個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
株式投資を学ぶならファイナンシャルアカデミー■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは米・動画配信大手のネットフリックス(ティッカーシンボル:NFLX)です。
NASDAQ上場で、決算期は12月です。
SBI証券お客様サイト内の銘柄サマリー情報より数値を抜粋すると、時価総額は1,192億ドル、従業員数は11,300人です。
私がこの会社に注目している理由は、未来のメディアの在り方を変える可能性があると思っているからです。
スポンサーからの広告収入ではなく、利用者からお金を取るビジネスモデルである同社。
継続的に利用してもらうためには魅力的なコンテンツを作り続ける必要があり、そのためにコンテンツに対して莫大な資金を投じています。
ユーザーにとっての価値を追求する姿勢が現在のテレビとは全く異なり、近い将来テレビは駆逐され、ネットフリックスがエンターテイメントの中心になっているのではないかと予想しています。
なお、現在私はネットフリックスの株を1株保有しています。
■決算発表内容の概要
2022/10/18(火)に発表した2022年12月期第3四半期決算の主な内容は以下の通りです。
【各数値の定義】(決算書のどの数値からとっているか)
売上高:Revenues
営業利益:Operating Income
純利益:Net income
資産合計:Total assets
自己資本:Total stockholders’ equity
現金:Cash and cash equivalents
有利子負債:Short-term debt, Long-term debt
営業CF:Net cash provided by operating activities
投資CF:Net cash used in investing activities
財務CF:Net cash used in financing activities
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
Q3の売上高は前年同期比+5.9%、営業利益は同▲12.7%、純利益は同▲3.5%でした。
Q3累計の売上高は前年同期比+8.1%、営業利益は同▲8.6%、純利益は同▲1.6%でした。
四半期・累計ともに増収減益となり、売上高も目安の+10%には届きませんでした。
市場に最も注目されている契約者数(Global Streaming Paid Memberships)は、7~9月で+242万人増加しました。
1~3月は▲20万人の減少(2011年以来初めての減少)、4~6月は▲97万人の減少と、2四半期連続で減少となり心配されましたが、今四半期は増加に転じました。
2017年Q4以降の契約者数の推移、契約者増減の推移は以下の通りです。
特に今年に入ってから、契約者数の伸びが鈍化していることがよくわかります。
●収益性のチェック
Q3の売上高営業利益率は19.3%、売上高純利益率は17.6%でした。
Q3累計の売上高営業利益率は21.4%、売上高純利益率は18.7%でした。
利益率は目安としている15%、10%を上回り、高い収益性は健在です。
過去4年間(2018年12月~2021年12月)と今期の利益率の推移は以下の通りです。
利益率はやや悪化していますが、それでもまだ高い利益率を維持しています。
ROEは28.8%でした。
目安にしている15%を越えました。
●安全性のチェック
自己資本比率は43.2%でした。
保有している現金は6,114百万ドル、有利子負債は13,888百万ドルと、有利子負債が現金を約2.4倍上回りました。
前期末から比べると、現金は+86百万ドル増加し、有利子負債は▲1,505百万ドル減少し、財務の安全性は高まりました。
過去4年(2018年12月~2021年12月)と今期Q3のBSの推移は以下の通りです。
固定資産と純資産が年々増加し、BS全体の規模がだんだんと大きくなっています。
固定資産の主な内容は、コンテンツ資産(Content assets:32,777百万円)で、資産全体の約69%を占めます。
これは同社が提供する様々な映像コンテンツの取得・制作に関する費用で、同社の生命線です。
コンテンツ資産は視聴可能期間などによって数年にわたって償却され、PLに費用として反映されます。
開示されているPLにコンテンツ資産償却費は掲載されていませんが、キャッシュフロー計算書の「Amortization of content assets」(コンテンツ資産の償却)から、その金額を確認できます。
Q3のコンテンツ資産償却費は3,654百万ドルで、売上原価(Cost of revenues:4,789百万ドル)の約76%を占めます。
この資産を活用していかに売上を稼いでいけるかがポイントになります。
そしてその売上を構成する重要要素が契約者数、というわけです。
多くの投資家が契約者数の推移を気にする理由がよくわかります。
●キャッシュ創出力のチェック
Q3の営業CFは+1,582百万ドルと、キャッシュインとなりました。
営業利益1,533百万ドルを上回りました。
キャッシュフローの概要は以下の通りです。
「営業CF:+ 投資CF:- 財務CF:-」と、稼いだキャッシュをもとに、投資を行い、借入を返済する、という健全な資金繰りパターンであることが見て取れます。
参考:危ない会社への投資を回避できる!キャッシュ・フロー8つのパターン!
