直近の業績が好調なのか、不調なのか。
業績推移に安定感があるのか、ムラがあるのか。
利益率が高いのか、低いのか。
業績の推移を図解することで、様々なことが視覚的に読み取れます。
この記事では日本を代表する70銘柄を集めた「TOPIX Large 70」(トップ30を集めた「TOPIX Core 30」の次のカテゴリー)から、「鉄鋼」「非鉄金属」「機械」「石油・石炭製品」業種の以下7銘柄の業績を図解します。
日本製鉄≪5401≫
・非鉄金属
住友金属鉱山≪5713≫、住友電気工業≪5802≫
・機械
小松製作所≪6301≫、クボタ≪6326≫、三菱重工業≪7011≫
・石油・石炭製品
ENEOSホールディングス≪5020≫
本記事で図解する業績は以下の4点です。
・営業利益
・純利益
・EPS(一株純利益)
EPSは折れ線グラフ(右軸)にて、他の3つは棒グラフ(左軸)にて表現しています。
IFRS、日本基準、米国基準など、会計基準が会社によって異なるため、グラフの中の項目名が若干異なりますがご了承ください。
四季報記載のコメントも掲載します。
投資判断の一助になれば幸いです。
■日本製鉄≪5401≫
粗鋼生産量で国内首位、世界4位。技術に定評、高級鋼板で圧倒的。12年に住金と合併し発足

【反 落】日鉄物産連結化。鉄鋼は数量回復鈍く海外市況低調だが利ザヤ確保。インドは港湾買収効果などで利益拡大。ただ前期の主原料急騰で特に上期が原価高。設備休止損も響き営業減益。税負担増加。減配。 |
【電磁鋼板】無方向性電磁鋼板能力増強に900億円追加投資。八幡と広畑で電炉転換を本格検討開始。カナダ原料炭会社への出資計画は欧州資源大手の横やりで中断。 |
■住友金属鉱山≪5713≫
非鉄金属と電子材料が2本柱。資源開発・製錬に重点投資、ニッケルで非鉄メジャー入り狙う

※営業利益は会社では非開示。四季報掲載数値をグラフ化。
【連続減益】材料は電子部品向け低迷。電池向けも金属価格下落影響で利幅縮小。主力の資源と製錬もニッケルなど価格下落が響くうえ在庫評価損も。営業減益続く。持分会社は会計変更で鉱山開発費増。減配。 |
【海外鉱山】チリのケブラダ・ブランカ銅鉱山など開発中海外鉱山では、操業前の投資は開発費に計上する会計基準に。ニッケル事業は新規投資案件の絞り込みを開始。 |
■住友電気工業≪5802≫
電線首位。自動車用ワイヤハーネスで世界大手の一角。光ファイバーなど通信インフラも大手

【横ばい】柱の自動車ハーネスは下期を中心に顧客の生産回復本格化で数量大幅増。ただ光ファイバーはデータセンター向けなどで低迷長期化。FPCなど電子部品も市場の在庫調整が響く。営業益横ばい止まり。 |
【新中計】25年度売上4兆4000億円、営業利益2500億円目標。車載ハーネス拡大カギ。英国で電力ケーブル製造会社を5月設立、26年操業し欧州の需要増に対応。 |
■小松製作所≪6301≫
建設機械で世界2位。アジアでも幅広く展開。IT活用強み。基幹部品は日本、組み立て現地化

※2014年3月期~2016年3月期の営業利益は同社のIRサイトでは確認できず。
【一 服】主力の建設機械・車両はアジアや北米軸に鉱山機械好調。ただ一般建機の需要減速に加え、円安による増収効果剥落。販売価格の積極値上げで営業益横ばい圏。金利上昇による支払利息増加で最終減益。 |
【脱炭素】欧州で生産する建設・鉱山機械の充填燃料をディーゼル燃料から水素化植物油に転換。CO2削減効果。建機向け遠隔操作システムは量産化に一定のメド。 |
■クボタ≪6326≫
農業機械、鋳鉄管とも国内トップ。建機、エンジンも主力。環境プラントは民需、海外を強化

【最高益】22年4月買収完了した印トラクターメーカー通期化。北米建機は政府のインフラ開発投資追い風、物流混雑緩和で期初に需要先取り。円安効果に加え、欧州含めた値上げ奏功。最高純益更新。増配か。 |
【電池材料】24年末からリチウムイオン電池の負極材量産。月産能力50tを段階的に引き上げ。国立環境研究所と廃棄物の資源循環システム構築に向けた共同研究開始。 |
■三菱重工業≪7011≫
タービン、航空、防衛、造船手がける総合重機。ターボ、フォークリフトで世界的。小型機は中止

【最高益】防衛は予算増での受注拡大が寄与。受注残潤沢な製鉄機械の工事進捗。航空エンジン回復続く。量産品も価格適正化進み改善。前期膨らんだ石炭火力改革費一巡。人件費、エネ価格増吸収、営業益好伸。 |
【エネ転換】高効率なJAC型の受注伸びガスタービンで世界シェア首位に。水素だきの引き合いも強い。三菱造船と日本シップヤードで液化CO2船の共同開発検討。 |
■ENEOSホールディングス≪5020≫
17年4月に東燃ゼネラルと経営統合、国内シェア5割の石油元売り首位。銅など非鉄事業兼営

【上向く】石油開発は油価下落で減益。石油製品は販売数量増。輸出市況下落でも、値決め時期による負のタイムラグ解消や製油所稼働回復で利幅向上。チリ銅山権益一部売却に伴う前期評価損消え営業益反発。 |
【新中計】JX金属の上場準備開始。収益変動減らし先端素材や脱炭素に集中。機能材、電気、再エネは分社化で自律経営促す。27年メドに低炭素ハイオクガソリン供給。 |
■おわりに
直近の業績が好調なのか、不調なのか。
業績推移に安定感があるのか、ムラがあるのか。
利益率が高いのか、低いのか。
グラフから様々なことが視覚的に読み取れます。

投資対象として、興味が湧いた銘柄はありましたか?
私は注目している銘柄について、このグラフを定期的に更新し、株式投資のエントリー、利益確定の判断の参考にしています。
業績が下降トレンドなのに、株価が高いままであれば、売る準備をした方がいいかもしれません。
業績が上向き始めているにも関わらず、株価がさえないままであれば、仕込むのに良いタイミングなのかもしれません。
上記グラフの情報(売上高・営業利益・純利益・EPS)は、直近数年分であれば会社四季報から調べることができます。
もっと長いスパンで調べたい方は、各社IRサイトの決算短信で調べることができます。
ぜひ活用してみて下さい。
投資判断においては、上記の業績の他にも、
・貸借対照表(BS)の状況
・キャッシュフローの状況
・配当などの株主還元方針
・ビジネスモデルの強さ
・競合他社の状況
・為替や金利などの外部環境
など、様々な要素が影響します。
少しずつ勉強を重ね、投資の精度を高めていきましょう。
株式投資について外部のスクールで体系的に学びたい方、リアルな投資仲間を作りたい方は、ファイナンシャル・アカデミーの株式投資スクールもオススメです。
好きな時間に動画で見られる無料セミナーもありますので、興味があればどうぞ。

本日もお読み頂きありがとうございました!
コメント
「三菱重工業、小松製作所などの業績を図解」良く分かりました。ありがとうございました。
yoehiさん、いつもコメント頂きありがとうございます!引き続きいろんな会社の業績を図解していきます!