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本記事以降の決算発表についても記事を書いています!
興味がある方は、以下の記事をご参照下さい。
最新の決算比較 こちらからどうぞ!
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複数の会社の決算書を比較することで、その会社の個性がよりわかるようになります。
今日は日本の空の移動を支える2社、JALとANAを比較します。
皆さんはどちらがお好みですか?
「●●のマイレージを貯めているから、株を買うとしたら●●!」と強いこだわりのある方もいるかもしれませんが、一度フラットな目線で業績や財務状態を比較しませんか?
この記事を通して両社の違いを感じて頂けたら、また少しでもあなたの投資の参考になれば嬉しいです。
なお、この記事では、今年8月に発表された2023年3月期第1四半期の数値を用いて比較します。
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■PL(損益計算書)の比較
まずはPLを比較します。
・売上高
2023年3月期第1四半期の売上高と増収率は以下の通りです。
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売上高はANAがJALよりも30%ほど上回りました。
増収率はJALが+102.1%、ANAが+76.2%と、JALが上回りました。
JALの売上高の内訳を見ると、国内旅客収入が前年比+131%の880億円で牽引していますが、前年までブレーキしていた国際旅客収入が前年比+457%の624億円まで回復しています。
とはいえ2019年度第1四半期比では▲22.9%とまだ完全回復には至っていません。
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ANAの売上高の約9割を占める航空事業の内訳を見ると、国内旅客(前年同期比+103.2%)・国際旅客(前年同期比+382.2%)が大きく改善伸びています。
売上高では国内旅行よりも貨物郵便が上回っています。
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通期予想に対する進捗率はJALが19.3%、ANAが21.1%と、ANAが上回りました。
過去11年間(2012年3月期~2022年3月期)の売上高の推移は以下の通りです。
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売上高は常にANAが上回っています。
2021年3月期、2022年3月期は両社ともコロナ禍の影響を受け大幅に売上高が落ち込みました。
・純利益
2023年3月期第1四半期の純利益は以下の通りです。
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純利益はJALが▲19,560百万円の赤字だったのに対し、ANAは1,002百万円の黒字でした。
通期予想を見ると純利益はJALの方が大きい予想となっていますが、Q1時点を比較すると売上高・純利益ともにANAに軍配が上がります。
過去11年間(2012年3月期~2022年3月期)の純利益の推移は以下の通りです。
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売上高とは対照的に、純利益は多くの年でJALが上回っています。
2021年3月期、2022年3月期は両社ともコロナ禍の影響を受け、巨額の赤字を計上しました。
■BS(貸借対照表)の比較
2023年3月期第1四半期の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。
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資産合計はANAの方がJALよりも36%程大きいですが、財務の安全性はJALが上回っています。
JALはANAより現金が多く、有利子負債が少なく、自己資本比率が7ポイント程高いです。
両社のBSを図にすると以下の通りです。
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短期的な安全性を示す流動比率(流動資産÷流動負債×100%)は、JALが138.2%、ANAが182.0%と、両社とも目安の100%を上回っています。
■CF(キャシュフロー計算書)の比較
2023年3月期第1四半期のCFの概要は以下の通りです。
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キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。
まずはJALです。
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続いてANAです。
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■その他の項目(株価、配当など)
株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。
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・PER・株価
PERは投資を検討する際に気になることの一つです。
JALは26.0倍、ANAは62.3倍でした。
今期の純利益はまだ正常時には戻っておらず、PERも高めに出てしまう面もあるかと思いますので、参考程度に見るのがいいのかと思います。
両社の株価の推移は以下の通りです。
まずはJALです。
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続いて、ANAです。
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両社ともチャートの形は極めて似ており、2020年のコロナショックで大きく下落し、その後はコロナ前の水準にはなかなか戻れないまま2年半ほど経過して今に至ります。
・配当
厳しい経営状況のため、前年度は両社とも無配でしたが、今期JALは期末での復配を目指すと発表しています。
航空業界は景気や外部環境に左右されやすく、安定した配当を狙いたい場合はあまり手を出すべき業界ではなさそうです。
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■おわりに
航空大手2社の比較、いかがでしたでしょうか?
グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的に両社の違いを感じて頂けるように意識しました。
個人的には、売上高はANAが多く、純利益はJALが多い、というのはなかなか面白い発見だと感じました。
純利益が多い点、財務安全性が高い点から、どちらかを買うのであれば、JALを選ぶと感じました。
コロナの影響もまだまだ残り、厳しい経営環境が続く両社ですが、アフターコロナでの復活を期待したいものです。
この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。
本日もお読み頂きありがとうございました!
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よろしければご覧ください!
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