有利子負債が多く、積極的に借入を行い事業に投資をしていく同社の場合、本業からしっかりとキャッシュが生み出し続けているかどうかは特に重要ですので、今後も営業CFの推移を注意深く観察していきます。
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
SBI証券お客様サイト内の財務詳細情報に記載されている今期業績予想に対する進捗度をチェックします。
業績予想に対する進捗度は、売上高:75.2%、純利益:94.6%でした。
■来期の業績予想から見る将来成長性
SBI証券お客様サイト内の財務詳細情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。
来期の成長率は、売上高:+7.5%、純利益:+4.7%と予想されています。
数年前まで2ケタ成長を続けてきた同社ですので、成長鈍化を感じざるを得ません。
過去4年間(2018年12月期~2021年12月期)と、今期予想・来期予想の増収率・増益率(純利益)の推移は以下の通りです。
増収率・増益率ともに低下傾向にあります。
■株価水準とチャートの動き
10/21(金)の終値は289ドルです。PERは25倍です。
過去5年の株価の動き(週足)は以下の通りです。
コロナショック後、巣ごもり需要期待によって株価は大きく上昇しましたが、昨年11月に上場来高値の700円をつけて以降、成長鈍化懸念もあり株価は大きく下落が続いています。
1月の21Q4決算発表では発表翌日に▲22%下落。
4月の22Q1決算発表では発表翌日に▲35%と大幅に急落しました。
今回の決算発表が市場予想を上回ったことで、発表翌日の10/19(水)は+13.1%、10/21(金)は+8.0%と、上昇しました。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
Q1、Q2と2四半期連続で契約者数が減少し心配されましたが、Q3では+242万人増加と盛り返しました。
もともと100万人程度の増加は予想されていましたが、予想を大きく上回る増加で、株価もポジティブに反応しました。
ここ最近顕在化してきているストリーミング配信の競争激化や1億世帯以上がアカウントを共有しているといった課題は引き続き解消していないため、まだまだ楽観はできませんが、11月から導入される広告付きプランなどによって、再び成長していくことを期待しています。
株価は昨年11月につけた上場来高値からは▲60%ほど下落した水準ではありますが、今後の成長性に不安もあるため、今のところ追加での購入は考えていません。
保有が1株のみで、本日現在投資資産に占める比率は1%以下と影響も少ないため、引き続き保有を継続しながら見守っていこうと思います。
5年先、10年先にこの会社がどうなっているのかが楽しみですので、株価の低迷が続いても基本的には保有を続ける考えです。
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
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■参考:同社に関する過去の記事
・【ネットフリックス】22/7/19決算発表内容と私の投資戦略
※22/7/19(火)に発表した2022年4月~6月期(第2四半期)決算についての記事です。
・【ネットフリックス】22/4/19決算発表内容と私の投資戦略
※22/4/19(火)に発表した2022年1月~3月期(第1四半期)決算についての記事です。
・【ネットフリックス】22/1/20決算発表内容と私の投資戦略
※22/1/20(木)に発表した2021年10月~12月期(第4四半期)決算についての記事です。
・【ネットフリックス】21/10/19決算発表内容と私の投資戦略
※21/10/19(火)に発表した2021年7~9月期(第3四半期)決算についての記事です。
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