個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは高齢者向け配食サービスを展開するシルバーライフ(証券コード:9262)です。
東証プライム市場上場で、決算期は7月です。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は126億円、従業員数は173名です。
同社が掲げるミッションは「私たちは、食の観点から誰もが安心して歳をかさねていける社会を作ります」です。
私がこの会社に注目している理由は
①今後高齢化が進む日本において、成長が期待できるビジネスだから
②将来(需要拡大が見込まれる2025年以降)を見据えて積極的に投資を行っているから
です。
現在私はシルバーライフの株を200株保有しています。
■決算発表内容の概要
2023/9/11(月)に発表した2023年7月期決算の主な内容は以下の通りです。
■決算発表内容分析のものさし
私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比+9.4%、営業利益は同+19.3%、純利益は同+49.9%でした。
売上高は目安の+10%にわずかに届きませんでしたが、営業利益・純利益は大きく増益となりました。
売上高の増減分析は以下の通りです。
売上高の約69%を占める「FC加盟店」売上高は、前年比+5.5%の増収でした。
FC加盟店の店舗数は、前年度末から▲20店舗減少し、970店舗(▲2.0%)となりました。
2021年頃から冷凍食品加マーケットが一気に拡大し、新たな競合が参入していることの影響により、成長がやや鈍化しています。
売上高の約20%を占める「直販・その他」売上高は冷凍弁当が好調に推移し、+32.3%と増収を牽引しました。
営業利益・純利益はともに大幅増益となりました。
原材料値上がり(3%増)や労務費の増加(1.9%増)といったマイナス要因はあったものの、外部委託商材を自社製造に移行したことなどにより吸収し、増益につなげました。
前年度までに工場及び物流センターの大型投資が一段落し、いよいよ果実(利益)を収穫するフェーズに入っていきます。
●収益性のチェック
売上高営業利益率は5.5%、売上高純利益率は4.9%でした。
いずれも目安としている15%、10%には届きませんでした。
直近7年(2017年7月期~2023年7月期)と来期予想の利益率の推移は以下の通りです。
前年度までは積極的な投資もあり、利益率は低下していましたが、大型投資も一段落し、利益率はやや改善されました。
2024年7月期以降も利益率が改善されていくのか、競合の台頭や加盟店の減少により伸び悩むのか、注目です。
ROEは10.7%でした。
目安の15%には届きませんでした。
前年度通期のROEが7.6%でしたので、こちらも改善されました。
●安全性のチェック
自己資本比率は61.9%でした。
現金1,508百万円に対し、有利子負債は1,951百万円と、有利子負債が現金を上回りました。
1年前と比較すると、現金は33百万円増加、有利子負債は▲239百万円減少しました。
過去5年間(2019年7月期~2023年7月期)の貸借対照表の推移は以下の通りです。
2021年7月期に貸借対照表が大きくなっています。
負債の部では長期借入金が大きく増加し、資産の部では建物、機械及び装置が増加しました。
借入を行い積極的に設備投資したことが貸借対照表にも表れています。
今後はこの投資によって増強した設備を活用して収益を積み重ね、借入を返済していきながら企業規模が成長していくことを期待しています。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは+1,201百万円と、キャッシュインとなりました。
営業利益670百万円を上回りました。
キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。
本業で得たキャッシュ(営業CF)の範囲内で設備投資(投資CF)や借入金の返済(財務CF)を行い、健全なキャッシュの循環と言えます。
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
業績予想に対する達成度は、売上高:96.6%、営業利益:95.7%、純利益:109.6%でした。
競合の参入などによる成長鈍化もあり、売上高・営業利益はわずかに未達となりました。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報から、来期の業績予想を見ていきます。
来期も増収増益の予想とはなっています。
前号と比べると、売上高予想は引き下げられ、営業利益・純利益予想は引き上げられています。
【四季報2023年6月号】
売上高:14,200百万円 営業利益:700百万円 純利益:550百万円
【四季報2023年9月号】
売上高:13,000百万円 営業利益:720百万円 純利益:560百万円
会社発表の業績予想は以下の通りです。
やはり気になるのは売上高で、+6.8%の増収と予想されています。
まだまだ成長フェーズの会社ですので、目安の+10%に届かず、近年増収率が鈍っていることも気になります。
減速感を打破して欲しいところです。
■株価水準とチャートの動き
9/15(金)の終値は1,150円。PERは20倍です。
過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。
2017年10月の上場後順調に上昇を続け、2018年9月には上場来高値の3,690円を記録しましたが、2020年のコロナショック以降、低調な推移が続いています。
2023年は現時点で年初来▲34.8%下落しており、さえない推移が続いています。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
増収増益での着地となりましたが、必ずしも楽観はできず、という決算でした。
やはり気になるのは売上高成長の鈍化です。
高齢者人口増加によって需要拡大が見込まれる2025年以降を見据えて積極的に設備投資を行い、内製化による効果は表れているものの、競合参入などにより主力のFC加盟店売上が伸び悩んでいることは気になります。
なお、今回の決算発表では、5年後、2028年7月期の見通しが示されました。
まだまだ成長フェーズの会社ですので、売上高を最も注目しています。
5年後の売上高は18,000百万円。
5年間の年平均成長率は+8.3%です。
2025年以降市場急激に増加する(メインターゲットである75歳以上人口が増加する)という割には、個人的には少し物足りないなという印象です。
今年8月、年初来▲30%を超えて下落したタイミングで100株追加買付しました。
「5年で株価2倍」を十分に狙えると考えてエントリーしましたが、やはり気になるのは売上高の推移。
今回5年後の見通しも開示してくれましたので、会社の予想と実態がどの程度乖離があるかを今後継続的にチェックしていきたいと思います。
なお、2023年7月期から配当も開始されることになりました。
保有継続を後押しする材料になりますので、長期保有を前提に、事業と株価の成長をじっくり見守りたいと思います。
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
■参考:同社に関する過去の記事
・【シルバーライフ】23/3/10決算発表内容と私の投資戦略
※23/3/10(金)に発表した2023年7月期第2四半期決算についての記事です。
・【簿記】在庫が減ると利益が減る?!どゆこと?!(シルバーライフの事例から)
※以下の決算修正発表を題材に、在庫が減ると利益は増えるのか、減るのか、簿記の観点でまとめた記事です。
・【シルバーライフ】22/12/9決算発表内容と私の投資戦略≪12/26数値訂正後≫
※22/12/26(月)に修正発表した2023年7月期第1四半期決算(数値修正後)についての記事です。
・【シルバーライフ】22/12/9決算発表内容と私の投資戦略
※22/12/9(金)に発表した2023年7月期第1四半期決算(数値修正前)についての記事です。
・【シルバーライフ】22/9/13決算発表内容と私の投資戦略
※22/9/13(火)に発表した2022年7月期第4四半期決算についての記事です。
・【シルバーライフ】22/6/7決算発表内容と私の投資戦略
※22/6/7(火)に発表した2022年7月期第3四半期決算についての記事です。
・【シルバーライフ】22/3/10決算発表内容と私の投資戦略
※22/3/10(木)に発表した2022年7月期第2四半期決算についての記事です。
・【シルバーライフ】21/12/8決算発表内容と私の投資戦略
※21/12/8(水)に発表した2022年7月期第1四半期決算についての記事です。
・【銘柄研究!】本日の気になる銘柄~シルバーライフ
※21/9/10(金)に発表した2021年7月期決算についての記事となります。
コメント
シルバーライフの株は買いなんですね。貴重な情報ありがとうございます。
「買いですね!」と言えるような状態ではないのは記事の通りですが、上昇してくれることを期待して見守りたいですね!