私は毎年資産+10%達成を目標に投資に励むサラリーマン投資家です。
通勤時間や平日の夜、週末の時間を使って、売買候補となる銘柄の研究を行っています。
日々様々な情報が飛び交いますが、特に年に4回(四半期に1回)行われる決算発表は、企業の業績・状態を把握し、今後の投資戦略を考える上でとても重要な情報です。
この記事では、私が保有中 or 気になっている銘柄の決算発表内容をチェックし、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
記載している銘柄を推奨しているわけではありませんが、私の視点や考え方が読者の方の参考になれば嬉しいです。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは通信サービスを展開するソフトバンク(証券コード:9434)です。
東証1部上場で、決算期は3月です。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は7兆251億円、従業員数は連結で47,313名です。
コンシューマ向け、法人向け事業に加え、ヤフー、ZOZO、LINEを傘下に抱える巨大企業グループです。
私がこの会社に注目している理由は、
①特に法人向け事業にまだまだ伸びしろ・将来性、社会への貢献余地を感じているから
②ソフトバンググループ、ソフトバンクビジョンファンドとの連携による新領域への展開が期待できるから
③株主還元意識の高さを感じるから です。
現在私はソフトバンクの株を100株保有しています。
■決算発表内容の概要
2021/11/4(木)に発表した2022年3月期第2四半期決算の主な内容は以下の通りです。
【主な決算発表内容】(単位:百万円)
売上高 :2,724,234(前年同期:2,428,427 前年同期比:+12.2%)
営業利益 : 570,846(前年同期: 589,605 前年同期比: ▲3.2%)
純利益 : 307,257(前年同期: 315,104 前年同期比: ▲2.5%)
資産合計 :12,240,326(前期末:12,207,720)
自己資本 : 1,647,319(前期末: 1,535,723)
現金 : 1,526,688(前期末: 1,584,892)
有利子負債: 5,969,613(前期末: 5,692,592)
営業CF :+723,541(前年同期:+785,889)
投資CF :▲723,793(前年同期:▲426,145)
財務CF : ▲59,336(前年同期:+243,601)
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)
【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100
【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上
★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)
【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%) =純利益÷自己資本×100
※四半期決算時は純利益を年換算し算定
【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE :15%以上
★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か
【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100
【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。)
★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か
【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比+12.2%でした。
営業利益は同▲3.2%、純利益は同▲2.5%でした。
売上高は10%超えの増収となりました。
LINEの子会社化によるところが大きいですが、コンシューマ、法人、流通、ヤフー、各セグメントとも増収となりました。
営業利益が減益なのは、通信料値下げの影響が大きいです。
セグメント別でみると、前年同期比でコンシューマ向けは▲10%の減益となりました。
コンシューマ向けが同社の主力事業であり、今期の売上高に占める割合は50.1%、営業利益に占める割合は63.8%とインパクトが大きいため、今後の決算でも通信料値下げの影響には注目です。
なお、今後の成長が期待される法人向けは、売上高で前年同期比+5%、営業利益は同+15%でした。
今期の売上高に占める割合は12.9%、営業利益に占める割合は13.0%ですが、今後この比率がどこまで高まるかも、注目していきたいです。
●収益性のチェック
売上高営業利益率は21.0%、売上高純利益率は11.3%、ROEは37.3%でした。
いずれも指標を上回り、高い収益性を発揮しています。
菅政権時代はこの利益率の高さを理由に通信料にメスが入ってしましましたが、通信料値下げの影響はありつつも、引き続き高い収益性を維持しています。 安定的に収益が見込めるコンシューマ事業に、成長性・収益性の高い法人向けが今後積みあがっていくことに期待したいです。
●安全性のチェック
自己資本比率は13.5%でした。
現金は1,526,688に対し、有利子負債は5,969,613です。
5Gの基地局設置のための投資等、多額の設備投資をしていることもあり、自己資本比率は低く、有利子負債も現金の4倍近くあります。
