【決算書比較】花王とライオン、あなたはどちらがお好み?(2023年12月期第2四半期)

決算分析

【更新記事あり!】
本記事以降の決算発表についても記事を書いています!
興味がある方は、以下の記事をご参照下さい。

最新の決算比較 こちらからどうぞ!

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日用品大手として私たちの生活にも身近な花王(銘柄コード:4452)、ライオン(同:4912)の2社の決算書を比較します。

複数社の決算書を比較することで、その会社の個性がよりわかるようになります。

なお、この記事では、今年8月に発表された2023年12月期第2四半期決算の数値を用いて比較します。

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■PL(損益計算書)の比較

まずはPLを比較します。

・売上高

売上高・増収率・期初業績予想に対する進捗率は以下の通りです。

売上高は花王がライオンの3.8と、大きく上回りました。

花王は+0.6%の微増でしたが、為替の影響を除いた実質では2.3%の減収でした。

花王のセグメント別売上高構成比は以下の通りです。

為替影響を除いた各セグメントの実質増収率(為替影響を除く)は以下の通りです。

ハイジーン&リビングケア事業:+1.6%
ヘルス&ビューティーケア事業:+3.1%
ライフケア事業:+1.2%
化粧品事業:▲1.6%
ケミカル事業:▲12.5%

特にケミカル事業の減少が目立ちます。
欧米市場の需要の大幅減油脂製品の価格改定により売上高が減少しました。

ライオンは4.2%でしたが、為替の影響を除いた実質では2.2%の微増でした。

セグメント別の売上高は以下の通りです。

※ライオンの決算説明資料より抜粋

外部売上高(下段)を見ると、海外は+13.9%でした。

為替変動の影響を除く実質増減率を国ごとに見ると以下の通りです。

中国:+41.9%
韓国:+8.7%
タイ:+4.1%
マレーシア:▲4.7%

中国はハミガキ「ホワイト&ホワイト」の現地生産品が好調に推移するなど、大幅に増収でした。

過去8年間(2015年12月期~2022年12月期)と今期Q2の売上高の推移は以下の通りです。

両社とも売上高は横ばいで、成熟産業という印象を受けます。

増収率の推移は以下の通りです。

2018年12月期のライオン(14.9%)、2020年12月期の花王(8.0%)の減収が目立ちます。

花王はこの7年のうち3が減収、ライオンは2が減収です。

・営業利益・純利益

営業利益・純利益・増益率・期初業績予想に対する進捗率は以下の通りです。

営業利益・純利益は、花王がライオンの3.8~4.1倍程度と、大きく上回りました。

営業利益、純利益ともに、両社とも▲50%を超える減益、期初予想に対する進捗率も25%以下と、両社ともに苦戦しています。

今回の決算発表で花王は業績予想を大幅に下方修正しました。

営業利益:120,000百万円 → 60,000百万円 (50.0%

純利益 :88,000百万円 → 41,000百万円 (53.4%

花王の営業利益の増減要因は以下の通りです。

※花王の決算説明資料より抜粋

原材料価格高騰に対し値上げを実行したものの、ケミカル事業の減速や販管費の増加、ベビー用紙おむつの中国自社工場生産終了に伴う構造改革費用などにより、減益となりました。

過去8年間(2015年12月期~2022年12月期)と今期Q2の営業利益の推移は以下の通りです。

花王は3期連続減益が続いており、今期も減益予想です。

ライオンは2期連続減益が続いており、今期も減益予想です。

減益が続いているのは気になります。

・利益率・ROE

2023年12月期第2四半期の利益率・ROEは以下の通りです。

両社ともほぼ同水準です。

過去8年(2015年12月期~2022年12月期)と今期Q2の営業利益率の推移は以下の通りです。

2015年12月期には7ポイントの差がありましたが、近年では利益率は同水準です。

両社とも利益率が低迷しています。

■BS(貸借対照表)の比較

次に、BSを比較します。

2022年12月期第2四半期の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。

BSの規模(資産合計)は花王の方がライオンより約3.7大きいです。

自己資本比率は同水準です。

ライオンは有利子負債が非常に少ないです。

両社のBSを図にすると以下の通りです。

短期的な安全性を示す流動比率(流動資産÷流動負債×100%)は、花王:198.1%、ライオン:163.8%と両社とも目安の100%を上回りました。

■CF(キャシュフロー計算書)の比較

続いて、CFを比較します。

2023年12月期第2四半期のCFの概要は以下の通りです。

図にすると以下の通りです。

まずは花王です。

続いてライオンです。

花王の財務CFの主な内容は、支払配当金:▲34,434百万円です。

連続増配銘柄で有名な花王の株主還元姿勢がここに表れています。

ただし、株主還元の源泉は本業からの安定したキャッシュ創出力となります。

近年本業が不調なことは、今後の株主還元方針に影響を与える可能性もあり、注意が必要です。

ライオンの投資CFの主な内容は、有形固定資産の取得による支出:▲11,234百万円関係会社株式の取得による支出:▲7,087百万円です。

■その他の項目(株価、配当など)

株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。

・PER・株価

PERは、花王:62.6、ライオン:24.7です。

花王は業績予想の下方修正もあり、PERが高くなっています。

両社の株価チャートは以下の通りです。

※花王の株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

※ライオンの株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

両社とも低迷が続き、5年前の水準から随分下で推移しています。

・配当利回り・配当性向・増配率

配当利回りは、花王:2.72%、ライオン:1.71%

配当性向は、花王:170.1%、ライオン:42.3%でした。

花王は業績予想の下方修正により、予想1株純利益が予想1株想配当株を下回り、配当性向は100%を上回ってしまっています。

日本の上場企業で最長の33年連続増配をしている花王ですので、今期も継続するとは思いますが、近年利益創出力が低迷しており苦しい状況と言えます。

両社の1株配当・増配率の推移は以下の通りです。

両社とも増配を続けているもの、増配率は低迷しています。 営業利益・純利益が低迷している状況ですので、当然配当の伸びも小さなものになります。

■おわりに

日用品大手2社の比較、いかがでしたでしょうか?

グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的両社の違いを感じて頂けるように意識しました。

両社ともに増収減益と足元では利益面で苦戦しています。

過去数年の業績推移をみても利益が伸び悩んでおり、それが配当の伸び悩みにつながるなど、なかなか明るい兆しを感じることはできない状況です。

今後どちらの会社が一早く成長軌道に戻していけるのか、今後の決算を注目したいと思います。

この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。

本日もお読み頂きありがとうございました!

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■参考:両社に関する過去の記事

資生堂、花王などの業績を図解【TOPIX Large 70②】
【決算書比較】花王とライオン、あなたはどちらがお好み?(2022年12月期第4四半期)
【決算書比較】花王とライオン、あなたはどちらがお好み?
【ライオン】22/2/14決算発表内容と私の投資戦略

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