皆さん、旅行は好きですか?
旅行に行く時、どのように予約をしますか?
X(旧Twitter)で、旅行の際の予約方法についてアンケートを取ったところ、結果は以下の通りでした。
「全て自分でオンラインで予約!」という方が9割超と圧倒的に多いということが改めてわかりました。
旅行会社もこれからは店舗型ではなく、オンライン型で顧客のニーズをキャッチしていかないと生き残っていけない時代なのかもしれません。
この記事では、私がオンライン旅行予約のプラットフォームとして注目しているエアビーアンドビー(以下、「エアビー」)とエクスペディアの2社の決算書を比較します。
複数の会社の決算書を比較することで、その会社の個性がよりわかるようになります。
両社の違いを感じて頂き、少しでもあなたの投資の参考になれば嬉しいです。
なお、この記事では、今年8月に発表された2023年4~6月期決算(第2四半期決算)の数値を用いて比較します。
■PL(損益計算書)の比較
まずはPLを比較します。
・売上高
2023年4~6月期(第2四半期)及びQ2累計の売上高・増収率は以下の通りです。
売上高はエクスペディアが上回りましたが、増収率はエアビーが上回りました。
ドル高の米国では国内旅行需要が鈍化する一方、海外旅行が増加しているようです。
過去5年間(2018年12月期~2022年12月期)と今期Q2の売上高の推移は以下の通りです。
両社の差異がだんだんと小さくなっていることがわかります。
エアビーはFY21、FY22と過去最高売上高を2年続けて更新し、このQ2(4-6月)もQ2としては過去最高と、勢いよく追い上げています。
エアビーの四半期ごとの売上高推移は以下の通りです。
季節の波動でQ3が強いのも特徴です。
・営業利益・純利益
2023年4~6月期(第2四半期)及びQ2累計の営業利益・純利益は以下の通りです。
営業利益・純利益ともにエアビーが上回りました。
売上高では負けていましたが、利益では逆転しました。
それだけ利益率が高いということですね。
過去5年間(2018年12月期~2022年12月期)と今期Q2の営業利益の推移は以下の通りです。
両社ともコロナ禍で打撃を受けましたが、その後の回復はエアビーの方が力強いことがわかります。
なお、エアビーの上場はコロナ禍の2020年12月です。
・利益率・ROE
2023年4~6月期(第2四半期)及びQ2累計の利益率・ROEは以下の通りです。
売上高営業利益率・売上高純利益率ともに、エアビーが大きく差をつけて上回りました。
ROEも28.9%と非常に高く、収益性の高さを示しました。
売上高営業利益率の推移をグラフにすると以下の通りです。
両社ともFY22と比べると低下しているように見えますが、今期はもっとも利益が出やすいQ3の数値が含まれていませんので、通期終わった時点で判断する必要がありますね。
なお、参考までに、日本の代表的な旅行会社のコロナ禍前の営業利益率は以下の通りです。
営業利益率は0.5~2.8%と、非常に低いです。
伝統的な店舗型の旅行代理店は、その分人件費や店舗費用などのコストが発生します。
冒頭のアンケ―トの通りオンラインで自ら予約する人が増えている現在、店舗にかかるコストを回収し利益を残すだけの売上を稼いでいくのは難しいのかもしれません。
■BS(貸借対照表)の比較
次に、BSを比較します。
2023年4~6月期(第2四半期)の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。
資産合計と有利子負債はエクスペディアが上回り、自己資本と現金はエアビーが上回りました。
エアビーの方が財務の安全性は高いです。
両社のBSを図にすると以下の通りです。
短期的な安全性を示す流動比率(流動資産÷流動負債×100%)は、エクスペディアが83%、エアビーが147%です。
安全の目安が100%以上と言われますので、100%を割っているエクスペディアは不安が残ります。
両社は固定資産の割合が大きく異なります。
エクスペディアの固定資産のうち56%はM&Aによるのれん(Goodwill:7,150百万ドル)です。
エクスペディアの四半期ごとの現金・有利子負債・自己資本比率の推移は以下の通りです。
コロナ禍では現金と比べ有利子負債が大きくなりましたが、直近では拮抗してきました。
6.9%と非常に低い自己資本比率が今後持ちなおしていくのか、注目です。
■その他の項目(株価、配当など)
株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。
・PER・株価
PERはエクスペディア:14倍、エアビー:37倍と、エアビーはやや割高です。
両社の株価の推移は以下の通りです。
まずはエクスペディアです。
2020年のコロナショックでは、旅行需要の蒸発により、株価は40ドルまで急激に下落しました。
その後は金融相場の後押しや需要回復期待から上昇し2022年2月には上場来高値217ドルをつけましたが、相場全体の地合いが崩れたこと、22Q1、22Q2と四半期赤字が続いたこともあってか、100ドルあたりまで下落しました。
ここ1年程度、100ドルの上や下を行ったり来たりしている状態です。
続いて、エアビーです。
コロナ禍の2020年12月に上場して3年弱。
厳しい事業環境の中ということもあり、株価はさえない展開が続いていました。
ただ、今年に入ってからはグロース銘柄に買いが戻り始めたこと、初めて通期での純利益黒字化を達成したこともあり、年初来で+50%を超えて上昇しています。
・配当
両社ともに無配です。
キャピタルゲインを狙った投資戦略をたてていく必要があります。
■おわりに
米・オンライン旅行プラットフォーム2社の比較、いかがでしたでしょうか?
グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的に両社の違いを感じて頂けるように意識しました。
エアビーの成長ぶりが顕著に感じられたのではないでしょうか。
コロナ禍で大きな打撃を受けた業界ではありますが、コロナ禍を経て、人々が持つ「旅をしたい」という想いの大きさもまた実感できました。
今後も様々な天災地変によって逆風が吹き荒れることもあるとは思いますが、いつの時代も消えないニーズに向き合った業界であると思っています。
そしてそのニーズを捉えられるのが店舗型の旅行会社ではなく、オンライン型の旅行会社であると思います。 両社の成長が楽しみです。
この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。
本日もお読み頂きありがとうございました!
★★私が株式投資において参考にした書籍を以下の記事にまとめています!★★
よろしければご覧ください!
■参考:両社に関する過去の記事
・【決算書比較】エアビーとエクスペディア、あなたはどちらがお好み?(22年10-12月期)
・【エアビーアンドビー】23/2/14決算発表内容と私の投資戦略
・【エクスペディア】23/2/9決算発表内容と私の投資戦略
・【決算書比較】エアビーとエクスペディア、あなたはどちらがお好み?(22年7-9月期)
・【エクスペディア】22/11/3決算発表内容と私の投資戦略
・【エアビーアンドビー】22/11/1決算発表内容と私の投資戦略
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