直近の業績が好調なのか、不調なのか。
業績推移に安定感があるのか、ムラがあるのか。
利益率が高いのか、低いのか。
業績の推移を図解することで、様々なことが視覚的に読み取れます。
この記事では日本を代表する70銘柄を集めた「TOPIX Large 70」(トップ30を集めた「TOPIX Core 30」の次のカテゴリー)から、「電気機器」業種の以下5銘柄の業績を図解します。
東芝≪6502≫、三菱電機≪6503≫、オムロン≪6645≫、富士通≪6702≫、ルネサスエレクトロニクス≪6723≫
本記事で図解する業績は以下の4点です。
・営業利益
・純利益
・EPS(一株純利益)
EPSは折れ線グラフ(右軸)にて、他の3つは棒グラフ(左軸)にて表現しています。
IFRS、日本基準、米国基準など、会計基準が会社によって異なるため、グラフの中の項目名が若干異なりますがご了承ください。
四季報記載のコメントも掲載します。
投資判断の一助になれば幸いです。
■東芝≪6502≫
総合電機大手。不正会計や米国原発事業の巨額損失で経営危機に。非公開化含めた再編策を検討

※純利益・EPSは四季報予想数値(会社予想非開示)
【横ばい】半導体は為替効果軽減。が、インフラは公共、鉄道とも順調。HDDや発電の引当や複合機減損なく営業益横ばい。キオクシア持分損は一定残る。税平常化。 |
【TOB】日本産業パートナーズ連合が当社1株4620円で公開買い付けを表明。7月下旬開始の公算で実現なら上場廃止。買収目的会社に事業会社17社、国内6金融機関出資。会社側は賛同も応募推奨は留保。 |
■三菱電機≪6503≫
総合電機大手。FA、自動車機器や昇降機が収益柱。パワー半導体や空調『霧ヶ峰』など家電も

【最高益更新】柱のFAは上期に半導体やスマホ関連の工作機械向けが減速も、EVや物流向け堅調で高水準続く。前期機会損失あった空調も、省エネ需要高い欧米向けなど国内外で伸長。値上げも進み連続増益。 |
【メ ス】22年度売上高8164億円、営業損失462億円の自動車機器は24年4月までに分社。CASE系は他社協業、パワステは採算重視、カーナビ系は事業終了。 |
■オムロン≪6645≫
感知・制御技術が基盤。稼ぎ頭は制御機器。リレー等電子部品や鉄道システム、ヘルスケアも展開

【連続増配】利益柱の制御機器は半導体向け軟調も、太陽光パネル向けやEVの2次電池向けの伸びが補い拡大。ヘルスケアも前期不調の中国向け回復。値上げ効果の発現進み、人件費増を吸収し営業益高水準。 |
【拡 販】血圧計は中国の市場回復受け、地方都市で販売者と接点強化し拡販。電子部品の国内5工場で太陽光発電5月開始、24年度までに国内再エネ100%目指す。 |
■富士通≪6702≫
ITサービス国内首位。官公庁・金融・流通向け多い。コンサル機能を強化し、DX関連に注力

【最高益更新】国内・海外ITは標準化したシステムの提案が増え、採算改善進む。DXコンサルは人員増が効き好伸。電子部品は半導体の特需一巡。前上期の子会社売却益なくても、最高純益更新。連続増配。 |
【新中計】25年度に売上高4兆2000億円、調整後営業利益率12%(22年度8・6%)目標、好採算コンサル拡大等で目指す。コンサルは25年度に現状比5倍の1万人に。 |
■ルネサスエレクトロニクス≪6723≫
日立、三菱電、NECの半導体が統合。車載マイコン世界首位級。米英3社を計1・7兆円で買収

※2016年12月期より、12月決算に変更
※会社では通期予想非開示のため、2023年12月期予想は四季報予想数値。
【横ばい圏】PC・スマホ向けは上期の顧客在庫調整で軟調。ただ車載半導体は台数増追い風。円安一服でも期初に火災保険金300億円、原材料高騰等の価格転嫁進み営業益は横ばい圏。為替差損ない。復配も。 |
【補助金】477億円投じ那珂工場でのマイコン増産など3工場で能力増強、経産省から最大159億円補助金受領。NFC技術に強みの欧州社買収、無線通信領域拡充。 |
■おわりに
直近の業績が好調なのか、不調なのか。
業績推移に安定感があるのか、ムラがあるのか。
利益率が高いのか、低いのか。
グラフから様々なことが視覚的に読み取れます。

投資対象として、興味が湧いた銘柄はありましたか?
私は注目している銘柄について、このグラフを定期的に更新し、株式投資のエントリー、利益確定の判断の参考にしています。
業績が下降トレンドなのに、株価が高いままであれば、売る準備をした方がいいかもしれません。
業績が上向き始めているにも関わらず、株価がさえないままであれば、仕込むのに良いタイミングなのかもしれません。
上記グラフの情報(売上高・営業利益・純利益・EPS)は、直近数年分であれば会社四季報から調べることができます。
もっと長いスパンで調べたい方は、各社IRサイトの決算短信で調べることができます。
ぜひ活用してみて下さい。
投資判断においては、上記の業績の他にも、
・貸借対照表(BS)の状況
・キャッシュフローの状況
・配当などの株主還元方針
・ビジネスモデルの強さ
・競合他社の状況
・為替や金利などの外部環境
など、様々な要素が影響します。
少しずつ勉強を重ね、投資の精度を高めていきましょう。
株式投資について外部のスクールで体系的に学びたい方、リアルな投資仲間を作りたい方は、ファイナンシャル・アカデミーの株式投資スクールもオススメです。
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本日もお読み頂きありがとうございました!
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