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皆さん、牛丼は好きですか?
牛丼と言えば、どこのお店がお好きですか?
吉野家派ですか?
松屋派ですか?
すき家派ですか?
なか卯派ですか?
Twitterでアンケートをとったところ、結果は以下の通りでした。
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吉野家か松屋が人気かと予想していたのですが・・・。
すき家が1位になるとは意外でした!
アンケートにご協力頂いた皆さん、ありがとうございました!
この記事では、人気の牛丼の比較、ではなく、牛丼チェーン大手2社、吉野家ホールディングスと松屋フーズホールディングスの決算書を比較します。
複数の会社の決算書を比較することで、その会社の個性がよりわかるようになります。
両社の違いを感じて頂き、少しでもあなたの投資の参考になれば嬉しいです。
なお、吉野家ホールディングスは2月決算、松屋フーズホールディングスは3月決算と、決算期にズレがあります。
以下記事では、7月に発表された吉野家ホールディングス2023年2月期第1四半期決算と、松屋フーズホールディングス2023年3月期第1四半期決算とで比較します。
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■PL(損益計算書)の比較
まずはPLを比較します。
・売上高
2022年度第1四半期の売上高・増収率は以下の通りです。
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売上高は吉野家が松屋の1.6倍上回りました。
両社とも増収率は+10%ほど、通期予想に対する進捗度は24%ほどでした。
吉野家のセグメント別売上高は以下の通りです。
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主力はもちろん吉野家で、売上高全体の68%を占めます。
うどんチェーンのはなまるが15%、海外が14%となっています。
前年同期比では吉野家が+110.0%、はなまるが+117.5%、海外が+105.2%と、全セグメントにて増収となりました。
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松屋は、牛めしの「松屋」の他、とんかつの「松のや」、鮨の「すし松」なども展開していますが、セグメント別の売上高は開示されていません。
過去12年間(2010年度~2021年度)の売上高の推移は以下の通りです。
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いずれの年も、吉野家が松屋を上回っています。
売上高はコロナ禍によって2020年度、2021年度と落ち込みました。
特に吉野家の下落ぶりが目立ちます。
増収率の推移は以下の通りです。
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コロナ禍での直近2年間は、吉野家の方が、減収率が大きいことがこのグラフからもわかります。
松屋は2021年度、わずか+0.1%ではありますが、増収でした。
コロナ禍で外食産業は厳しい環境が続いていますが、その中でも2021年は回復に向かう動きが見て取れます。
・営業利益
2022年度第1四半期の営業利益は以下の通りです。
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吉野家が440百万円の黒字なのに対し、松屋は▲268百万円の赤字でした。
吉野家の黒字転換には、はなまるの黒字化が大きく寄与しました。
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・純利益
2022年度第1四半期の純利益は以下の通りです。
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両社とも純利益は減益となりました。
通期予想に対する進捗率は41.7%、61.8%と高いです。
厳しい環境下で、保守的な業績予想が組まれているようです。
過去12年間(2010年度~2021年度)の純利益の推移は以下の通りです。
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吉野家はコロナ前の2018年度も大きな赤字を計上しました。
店舗の撤退等による減損損失5,107百万円を特別損失に計上したためです。
一方、2021年度の大幅な利益は、助成金等収入13,125百万円を営業外収益に計上したためです。
売上高ではいずれの年も完敗だった松屋ですが、純利益では2010~2012年度、2015~2020年度では吉野家を上回っています。
・利益率
コロナ前の過去12年間(2010年度~2021年度)の営業利益率の推移は以下の通りです。
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コロナ禍前の2010年度~2019年度を見ると、常に松屋の方が高い営業利益率を記録しています。
コロナ禍で2020年度、2021年度と松屋は営業赤字が続き、利益率もマイナスになっています。
一方の吉野家は2021年度に黒字転換し、いち早く利益率をプラスに戻しました。
■BS(貸借対照表)の比較
2022年度第1四半期の資産合計、自己資本、現金、有利子負債、自己資本比率は以下の通りです。
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資産合計は吉野家の方が松屋よりも44%大きいです。
自己資本比率は松屋が52.9%と、44.3%の吉野家を上回りました。
両社のBSを図にすると以下の通りです。
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短期的な安全性を示す流動比率(流動資産÷流動負債×100%)は、吉野家が147.6%、松屋が160.7%でした。
両者ともに安全の目安といわれる100%を大きく上回りました。
■その他の項目(株価、配当など)
株価、配当など、そのほかの項目を比較すると以下の通りです。
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・PER・株価
PERは吉野家が43.0倍、松屋が54.2倍と、吉野家の方が割安です。
両社ともに割安の目安とされる15倍を大きく上回っています。
両社の株価の推移は以下の通りです。
まずは吉野家です。
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続いて、松屋です。
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コロナ前の2019年は両社とも大きく上昇しましたが、コロナショックで急落しました。
その後は松屋がほぼ横ばいなのに対し、吉野家はじわじわと上昇傾向です。
・配当
配当利回りはわずかに松屋の方が高いですが、両社とも1%にも満たない水準です。
直近5年(2017年度~2021年度)の両社の1株配当の金額は以下の通りです。
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吉野家はコロナ禍の2020年度に無配に変更し、2022年度予想もコロナ前の水準には戻っていません。
一方、松屋はコロナ禍でも配当額を維持しています。
・株主優待
吉野家は100株以上保有で、年に2回2,000円相当の飲食券(500円×4枚)が送られます。
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松屋は100株以上保有で、年に1回優待食事券10枚が送られます。
1年以上の継続保有が条件で、優待食事券1枚で主要メニューより1品選択できます。
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■おわりに
牛丼チェーン大手2社の比較、いかがでしたでしょうか?
グラフや決算説明資料を多く用いて、視覚的に両社の違いを感じて頂けるように意識しました。
企業規模も売上高も吉野家の方が大きいものの、コロナ前の純利益は松屋の方が大きかったところが、個人的に興味深かったです。
あなたはいかがでしたか?
この記事は個別の銘柄をオススメすることが目的ではありません。
この記事を通して、複数の会社を比較する面白さを感じて頂けたら嬉しいです。
本日もお読み頂きありがとうございました!
★★私が株式投資において参考にした書籍を以下の記事にまとめています!★★
よろしければご覧ください!
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