスビー食品を上回りました。
両社とも年度当初に発表した業績予想を達成しました。

カレーで有名な両社ですが、カレールウだけを生産しているわけではありません。

ハウス食品のセグメント別売上高は以下の通りです。

カレールウ製品をはじめとした主力の「香辛・調味加工食品事業」は売上高全体の42%です。
ルウカレー、レトルトカレー、スパイスなどの取扱があります。
「バーモントカレー」「北海道シチュ―」「ククレカレー」フルーチェ」「ギャバン」といったおなじみのブランドです。

売上高の18%を占める「外食事業」は「CoCo壱番屋」でおなじみの(株)壱番屋によるものです。

同じく売上高の18%を占める「海外食品事業」は米国・中国・タイを重点3エリアと位置づけ、展開しています。
米国では豆腐事業にも力を入れています。

売上高の6%を占める「健康食品事業」は、「ウコンの力」「C1000」などを取り扱っています。

ヱスビー食品のセグメント別売上高は以下の通りです。

「食料品事業」と「調理済食品」に大別されますが、89が「食料品事業」です。

「食料品事業」をさらに細かく分けると、以下の4つに分類されます。


「スパイス&ハーブ」は「テーブルコショー」「辣油」「七味唐がらし」など、家庭でおなじみのブランドを取り扱っています。
「即席」は「ゴールデンカレー」「とろけるカレー」「濃いシチュー」などを取り扱っています。
「香辛調味料」は「本生 本わさび」やお徳用タイプのチューブ製品などを取り扱っています。

過去13年間(2011年3月期~2023年3月期)と2024年3月期予想の売上高の推移は以下の通りです。

ハウス食品が常に上回っており、その差は縮まっていません。

・営業利益

2023年3月期の営業利益は以下の通りです。

売上高同様、営業利益もハウス食品が大きく上回りました。
こちらは3倍以上の差をつけました。

両社とも前年比で減益でした。 特にヱスビー食品は37.3%と大幅減益でした。

減益の要因は、原材料価格の高騰です。
ハウス食品は「香辛・調味加工食品事業の原材料価格高騰による影響」が大きかったと説明しています。

過去13年間(2011年3月期~2023年3月期)と2024年3月期予想の営業利益の推移は以下の通りです。

売上高と同じく、ハウス食品がいずれの年でも上回っています。

2024年3月期の予想は、ハウス食品が20.3%で過去最高水準なのに対し、ヱスビー食品は1.9%と横ばいです。

・純利益

2023年3月期の純利益は以下の通りです。

営業利益同様、両社ともでした。

特にヱスビー食品は34.5%と大幅減益でした。

ハウス食品は年度当初の業績予想を20%以上良化したのに対し、ヱスビー食品は20%弱未達でした。

過去13年間(2011年3月期~2023年3月期)と2024年3月期予想の純利益の推移は以下の通りです。

ハウス食品の2016年3月期の純利益が大きく跳ね上がっている要因は(株)壱番屋株式の追加取得に伴い発生した「段階取得に係る差益」を特別利益に計上したためで、一時的な事由です。

・利益率・ROE

2023年3月期の利益率・ROEは以下の通りです。

利益率はハウス食品が上回りで、ROEはヱスビー食品が上回りました。

過去13年間(2011年3月期~2023年3月期)と2024年3月期予想の営業利益率の推移は以下の通りです。

ハウス食品の利益率がだんだんと改善しているのに対し、ヱスビー食品の利益率は低迷していることがわかります。

ヱスビー食品の2021年3月期の利益率が跳ね上がっているのは、収益認識基準を適用したことにより売上高が減少した一方で、コロナ禍でプロモーション活動費用や販売活動費用が減少し営業利益が増加したためです。

■BS(貸借対照表)の比較

次に、BSを比較します。

2023年3月期の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。

資産合計はハウス食品がヱスビー食品の約3と大きく上回っています。

ハウス食品の方が自己資本比率は高く、有利子負債は少なく、財務の安全性は高いです。

両社のBSを図にすると以下の通りです。

ハウス食品は流動資産が負債合計を大きく上回っており、財務の安全性の高さが図からも伝わってきます。

■その他の項目(株価、配当など)

株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。

・PER・株価

PERは、ハウス食品:18.2、ヱスビー食品:10.2と、ヱスビー食品の方が割安です。

両社の株価の推移は以下の通りです。

まずはハウス食品です。

※ハウス食品の株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

2019年5月の高値以来、下落傾向が続いていましたが、今年3月ごろからグングン上昇しました。

このまま上昇が続くのか、注目です。

続いて、ヱスビー食品です。

※ヱスビー食品の株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

ここ4年間ほど、3,500円~5,000円の幅の中で推移をしています。
2022年以降、低空飛行が続いています。

PERの低さは、割安というよりも、もしかすると注目度の低さを表しているのかもしれません。

・配当

配当利回りはヱスビー食品が上回り、配当性向はハウス食品が上回りました。

過去数年の推移を見ると、ヱスビー食品の方が増配を続けていることがわかります。

・株主優待

ハウス食品は100株以上保有で、年に2回1,000円相当の自社グループ製品詰合せ(食品等)が送られます。

※ハウス食品の株主優待(100株以上保有)。同社HPより抜粋。

ヱスビー食品は100株以上保有で、年に2回1,000円相当の自社製品詰合せ(レトルト食品・調味料等)が送られます。

※ヱスビー食品の株主優待(100株以上保有)。SBI証券お客様サイトより抜粋。

■おわりに

食品大手2社の比較、いかがでしたでしょうか?

グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的に両社の違いを感じて頂けるように意識しました。

個人的には、多くの指標で上回ったハウス食品が投資対象として有望であると感じました。

ただ、最近の日本株の上昇の流れを受けて、ハウス食品の株価も随分上がってしまいました。

配当+優待の総合利回りが3%を越えるくらいまでは手を出したくないなという気持ちがありますので、しばらくは様子見になりそうですが、気長に観察を続けたいと思います。

この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。

本日もお読み頂きありがとうございました!

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