個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのはEC、金融、旅行、モバイルなど幅広い事業を展開する楽天グループ(証券コード:4755)です。
東証プライム市場上場で、決算期は12月です。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は9,159億円、従業員数は連結で32,079名です。
私がこの会社に注目している理由は、
①三木谷社長のカリスマ性
②様々なコンテンツが結びつく楽天経済圏の魅力
③新しい事業にどんどんチャレンジするダイナミックな経営姿勢
④積極的なIRの姿勢
です。
現在私は楽天グループの株を300株保有しています。
■決算発表内容の概要
2023/8/10(金)に発表した2023年12月期第2四半期決算の主な内容は以下の通りです。
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比+9.5%と目安の+10%には届きませんでした。
営業利益、純利益は前期に引き続き赤字。
赤字幅は縮小しました。
同社の事業は以下の3つに分かれます。
■インターネットサービスセグメント
楽天市場、楽天トラベル、など
■フィンテックセグメント
楽天カードなどのクレジット関連サービス、銀行サービス、証券サービス、など
■モバイルセグメント
楽天モバイル、楽天シンフォニー、など
■売上高
事業別の売上高構成比は以下の通りです。
楽天市場をはじめ、主力であるインターネットサービスが過半の51.9%を占めます。
前年同期比の増収率は、
インターネットサービス:+10.2%
フィンテック:+10.5%
モバイル:+12.1%
でした。
増収率の推移は以下の通りです。
増収率が低下しているのは気になりますが、まだ中間期ですので、通期の増収率に注目したいと思います。
■営業利益・純利益
営業利益、純利益は前年同期に続き赤字となり、赤字幅は縮小しました。
今期及び前年同期のセグメント損益は以下の通りです。
引き続きモバイルセグメントが赤字で足を引っ張っています。
ただ、前年同期からは改善が見られます。
四半期ごとのセグメント利益は以下の通りです。
契約回線数の増加、解約率の正常化(1.93%)と、改善の兆しが見えてきていますので、黒字化に向けて成長していくことを期待しています。
●収益性のチェック
営業利益、純利益ともに赤字のため、収益性のチェックについては割愛します。
●安全性のチェック
自己資本比率は4.7%でした。
現金5,005,509百万円に対し、有利子負債は4,874,782百万円と、現金が有利子負債を上回りました。
楽天銀行の上場による調達もあり、現金は増加し、自己資本比率も改善しました。
銀行事業や証券事業により多くのお金を預かっていることもあり、またモバイル事業等への積極的な投資のための有利子負債もあり、自己資本比率は非常に低い水準です。
過去12年(2011年12月期~2022年12月期)と今期Q2の現金・有利子負債・自己資本比率の推移は以下の通りです。
信用力・財務健全性強化のため、楽天銀行に続き、楽天証券ホールディングスの上場に向けて準備中です。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは+239,777百万円と、キャッシュインとなりました。
2021年12月期は中間時点でも通期でも営業CFがマイナスで心配しましたが、この中間期はプラスとなりました。
本業でしっかりキャッシュを稼いでいけるかは大変重要になりますので、今後の動きに注目です。
キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。
今後多額の社債償還が待ち受けていますので、資金の確保は大きな課題です。
今回の決算発表で廣瀬CFOは
社債マチュリティの能動的なコントロール。
マチュリティエクステンション(償還延長)で平準化を検討していきたい。
と発言。
今後どんな施策がとられるのか、注目です。
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
同社では、細かい数値を示した業績予想は発表されておらず、「株式市況の影響を大きく受ける証券サービスを除いた連結売上収益については、2022年12月期(前期)に比べ二桁成長を目指します」と記載されています。
今回は会社四季報に記載の業績予想と比較した進捗度を見ていきます。
四季報6月号の予想に対する売上高の進捗度は46.3%でした。
営業利益は▲165,000百万円の予想に対して、▲125,087百万円。
純利益は▲155,000百万円の予想に対して、▲139,985百万円。
上期のペースで赤字が積みあがると四季報予想より大幅に悪化しての着地となりますので、下期の巻き返しが期待されます。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報から、来期の業績予想を見ていきます。
四季報の今期予想から来期予想への増収率は+9.5%と予想されています。
営業利益、純利益は来期も赤字予想ですが、赤字幅は縮小される予想となっています。
もちろん予想通りにはいかないと思いますが、通期黒字化を期待したいですね。
■株価水準とチャートの動き
8/10(木)の終値は561円。純利益予想が赤字のためPERは計算できません。
過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。
前期まで4期連続の最終赤字、今期も赤字予想、財務状態への不安など、株価は低迷しています。
モバイルセグメントの損益改善が何より重要ですので、今後の決算発表も注目します。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
5期連続の赤字予想となっている今期。
モバイルセグメントの赤字は続き、多額の社債償還を控え、不安材料の多い楽天グループ。
さらに楽天モバイル共同CEOのタレック・アミン氏の退任が先日発表され、「泥船脱出」など様々な憶測が流れました。
タレック氏退任の影響についてアンケートをとったところ、結果は以下の通りでした。
楽天モバイル、楽天シンフォニーを牽引してきたタレック・アミン氏が、楽天グループを去りました。
— かたつむり君@決算分析&個別株投資 (@posikatatsumuri) August 9, 2023
どうなる、楽天?!
個人的には、影響は少なくないと考えていますが、残ったメンバーに頑張ってもらうことを期待しています!
現在保有中の300株は基本的に長期保有を考えています。
株価の下落にあわせて少しずつ買い増していますが、次のターゲットは400円です。
楽天グループの株価が浮上するのは、少なくとも来年の春以降なのではないかと考えています。
(もっと遅れる可能性が十分にあることは織り込み済・・・)
楽天モバイルの損益が改善し、グループ全社でのEBITDA黒字化、営業利益黒字化が見えてこないと、なかなか浮上しないだろうと。
その先に多額の社債償還も控え資金繰りの懸念はありますが、全社の営業利益黒字化が実現すれば、市場の評価も大きく変わると思っています。
しばらく我慢の時間は続きますが、楽天グループのサービスは日本国内においてなくてはならない存在になっていますので、じっくり応援したいと思います。
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
★★私が株式投資において参考にした書籍を以下の記事にまとめています!★★
よろしければご覧ください!
■参考:同社に関する過去の記事
・楽天、解体寸前?!向こう5年で1.2兆円!借金返済地獄が迫る!
※週刊ダイヤモンド2023年8月5日号の記事を紹介ました。
・楽天グループさんから株主優待頂きました~♪
※2023年3月に頂いた株主優待についての記事です。
・【楽天グループ】23/2/14決算発表内容と私の投資戦略
※23/2/14(火)に発表した2022年12月期決算についての記事です。
・【楽天グループ】22/11/11決算発表内容と私の投資戦略
※22/11/11(金)に発表した2022年12月期第3四半期決算についての記事です。
・【四季報活用術】連続赤字からの黒字転換銘柄を狙おう!
※連続赤字から黒字転換を期待できる銘柄として、楽天グループを紹介しています。
・【楽天グループ】22/8/10決算発表内容と私の投資戦略
※22/8/10(水)に発表した2022年12月期第2四半期決算についての記事です。
・【楽天グループ】22/5/13決算発表内容と私の投資戦略
※22/5/13(金)に発表した2022年12月期第1四半期決算についての記事です。
・【楽天グループ】22/2/14決算発表内容と私の投資戦略
※22/2/14(月)に発表した2021年12月期第4四半期決算についての記事です。
・【楽天グループ】21/11/11決算発表内容と私の投資戦略
※21/11/11(木)に発表した2021年12月期第3四半期決算についての記事です。
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