本業でキャッシュがちゃんと入ってきているかを見ていく必要があります。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは+723,541と、キャッシュインとなりました。
営業利益570,846も上回っており、キャッシュ創出力も高いと言えます。
キャッシュフローのバランスを見ると、営業活動で稼いだキャッシュ(+723,541)とほぼ同額を、投資活動(▲723,793)で使っており、積極的に設備投資を進めていることがわかります。
今後も安定的に営業CFからのキャッシュインが続いていくのか、注目していきたいです。
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
会社が発表した業績予想に対する進捗度は、年間の業績予想が妥当なものかを考える上で大切な指標です。
もし進捗度が高い場合は、業績予想の上方修正が発表される可能性もあります。
Q1は25%、Q2は50%、Q3は75%、Q4は100%を超えている場合を優秀と定義して、チェックしていきます。
もちろん企業によって季節波動がありますので、単純に数値だけをみるのではなく、前年度の四半期進捗を参考にするのも大事ですね。
売上高の進捗度は49.5%でした。
営業利益の進捗度は58.5%でした。
純利益の進捗度は61.5%でした。
売上高は若干50%を割り込みましたが、ほぼ業績予想通りに進捗しています。
営業利益、純利益は60%前後と、予想を上回って進捗しています。
今年4月に宮川社長が就任され、今期は1年目ということもあり、着実に達成できる目標を設定している面もあるかと思いますので、営業利益・純利益は通期でも業績予想を上回るかもしれません。楽しみです。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報では、過去の業績に加えて、今期の業績予想、来期の業績予想が記載されています。
会社四季報の記者が会社に取材をし、分析した結果掲載されている予想値です。
会社が発表している業績予想と一致する場合もあれば、ずれることもあります。
このずれがある時は、注意が必要です。
今期の会社発表業績予想から、来期の四季報発表業績予想への成長性を見ていきます。
売上高は+3.6%、営業利益は+2.6%、純利益は+4.6%です。
いずれも控えめな印象です。
なんといっても通信料値下げの影響が年々積みあがっていきますので、なかなか大幅な増収・増益を見込むのは難しいかもしれません。
コンシューマ事業は減収減益傾向が続くと思いますので、法人向け事業やヤフー・LINEがどれだけ伸びていくかが、同社の未来のカギになっていきそうです。
■株価水準とチャートの動き
11/5の終値は1,513円。予想PERは14倍台です。
過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。
2018年12月の上場の際は公開価格1,500円を割り込んでのスタートとなり、その後もなかなか1,500円を抜けきれない期間が長かったですが、昨年の秋口以降順調に上昇し、現在は1,500円を超えています。
通信料値下げの影響などで将来に向けた懸念はあるものの、安定的なキャッシュ創出力や法人事業の成長、ソフトバンクグループ・ソフトバンクビジョンファンドとの連携による将来性を考えると、PER14倍台は割安かと思います。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
増収減益ではありますが、今期予想に向けて着実な進捗を見せた決算でした。
やはり通信料値下げの影響が今後どれだけでてくるのか、という懸念はあります。
現在はまだコンシューマ向けが売上高の50%、営業利益の60%と大きなウエイトを占めるため、今後の決算でも事業における構成比には注目していきたいと思います。
スマホの他にも、ヤフー、PayPay、LINE等、私たちの生活にかなり根差したタッチポイントを多く持っていますので、なくてはならない存在として、今後も事業が成長急いていくことを期待しています。
株価もまだまだ上がる余地はあると思いますが、この会社に関しては大きな値上がりを求めるわけではなく、長期で保有して配当金をコツコツ頂ければOK、と考えています。
2022年度までは総還元性向は85%程度、減配なしを表明していますし株主還元意識は高いですので、安心して保有を継続するつもりです。
通信料値下げの影響で2023年度の株主還元方針がどうかわるかには注意しないといけませんが、それでもなお基本的には長期保有を考えています。
PERも14倍と割安と考えていますので、何か外部からの圧力などで株価が大きく調整することがあれば、追加の購入も検討していきたいです。
目安としては、1,300円(現在の株価から14%)あたりまで下がれば、積極的に買っていきたい、というのが、私の戦略です。
■まとめ
長くなりましたが、お読み頂きありがとうございました!
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、上記のような観点で継続的に観察を続けています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指して日々観察をしています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になったのであれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!お読み頂きありがとうございました!
コメント