最近株価が大きく下落しているNTT≪9432≫。
昨年実施した株式分割で大幅に買いやすくなり、今年始まった新NISAでも人気を集め、年初の172.3円から、一時+12%の192.9円まで上昇しましたが、ここにきて株価は下落。
6/18(火)の株価は、最高値から▲24.6%下落した145.5円で終えました。
株価が下落すると気になるものですが、やはり注目すべきは業績です。
株価は短期的には需給やニュースで大きく動きますが、長い目で見れば、業績と連動します。
株価が注目される今だからこそ、一度落ち着いて業績を見てみましょう。
5/10(金)に発表された2024年3月期決算について、PL・BS・CF、それぞれの視点から見ていきます!
■2024年3月期決算概要
2024年3月期の決算概要は以下の通りです。
PL、BS、CF、それぞれ見ていきましょう!
■PL~増収増益で過去最高を達成!
まず、PL(損益計算書)です。
売上高にあたる営業収益は、前期比+1.8%の13兆3745億円。
営業利益は、同+5.1%の1兆9229億円。
純利益は、同+5.5%の1兆2795億円でした。
増収増益で、いずれも過去最高でした。
期初に掲げた業績予想に対する達成度は、売上収益:102.4%、営業利益:98.6%、純利益:102.0%でした。
営業収益・営業利益のセグメント別の業績は以下の通りです。
営業収益は特にグローバル・ソリューション事業が、営業利益は総合ICT事業とグローバル・ソリューション事業が貢献しました。
なお、各セグメントの主な所属会社は以下の通りです。
「地域通信事業」・・・NTT東日本、NTT西日本、他
「グローバル・ソリューション事業」・・・NTTデータ、他
NTTの特徴であり強みは、業績の安定感にあります。
過去10年間の営業収益の推移は以下の通りです。
2017年3月期は▲1.3%の減収でしたが、減収となったのはこの年のみです。
他の年はじわじわと増収しています。
過去10年間の営業利益と売上高営業利益率の推移は以下の通りです。
2015年3月期は9.8%でしたが、それ以降の9年間は11%を超えています。
安定した利益創出力は魅力的です。
■BS~保有する有形固定資産は10兆円超!
続いて、BS(貸借対照表)です。
直近5年のBSの推移は以下の通りです。
非流動資産の割合が大きいですが、主な内容は有形固定資産(10,421,986百万円)です。
大規模な通信インフラを支えるため、通信設備、基地局、データセンターなど、膨大な額の有形固定資産を保有しています。
手元の現金(982,874百万円)に対して有利子負債(9,591,014百万円)が非常に多いのも特徴です。
なお、成長分野である金融・データセンター事業の規模拡大に伴い、当該事業を区分してBSを開示されるようになりました。
■CF~年間2兆円を超える積極的な設備投資姿勢!
最後に、CF(キャッシュ・フロー計算書)です。
2024年3月期のキャッシュ・フロー計算書の概要は以下の通りです。
本業によるキャッシュ創出力の強さ(営業CF)、積極的な設備投資姿勢(投資CF)が伝わります。
投資CFの主な内容は「有形固定資産・無形資産及び投資不動産の取得による支出」(▲2,084,004百万円)で2兆円を超えます。
なお、設備投資額は2025年3月期(2024年度)も2兆円を超える計画となっており、セグメントごとの内訳は以下の通りです。
■おわりに~今期業績は減益か?
NTTの業績、いかがでしたでしょうか?
2024年3月期は増収増益でそれぞれ過去最高の結果を残しました。
2025年3月期の業績予想は以下の通りです。
営業収益は+0.6%と微増ではあるものの、営業利益:▲5.9%、純利益:▲14.0%と減益予想となっています。
上でグラフも示しましたが、営業利益を過去10年で見ると、減益となったのは2020年3月期の▲7.8%のみで、他の年は増益でした。
今回の株価下落の主因は需給の調整と言われていますが、この業績予想も要因の一つかもしれません。
6月17日(月)発売の会社四季報で掲載されたコメントは以下の通りです。
【転 機】改正NTT法成立、総務省に全国一律電話サービス見直しも提案。制度改正なら将来的に大幅コスト減も。ドコモの海外事業を統括する新会社を7月設立。
為替や改正NTT法の動向も気になりますね。
期初は保守的な予想を出すケースも多いですので、今後の第1四半期、第2四半期と、経過を観察していきたいと思います。
いずれにしても、目先の株価に一喜一憂するのではなく、業績やビジネスの動向をしっかり観察していきたいですね!
同業他社と業績を比較することで見えてくるものもありますので、後日他社との比較記事も書いていきたいと思います。
本日もお読み頂きありがとうございました!
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