【アドビ】22/9/15決算発表内容と私の投資戦略

決算分析

個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。

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■本日のチェック銘柄

今日チェックするのは米・ソフトウェア大手のアドビ(ティッカーシンボル:ADBE)です。
NADAQ上場で、決算期は11月です。

SBI証券お客様サイト内の銘柄サマリー情報より数値を抜粋すると、時価総額は1,362億ドル、従業員数は25,988人です。

アドビと言えばPDFファイルですね。
身近なサービスを提供している会社ですので、注目しています。

なお、現在私はアドビの株を保有していません。

■決算発表内容の概要

2022/9/15(木)に発表した2022年6~8月期(第3四半期)決算の主な内容は以下の通りです。

【各数値の定義】(決算書のどの数値からとっているか)
売上高:Total revenue
営業利益:Operating income
純利益:Net income
資産合計:Total assets
自己資本:Total stockholders’ equity
現金:Cash and cash equivalents
有利子負債:Debt
営業CF:Net cash provided by operating activities
投資CF:Net cash used for investing activities
財務CF:Net cash used for financing activities

■決算発表内容分析のものさし

決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。

それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。

★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)

【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100

【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上

★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)

【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%)      =純利益÷自己資本×100
※四半期決算時は純利益を年換算し算定

【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE      :15%以上

★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か

【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷資産合計×100

【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。

★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か

【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること

■決算発表内容分析

それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。

●成長性のチェック

Q3の売上高は前年同期比+12.7%、営業利益は同+3.0%、純利益は▲6.3%でした。
Q3累計の売上高は前年同期比+12.0%、営業利益は同+6.8%、純利益は▲0.3%でした。

売上高は目安の+10%を上回りましたが、営業利益は+10%には届かず、純利益は減益でした。

Q3を累計と比べると、売上高は良化しているものの、利益面で苦戦していることが伺えます。

過去12年間(2010年11月期~2021年11月期)とこのQ3の増収率の推移です。

2015年11月期~2021年11月期まで7年連続で+15%を超える増収を続けてきましたが、今期は+15%を下回っています。


同じ期間の増益率(営業利益・純利益)の推移は以下の通りです。

+100%を越えた2015年11月期をピークに、下落傾向が続いています。

それでも+15%以上の増益を続けていましたが、前期(2021年11月期)の純利益は▲8.3%の減益となりました。

Q3累計では営業利益は+6.8%、純利益は▲0.3%と、減速感がでています。

●収益性のチェック

Q3の売上高営業利益率は33.5%、売上高純利益率は25.6%でした。
Q3累計の売上高営業利益率は35.1%、売上高純利益率は27.4%でした。

利益率は目安としている15%、10%を大きく上回り、大変高い収益性を示しました。

過去13年(2009年11月期~2021年12月期)とこのQ3の利益率の推移は以下の通りです。

直近5年、売上高営業利益率は29~36%、売上高純利益率は23~40%でした。
Q3累計でも高い利益率水準を維持しています。

ROEは33.2%でした。 目安の15%を大きく上回りました。
投資家の資本を効率的に利益に結びつけています。

●安全性のチェック

自己資本比率は53.7%でした。
保有している現金は3,870百万ドル、有利子負債は4,127百万ドルと、有利子負債が現金を上回りました。

過去4年(2018年11月期~2021年11月期)と今期Q3の貸借対照表の推移は以下の通りです。

流動資産に比べて固定資産の割合が高いことがわかります。

固定資産(18,255百万ドルのうち)、約70%がのれん(Goodwill:12,756百万ドル)です。

今回の決算発表ではソフトウェア設計のフィグマ(Figma)を約20,000百万ドル買収で買収することが発表されました。
今後のれんはさらに拡大することになりますので、将来的な減損損失計上リスクは高まります。

