【決算書比較】JALとANA、あなたはどちらがお好み?(2024年3月期第2四半期)

決算分析

複数の会社の決算書を比較することで、その会社の個性がよりわかるようになります。

今日は日本の空の移動を支える2社、JALANAを比較します。

皆さんはどちらがお好みですか?

航空会社への投資を検討している投資家さんの参考になれば幸いです。

なお、この記事では、10/31(火)に発表された2024年3月期第2四半期決算の数値を用いて比較します。

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■PL(損益計算書)の比較

まずはPLを比較します。

・売上高

2024年3月期第2四半期の売上高・増収率は以下の通りです。

売上高はANAが約1.2上回りました。

増収率は両社とも25%を超え、前期からの回復が鮮明となりました。

期初の通期予想に対する達成度は、JAL:49.5%、ANA:50.9%です。

今回の決算発表でJALは通期予想を若干上方修正(1,658,000百万円→1,684,000百万円)しました。

修正後の達成率は48.7%です。

JALの売上高の内訳を見ると、フルサービスキャリアは前年同期比31.6%
19年度比でも8.7%と、コロナ禍前を上回るまで回復しました。
特に国際旅客収入が19年度比15.2と回復しました。

※JALの決算説明資料から抜粋

ANAも主旅行の航空事業、特に国際旅客が前年同期の2.2と回復しました。

過去12年間(2012年3月期~2023年3月期)とこのQ2の売上高の推移は以下の通りです。

売上高は常にANAが上回っています。

2021年3月期、2022年3月期は両社ともコロナ禍の影響を受け大幅に売上高が落ち込みましたが、だんだんと回復してることが見て取れます。

・純利益

2024年3月期第2四半期の純利益は以下の通りです。

純利益はANAが約1.5上回りました。

JALは前期の赤字から黒字転換
すでに前期黒字転換していたANAも利益を大きく伸ばしました。

期初の通期予想に対する達成度は、JAL:112.1%、ANA:116.5%と、早くも両社期初予想を上回りました。

今回の決算発表でJALは通期予想を約45%上方修正(55,000百万円→80,000百万円)しました。

修正後の達成率は77.1%と、さらなる上積みも期待されます。

一方のANAは、今回は業績予想の修正はありませんでした。
今後上方修正が発表されると思われます。

過去12年間(2012年3月期~2023年3月期)とこのQ2の純利益の推移は以下の通りです。

売上高とは対照的に、以前は多くの年で純利益はJALが上回ってきました。

しかし、2023年3月期はANAが上回り、このQ2もANAが上回っています。

■BS(貸借対照表)の比較

次に、BSを比較します。

2024年3月期第2四半期の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。

資産合計はANAの方が大きいですが、JALは現金が多く、資産に対する有利子負債の比率が少なく、自己資本比率が高く、財務の安全性はJALが上回っています。

両社のBSを図にすると以下の通りです。

短期的な安全性を示す流動比率(流動資産÷流動負債×100%)は、JALが146.7%、ANAが170.5%と、両社とも目安の100%を上回っています。

■CF(キャシュフロー計算書)の比較

続いて、CFを比較します。

2024年3月期第2四半期のCFの概要は以下の通りです。

両社とも、本業から生み出すキャッシュ(営業CF)はプラスです。

キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。

まずはJALです。


続いてANAです。

ANAは営業CFに対して投資CFの額が大きいです。

主な内容は有価証券の取得による支出▲262,916百万円)です。

■その他の項目(株価、配当など)

株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。

・PER・株価

2024年3月期予想の純利益で計算したPERは、JAL:20.7、ANA:17.5です。

両社の株価の推移は以下の通りです。

まずはJALです。

※JALの株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

続いて、ANAです。

※ANAの株価チャート。SBI証券お客様サイトより抜粋。

両社ともチャートの形は極めて似ており、2020年のコロナショックで大きく下落し、その後じわじわと回復してきていますが、まだコロナ禍前の水準には戻れていません

・配当・増配率

厳しい経営状況のため、2022年3月期は両社とも無配でしたが、2023年3月期にJALが一早く復配しました。

配当利回りはJAL:2.18、ANA:1.01%と、決して高くはありません。

両社の過去8年と2024年3月期予想の1株配当金の推移は以下の通りです。

航空業界は景気や外部環境に左右されやすく、減配無配に転じてしまうことがあります。
安定した配当を狙いたい場合は手を出すべき業界ではありません。

■おわりに

航空大手2社の比較、いかがでしたでしょうか?

グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的に両社の違いを感じて頂けるように意識しました。

両社ともに、コロナ禍からの回復が鮮明な決算となりました。

業績予想の上方修正をしたJALに対し、ANAは純利益がすでに通期予想を超えているものの上方修正は行いませんでした。

今後上方修正が行われると思いますので、発表を楽しみにしたいですね。

この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。

本日もお読み頂きありがとうございました!

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