5年間で激変!BSから紐解くテスラ変貌の軌跡!

投資の考え方

皆さん、アメリカの電気自動車メーカー・テスラ(ティッカー:TSLA)はご存知ですよね?

経営者であるイーロン・マスクCEOの言動、急成長する業績、株価の動き。
どれをとっても、現在、アメリカの中で最も注目を集めている企業といっても過言ではないでしょう。

この記事では、急成長中のテスラの変化を、BS貸借対照表から見ていきます。

決算発表では、売上高、純利益、増収率、増益率、といったPL(損益計算書)の内容が注目されがちではありますが、BSの情報もまた、株式投資において大変有益です。

特に、BSを複数年にわたって観察することで、財務体質の変化をつかむことができ、PLとは違った角度からその企業の理解を深めることができます。

是非BSからも企業分析をする視点を身に付けましょう!

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■テスラ5年間のBS推移

テスラの過去5(2017年12月期~2021年12月期)のBSの推移は以下の通りです。

・2017年12月期~投資フェーズ

流動資産よりも流動負債が多い状態でした。

流動資産は1年以内に現金化できるもので、流動負債は1年以内に返済が必要なものです。

流動資産よりも流動負債が多いというのはあまり良い状態ではありません。

流動資産を流動負債で割った比率を「流動比率」と呼び、財務の短期的な安全性を示しますが、流動比率は85.6%です。

流動比率は100%を超えるのが望ましい水準と言われます。

純資産は5,632百万ドルです。
自己資本比率は19.7%と低いです。
(個人的には、30%は欲しいなと思っています。)

・2018年12月期~投資フェーズ

2017年12月期と規模感もバランスも大きくは変わっていません。

流動比率は83.1%と100%を割り、自己資本比率は21.2%と30%を割っています。

・2019年12月期~改善の兆候♪

BSの規模がやや大きくなりました。

注目ポイントは3点です。

注目ポイントの1点目は、純資産増加です。
純資産は前年から28.5%増加しました。
この年はQ3、Q4と四半期黒字、通期では赤字でした。
通期純利益は赤字でしたが、公募増資などもあり、純資産は増加しました。

注目ポイントの2点目は、流動資産流動負債を上回ったことです。
流動比率は113.5%と短期的な安全性を示す100%を越えました。

注目ポイントの3点目は、2017年12月期、2018年12月期と比べても固定資産がそれほど増えていないことです。

・2020年12月期~飛躍!

BSの規模が大きく拡大しました。
資産合計は前年比52%と増加しました。

流動比率は187.5%と、流動資産の比率が劇的に高まりました。

純資産も前年の8,110百万ドルから23,730百万ドルへ、急激に増加しました。
実に2.9です。
自己資本比率は45.5%まで高まりました。

この年はQ1~Q4まで全ての四半期で純利益が黒字化した1年でした。
コロナ禍の逆風の中での好業績で、株価も強烈に上昇しました。

・2021年12月期~成長加速!!

BSの規模はさらに拡大しました。
資産合計は前年比19%と増加しました。

流動比率は前年からは低下したものの137.5%と安全性の高さを示しました。

純資産は前年から33%とさらに増加し、31,583百万ドルとなりました。

4年前の2017年12月期の資産合計が28,655百万ドルですので、純資産が当時の資産合計を上回る程の成長をこの4年間で成し遂げました。

■主な指標、科目の推移

一部上記と重複しますが、いくつかの指標、科目の推移を見ていきます。

・自己資本比率

まず、「自己資本比率」の推移は以下の通りです。

自己資本比率は、2019年12月期までは30%を切っていましたが、2020年12月期に急上昇しました。

自己資本比率は「自己資本」を「総資産」で割ることで求めます。
自己資本と総資産の推移を2017年Q1~2022年Q1まで、四半期ごとに見ていくと以下の通りです。

・流動比率

次に「流動比率」の推移は以下の通りです。

流動比率は2018年12月期までは短期的な安全性の目安である100%を切っていましたが、2019年12月期に100%を越えました。

2020年12月期には流動比率は大きく改善しました。
2021年12月期には流動比率は低下しましたが、137.5%と十分に高い安全性を示しました。

・現金と有利子負債

最後に、「現金」と「有利子負債」の推移を見ていきます。

2017年Q1~2022年Q1まで、四半期ごとの推移は以下の通りです。

BSが大きく改善した2020年12月期に現金の残高が大きく増加しています。
そして有利子負債は20Q4以降四半期ごとにだんだんと減少しています。

現在は有利子負債を大きく上回る現金を保有しており、キャッシュの面からも財務の安全性の高さが確認できます。

■おわりに

テスラのBS、いかがでしたでしょうか?

テスラに限らず、決算発表ではPLばかりが注目されがちですが、BSを定点観測することで、その会社の財務状態の変化を感じることができます。

また、BSの変化からは、「会社をどうしたいのか」という経営者の考え方も現れます。

・積極的に固定資産を増やし、会社の規模を大きくしたい。
現金を多めに持って安定感のある経営がしたい。
借入をしてでも、レバレッジをかけて成長を加速させたい。

PLだけではわからない会社のスタンスを、BSから読み取っていきましょう!

この記事が、あなたがBSに興味を持つきっかけになれば嬉しいです!

本日もお読み頂きありがとうございました!

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