●キャッシュ創出力のチェック

営業CFは+1,704百万ドルと、キャッシュインとなりました。
Q3累計営業利益4,593百万ドルを下回りました。


キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。


本業で稼いだキャッシュ(営業CF)の範囲内で、投資活動と財務活動を行っており、健全な資金繰りといえます。

財務CF(▲1,060)の主な要因は自社株買い(Repurchases of common stock:▲1,200)です。
同社は配当を実施していません、自社株買いの形で株主還元をしています。

なお、今回のフィグマ買収によって、自社株買いのペースが落ちるのではという懸念もあるようです。
来期以降の今後のキャッシュの動きに注目です。


参考:危ない会社への投資を回避できる!キャッシュ・フロー8つのパターン!

■業績予想に対する進捗度

SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報に記載されている今期業績予想に対する進捗度をチェックします。

業績予想に対する進捗度は、売上高:74.3%、純利益:75.4%です。

■来期の業績予想から見る将来成長性

SBI証券お客様サイト内の「財務詳細」情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。

※SBI証券お客様サイトより、同社の業績予想を抜粋

来期は売上高:+12.6%、純利益:+15.3%と予想されています。

売上高、純利益とも目安の+10%を上回っての成長が予想されています。
純利益は2021年11月期、2022年11月期と2期連続減益予想ですが、2023年11月期は増益と予想されています。

ただし、フィグマの買収によって、来期の見通しは変わってくる可能性がありますので、今後業績予想の変化にも注目です。

■株価水準とチャートの動き

9/23(金)の終値は284ドルです。PERは28倍です。
過去5年の株価の動き(週足)は以下の通りです。

※SBI証券お客様サイトより、同社の株価チャートを抜粋

過去5年、右肩上がりで株価は上昇しており5年前の5倍以上の水準まで上昇しました。

外部環境に加え、純利益は2021年11月期、2022年11月期と2期連続減益予想ということもあり、昨年11月以降は下落が続き、現在の株価は最高値699ドルから▲59%ほど下落しています。

フィグマの買収額が割高と受け止められたこともあり、発表当日の9/15の株価は1日で▲17%と大きく下落しました。

■私の投資戦略

以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。

2期連続の純利益減益が予想されている今期。
売上高、利益ともにやや減速感が見えたQ3決算でした。

直近7年間+15%を超える増収を続けていましたが、今期は+15%を割る見込みであり、増収率が低下気味なのは気になるところですが、そこに今回買収の発表がありました。

ソフトウェア設計のフィグマの買収により、今後売上高や利益、利益率がどのように変化していくのか、注目です。

なお、買収額の約20,000百万ドル(日本円で約2.9兆円)は株式非公開のソフトウェア企業の買収としては過去最大規模のようです。(ブルームバーグより)

アドビの過去9年間の純利益の合計がおよそ20,000百万ドルですので、同社にとってもかなり割高な買い物であると感じます。

3ヶ月前の記事で、目安の株価を300ドルと記載しましたが、現在の株価は300ドルを割る水準まで下落しました。
PERも30倍を下回りました。

増収率が低下していること、あまりに割高な買収額、のれん増加による将来的な減損損失計上リスク、少し投資対象として敬遠しようかと感じました。

買収による影響が決算書に表れてきた後に、再度投資対象として適切かどうかを判断したいと考えており、しばらくは様子見する予定です。

以上が私の戦略です。


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■おわりに

私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。

そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。


毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!

お読み頂きありがとうございました!

■参考:同社に関する過去の記事

【アドビ】22/6/16決算発表内容と私の投資戦略
※22/6/16(木)に発表した2022年3月~2022年5月期(第2四半期)決算についての記事です。
【アドビ】22/3/22決算発表内容と私の投資戦略
※22/3/22(火)に発表した2021年12月~2022年2月期(第1四半期)決算についての記事です。
【アドビ】21/12/16決算発表内容と私の投資戦略
※21/12/16(木)に発表した2021年9月~11月期(第4四半期)決算についての記事です。

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