【フェデックス】21/12/16決算発表内容と私の投資戦略

決算分析

私は毎年資産+10%達成を目標に投資に励むサラリーマン投資家です。

通勤時間や平日の夜、週末の時間を使って、売買候補となる銘柄の研究を行っています。
日々様々な情報が飛び交いますが、特に年に4回(四半期に1回)行われる決算発表は、企業の業績・状態を把握し、今後の投資戦略を考える上でとても重要な情報です。

この記事では、私が保有中 or 気になっている銘柄の決算発表内容をチェックし、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
記載している銘柄を推奨しているわけではありませんが、私の視点や考え方が読者の方の参考になれば嬉しいです。

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■本日のチェック銘柄

今日チェックするのは米・物流大手のフェデックス(ティッカーシンボル:FDX)です。
ニューヨーク証券取引所(NYSE)上場で、決算期は5月です。
SBI証券お客様サイト内の銘柄サマリー情報より数値を抜粋すると、時価総額は633億ドル、従業員数は228,000人です。

街中で「FedEx」の文字の入った車両を見かけることもありますが、日本ではヤマト運輸や佐川急便、日本通運の方がなじみ深いですね。
グローバルにビジネスを展開する企業で気になりましたので、今回チェックしてみました。

なお、現在私はフェデックスの株を保有していません。

■決算発表内容の概要

2021/12/16(木)に発表した2021年9~11月期(第2四半期)決算の主な内容は以下の通りです。

【主な決算内容】(単位:百万ドル)

売上高 (Total revenue):23,474(前年同期:20,563 前年同期比:+14.2%)
営業利益(Total Operating income):1,597(前年同期:1,465 前年同期比:+9.0%)
純利益 (Net income):1,044(前年同期:1,226 前年同期比:▲14.8%)
資産合計(Assets):84,247(前期末:82,777)
自己資本(Total common stockholders’ investment):24,940(前期末:24,168)
現金  (Cash and cash equivalents):6,833(前期末:7,087)
有利子負債(Current portion of long-term debt, Long-term debt):20,503(前期末:20,879)
営業CF(Net cash provided by operating activities):4,082(前年同期:5,230)
投資CF(Net cash used in investing activities):▲3,112(前年同期:▲2,812)
財務CF(Cash (used in) provided by financing activities):▲1,109(前年同期:+973)

■決算発表内容分析のものさし

決算発表内容について、私は主に①成長性②収益性③安全性④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。

それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。

★成長性
【主な指標】
増収率、増益率(営業利益・純利益)

【計算方法】
増収率(%)=(今期の売上÷前期の売上-1)×100
増益率(%)=(今期の利益÷前期の利益-1)×100

【優秀と認定する目安】
増収率、増益率ともに+10%以上

★収益性
【主な指標】
売上高営業利益率、売上高純利益率、ROE(自己資本利益率)

【計算方法】
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100
売上高純利益率(%) =純利益 ÷売上高×100
ROE(%)      =純利益÷自己資本×100 ※四半期決算時は純利益を年換算し算定

【優秀と認定する目安】
売上高営業利益率:15%以上
売上高純利益率 :10%以上
ROE      :15%以上

★安全性
【主な指標】
自己資本比率、現金>有利子負債か

【計算方法】
自己資本比率(%)=自己資本÷総資本×100

【優秀と認定する目安】
自己資本比率:30%以上80%以内
現金>有利子負債であること
※ただし、一概に自己資本比率が高ければいいというわけではなく、有利子負債が多いとダメでもなく、業態や企業の成長フェーズによって個別に評価する必要がある、と考えています。)

★キャッシュ創出力
【主な指標】
営業CFがプラスか、営業CF>営業利益か

【優秀と認定する目安】
営業CFがプラスであること
営業CF>営業利益であること

■決算発表内容分析

それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。

●成長性のチェック

売上高は前年同期比+14.2%でした。
営業利益は同+9.0%でした。
純利益は同▲14.8%でした。

売上高は指標の+10%を超えての増収、営業利益は指標にはわずかに届かず9.0%の増益、純利益は減益となりました。

売上高の伸び以上に売上原価が伸びているため、営業利益率の伸びが売上高の伸びより劣っています。
売上原価増加の要因で目立つのは原油高です。
PLを見ると、「Fuel」が前期から+83%と大きく増加(前期:625→今期:1,145)しており、経営を圧迫していることがわかります。
また、売上原価の3割弱を占める物流関連の費用(Purchased transportation)は+15%増加しています。
最近ニュースでもよく言われるコロナ禍での物流網の混乱、サプライチェーンの制約といったところの影響が同社の決算にも出ているようです。
なお、6月~11月の6ヶ月累計では、売上高が+14.0%、営業利益が▲2.0%、純利益は▲12.7%でした。

