個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのは自社開発SaaSやSNS活用、デジタル人材を通じ企業のマーケティングDX支援などを行うアライドアーキテクツ(証券コード:6081)です。
東証グロース市場上場で、決算期は12月です。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は58億円、従業員数は連結で217名です。
私がこの会社に注目している理由は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の流れの中で、同社のビジネスが拡大していくと考えているからです。
現在私はアライドアーキテクツの株を200株保有しています。
■決算発表内容の概要
2023/8/14(月)に発表した2023年12月期第2四半期決算の主な内容は以下の通りです。
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比▲5.9%、営業利益は同▲77.6%、純利益は同▲94.6%でした。
国内事業は好調だったものの、海外SaaS事業の苦戦により、減収減益となりました。
海外SaaS事業で一時休止顧客の再開や新規獲得が苦戦しており、第1四半期決算(23/5/12)、第2四半期決算(23/8/9)と、2四半期連続で業績予想を下方修正しました。
同社の事業構成は以下の通りです。
「SaaSビジネス」と「デジタル人材ビジネス」が2本柱。
「SaaSビジネス」の中に①国内SaaS事業と、②海外SaaS事業があり、「デジタル人材ビジネス」の中に③ソリューション事業と、④中国進出支援事業があります。
計4つの事業に分かれます。
事業別の四半期売上高を示したのが以下のグラフです。
海外SaaS事業の苦戦が売上高全体を押し下げていることがわかります。
●収益性のチェック
売上高営業利益率は5.3%、売上高純利益率は1.1%でした。
目安としている15%、10%には届きませんでした。
過去11年(2012年12月期~2022年12月期)と今期Q2の利益率の推移は以下の通りです。
2020年12月期の黒字転換後、利益率の改善が続いていましたが、今期は急落しました。
ROEは1.4%でした。
●安全性のチェック
自己資本比率は72.0%でした。
現金2,139百万円に対し、有利子負債は370百万円と、現金が有利子負債を上回りました。
過去4年(2019年12月期~2022年12月期)と今期Q2の貸借対照表の推移は以下の通りです。
流動資産が負債合計を上回り、安全性は高いです。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは▲1百万円と、キャッシュアウトとなりました。
キャッシュフローの概要は以下の通りです。
投資CFの主な内容は、投資有価証券の売却による収入(+200百万円)です。
財務CFの主な内容は長期借入金の返済(▲115百万円)です。
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
第1四半期決算(23/5/12)、第2四半期決算(23/8/9)と、2四半期連続で業績予想を下方修正しました。
年初の業績予想に対する進捗度は、売上高:36.9%、営業利益:8.9%、純利益:2.4%です。
「それは下方修正するわな・・・」 という低調な進捗度です。
今回の下方修正後の業績予想に対する進捗度は、売上高:43.3%、営業利益:16.6%、純利益:8.6%です。
「下期から巻き返す」と宣言していますが、果たして本当に実現可能でしょうか。
3回目の下方修正もあるのでは?と疑ってしまいます。
11月の第3四半期決算発表を見守りたいと思います。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報から、来期の業績予想を見ていきます。
2024年12月期は増収増益の予想になっていますが、今回の下方修正前の6月時点での四季報情報ですので、あまり参考にはなりません。
■株価水準とチャートの動き
8/17(木)の終値は340円。PERは20倍です。
過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。
(グラフ外ですが)2016年から2017年頭にかけては、SNSマーケティングへの期待感もあり順調に株価が伸びていました。
ところが2017年4月以降業績不振となり、株価は大きく調整しました。
2017年、2018年、2019年と、3期連続の最終赤字となりました。
株価は、2017年4月の高値1,650円から、コロナショックの2020年3月には141円まで下落しました。
実に91%の下落です。
2020年から黒字転換したこともあり、株価は回復基調で推移していましたが、今年2月の決算発表で海外SaaS事業の最大顧客の一時解約が公表され、大幅に下落しました。
2023年の年初来の下落率は実に▲73.2%です。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
第1四半期決算、第2四半期決算と、2四半期連続での業績予想下方修正う受け、社長名にてお詫び文も公表されました。
海外SaaS事業の苦戦は前期末決算時点で顕在化しており、その上でレンジでの業績予想開示をしていたにも関わらず、2四半期連続での下方修正。
見通しの甘さを感じずにはいられませんし、率直に残念です。
中期的な成長戦略では2025年に向けて売上高100億円、CAGR30-35%を掲げていましたが見直しが必要になるでしょう。 (期末に見直しになれば、また株価が下がるかもしれませんね。)
現在保有している200株は2017年に購入し、長らく含み損状態が続いていましたが、昨年好調に推移し、一時は含み益圏に浮上しました。
ただ、今回の急落で含み損圏に墜落しました・・・
「買付から+50%ほどまで上昇したら、利益確定を検討しようと考えています。」と1年前の記事で書きました。
一時、その水準まで株価は上昇しましたが、足元の業績が好調に推移していたため利益確定せず保有を続けていました。
「まだ上昇するのではないか」と欲を出してしまったことに後悔しています。
今回の反省として、
「ある程度満足できるリターンを得られたら思い切って利益確定する」
ということを今後はより強く意識していきたいと思っています。
今後の方針ですが、株価は大きく下落しているものの、安易なナンピンは危険だと思っています。
少なくとも海外SaaS事業の復調を確認できるまでは手を出さない方針です。
まずは11月の第3四半期決算に注目します。
また、来年2月の期末決算では中期成長戦略の見直し(下方修正)の可能性もありますので、そこまでは特に慎重に判断したいと思います。
同社の業績には、ゲーム業界全体の動向も影響してきますので、そのあたりにもアンテナを張ろうと思います。
これが私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
★★私が株式投資において参考にした書籍を以下の記事にまとめています!★★
よろしければご覧ください!
■参考:同社に関する過去の記事
・株価は上げ下げを繰り返す!2023年前半戦を振り返り!
※2023年上半期の保有銘柄の増減をまとめました。同社の下落が際立ちました。
・キリンHD・Chatwork・アライドアーキテクツ 株主総会に行ってきました。
※同社の株主総会(オンライン)に参加しました。
・【アライドアーキテクツ】22/8/10決算発表内容と私の投資戦略
※22/5/13(金)に発表した2022年12月期第1四半期決算についての記事です。
・【アライドアーキテクツ】22/5/13決算発表内容と私の投資戦略
※22/5/13(金)に発表した2022年12月期第1四半期決算についての記事です。
・【アライドアーキテクツ】22/2/10決算発表内容と私の投資戦略
※22/2/10(木)に発表した2021年12月期第4四半期決算についての記事です。
・【アライドアーキテクツ】21/11/12決算発表内容と私の投資戦略
※21/11/12(金)に発表した2021年12月期第3四半期決算についての記事です。
・【銘柄研究!】本日の気になる銘柄~アライドアーキテクツ
※21/8/10(火)に発表した2021年12月期第2四半期決算についての記事です。
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