個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
株式投資を学ぶならファイナンシャルアカデミー■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは世界最大の経営コンサルティング会社のアクセンチュア(ティッカーシンボル:ACN)です。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場で、決算期は8月です。
SBI証券お客様サイト内の銘柄サマリー情報より数値を抜粋すると、時価総額は1,741億ドル、従業員数は721,000人です。
世界最大の経営コンサルティング会社で、最近ではクライアント企業のDX推進支援業務も積極的に行っています。
なお、現在私はアクセンチュアの株を保有していません。
■決算発表内容の概要
2022/12/16(金)に発表した2022年9~11月期(第1四半期)決算の主な内容は以下の通りです。
【各数値の定義】(決算書のどの数値からとっているか)
売上高:Revenues
営業利益:Operating income
純利益:Net income attributable to Accenture
資産合計:Total assets
自己資本:Total Accenture plc shareholders’ equity
現金:Cash and cash equivalents
有利子負債:Current portion of long-term debt and bank borrowings, Long-term debt
営業CF:Net cash provided by (used in) operating activities
投資CF:Net cash provided by (used in) investing activities
財務CF:Net cash provided by (used in) financing activities
■決算発表内容分析のものさし
私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
Q1の売上高は前年同期比+5.2%、営業利益は同+6.5%、純利益は同+9.7%でした。
いずれも目安の+10%を下回りました。
直近2期(2022年8月期、2021年8月期)はいずれも通期で2桁成長しましたので、物足りない印象を受けます。
過去10年(2013年8月期~2022年8月期)と今期Q1の増収率の推移は以下の通りです。
直近2年と比べると成長が鈍化しているように見えますが、10年間を振り返れば、むしろ直近2年が、例外的に増収率が高かったのかもしれません。
2020年の新型コロナ感染症拡大とその反動、DX推進の追い風、等も影響しているかもしれません。
Q1売上高を地域別に見ると、北米(North America)が全体の48%と主力で、ヨーロッパ(Europe)が32%とそれに続きます。
現地通貨建てでは、ヨーロッパが+17%、日本も含めたその他の地域(Growth Markets)が+19%と、+11%の北米よりも増収しているものの、ドル建てにすると、為替(ドル高)の影響によって、その貢献がかなり小さくなっています。
ヨーロッパに至っては、現地通貨建てで+17%の増収にもかかわらず、ドル建てでは▲1%の減収になってしまっています。
為替の影響、恐るべし、です。
産業別の売上高は5つに区分されています。
様々な業界に対してサービスを提供していますが、とてもバランスがよく構成されています。
業務別の売上高はコンサルティングが54%、アウトソーシングが46%で構成されています。
様々な切り口において、売上高構成比の分散が行われています。
●収益性のチェック
Q1の売上高営業利益率は16.5%、売上高純利益率は12.5%でした。
前期通期の利益率はそれぞれ15.2%、11.2%でしたので、改善しています。
過去11年(2012年8月期~2022年8月期)と今期Q1の利益率の推移は以下の通りです。
利益率がとても安定しており、安心感のある会社であると感じます。
●安全性のチェック
自己資本比率は48.8%でした。
保有している現金は5,900百万ドル、有利子負債は55百万ドルと、現金が有利子負債を大きく上回りました。
過去4年(2019年8月期~2022年8月期)と今期Q1の貸借対照表の推移は以下の通りです。
毎年安定して純資産が増加しています。
短期的な安全性を示す流動比率(流動資産÷流動負債×100)は125.6%と、安全の目安である100%を上回りました。
固定資産の52%がのれん(Goodwill、13,791百万ドル)です。
●キャッシュ創出力のチェック
Q1の営業CFは+495百万ドルと、キャッシュインとなりました。
営業利益2,593百万ドルは下回りました。
キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。
投資CFの主な内容は事業の買収と投資(Purchases of businesses and investments:▲686百万ドル)です。
財務CFの主な内容は自社株買い(Purchases of shares:▲1,419百万ドル)と配当金の支払い(Cash dividends paid:▲706百万ドル)です。
■業績予想に対する進捗度
SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報に記載されている今期業績予想に対する進捗度をチェックします。
業績予想に対する進捗度は、売上高:24.4%、純利益:26.9%でした。
売上高はQ1目安の25%には届きませんでしたが、為替の影響もありますので、まずまずのスタートといった印象です。
■来期の業績予想から見る将来成長性
SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。
来期は売上高:+7.8%、純利益:+10.0%と予想されています。
売上高は来期も目安の+10%には届かない見通しです。
■株価水準とチャートの動き
12/20(火)の終値は261ドルです。PERは22倍です。
過去5年の株価の動き(週足)は以下の通りです。
2021年までは順調に右肩上がりに成長してきました。
特に2020年コロナショック以降、上昇の角度が上昇しているように見えます。
今年に入ってからは株価が下落基調にあり、現在は昨年末の最高値417ドルから約▲37%ほど下落した水準です。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
新しい年度がスタートしました。
増収率、増益率いずれも1桁台でのスタート。
直近2期は2桁の増収増益が続いていましたので、やや見劣りする内容でした。
売上高については現地通貨建では+15%の増収だったものの、ドル建にすると+5%と、前期末の決算発表でも示された通り、為替(ドル高)の影響を非常に強く受けました。
特に、ヨーロッパはその影響が顕著で、現地通貨建てでは+17%の増収にもかかわらず、ドル建てでは▲1%の減収となりました。
現地通貨建てではしっかり増収していますので、事業の将来性に関しての不安はありませんし、事業の分散、利益率の安定感、非常に魅力的な銘柄だと感じています。
ただし、目先の業績が嫌気され株価が下落する可能性はまだあると考えています。
現在の株価は、買付の目安と考えてきた280ドルを割りこんできましたが、しばらくは様子見する方針です。
2023年は経済全体が減速する懸念があり、株価が軟調に推移するシーンが必ずあると思います。
相場全体の下落に引っ張られて同社の株価が大きく下げるタイミングをじっくり観察しながら待ちたいと思います。
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
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■参考:同社に関する過去の記事
・【アクセンチュア】22/9/22決算発表内容と私の投資戦略
※22/9/22(木)に発表した2022年6月~8月期(第4四半期)決算についての記事です。
・【アクセンチュア】22/6/23決算発表内容と私の投資戦略
※22/6/23(木)に発表した2022年3月~5月期(第3四半期)決算についての記事です。
・【アクセンチュア】22/3/17決算発表内容と私の投資戦略
※22/3/17(木)に発表した2021年12月~2022年2月期(第2四半期)決算についての記事です。
・【アクセンチュア】21/12/16決算発表内容と私の投資戦略
※21/12/16(木)に発表した2021年9月~11月期(第1四半期)決算についての記事です。
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