●収益性のチェック

売上高営業利益率は6.8%、売上高純利益率は4.4%、ROEは17.3%でした。

人件費(売上高の約35%)や物流費用(売上高の約27%)の比率が高く、利益率は高くありません。
過去3年の利益率を見ると、
売上高営業利益率は6.4%、3.5%、6.5%、
売上高純利益は0.8%、1.9%、6.2% です。
ROEは指標の15%を上回っており、株主からの資本を効率的に利益に結びつけています。

●安全性のチェック

自己資本比率は29.6%でした。
保有している現金は6,833、有利子負債は20,503でした。有利子負債が大きく上回りました。
自己資本比率は30%に届かず、現金に比べて有利子負債がかなり多いことから、財務の健全性には不安が残ります。

●キャッシュ創出力のチェック

営業CFは+4,082と、キャッシュインとなりました。
営業利益が1,597ですので、営業利益を上回るキャッシュ創出となりました。

■業績予想に対する進捗度

SBI証券お客様サイト内の財務詳細情報に記載されている今期業績予想に対する進捗度をチェックします。
業績予想に対する進捗度は、年間の業績予想が妥当なものかを考える上で大切な指標です。
もし進捗度が高い場合は、業績予想の上方修正が発表される可能性もあります。
Q1は25%、Q2は50%、Q3は75%、Q4は100%を超えている場合を優秀と定義して、チェックしていきます。
もちろん企業によって季節波動がありますので、単純に数値だけをみるのではなく、前年度の四半期進捗を参考にするのも大事ですね。

売上高の進捗度は49.9%でした。純利益の進捗度は41.7%でした。
(営業利益は予想がないため割愛します。)

売上高はほぼ予想通りの進捗でしたが、純利益はふるいませんでした。
原油価格や物流網の混乱などの影響が利益の伸び悩みとして表れています。

■来期の業績予想から見る将来成長性

SBI証券お客様サイト内の財務詳細情報より、来期の業績予想をチェックします。
今期の会社発表の業績予想を起点に、来期の成長性を見ていきます。

※SBI証券お客様サイトより、同社の業績予想を抜粋

来期の売上高成長率は+4.6%、純利益成長率は+14.6%と予想されています。
(営業利益は業績予想がないため割愛します。)

売上高は指標の+10%に届かず、また過去数年と比べても成長が鈍化する見込みになっています。
純利益は+10%を超える予想ではありますが、今期が減益予想になっており、さらにQ2までの進捗の弱さを勘案すると、あまり鵜呑みにはできないかなと感じます。

■株価水準とチャートの動き

12/17(金)の終値は250ドルです。PERは12倍です。

※SBI証券お客様サイトより、同社の株価情報を抜粋

過去5年の株価の動き(週足)は以下の通りです。

※SBI証券お客様サイトより、同社の株価チャートを抜粋

2019年5月期が減益(純利益)、2020年5月期が減収ということもあり、2020年前半まではさえない動きでしたが、2021年5月期の業績回復もあり、コロナショック後に株価は2倍以上反発しました。

しかしながら、今期の純利益の進捗の弱さ、来期の売上高成長の弱さを見ると、今後もどんどん上昇していくのは難しいと考えています。

■私の投資戦略

以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。

増収減益のQ2決算でした。

世界的な知名度を持つ大企業で、PERは12倍と割安ではありますが、収益性の低さ、安全性の低さ、将来見通しの弱さから、私自身の投資候補には入れない、というのが現時点での結論です。

コロナショック後の反発で株価は安値から2倍以上に上昇しましたが、ここからさらに上昇し「5年で株価2倍」を狙えるかというと、厳しいのではないかなと感じています。

配当利回りも1.2%程ですので、配当狙いの長期保有の戦略をとるほどでもありません。

コロナショック時のように100ドル近くまで下がれば、そこから2倍の水準に反転することは今回確認できましたので、将来また大きく下げることがあり、かなり割安に放置されているタイミングがきたら、その時は改めて候補として考えたいと思います。
以上が私の戦略です。

■まとめ

長くなりましたが、お読み頂きありがとうございました!

私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、上記のような観点で継続的に観察を続けています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指して日々観察をしています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になったのであれば嬉しいです。

毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!

ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!

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