資生堂、花王などの業績を図解【TOPIX Large 70②】

決算分析

直近の業績が好調なのか、不調なのか。

業績推移に安定感があるのか、ムラがあるのか。

利益率が高いのか、低いのか。

業績の推移を図解することで、様々なことが視覚的に読み取れます。

この記事では日本を代表する70銘柄を集めた「TOPIX Large 70」(トップ30を集めた「TOPIX Core 30」の次のカテゴリー)から、「化学」「繊維製品」業種の以下7銘柄の業績を図解します。

・化学
旭化成≪3407≫、三菱ケミカルグループ≪4188≫、花王≪4452≫、富士フイルムホールディングス≪4901≫、資生堂≪4911≫、ユニ・チャーム≪8113≫
・繊維製品
東レ≪3402≫

本記事で図解する業績は以下の4点です。

売上高/売上収益
営業利益
純利益
EPS(一株純利益)

EPSは折れ線グラフ(右軸)にて、他の3つは棒グラフ(左軸)にて表現しています。

IFRS、日本基準、米国基準など、会計基準が会社によって異なるため、グラフの中の項目名が若干異なりますがご了承ください。

四季報記載のコメントも掲載します。

投資判断の一助になれば幸いです。

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■旭化成≪3407≫

総合化学企業。ケミカル、住宅が利益の2大柱。繊維、電子部品、医薬・医療機器など事業多彩

【反 発】ヘルスケアは医薬が研究開発費増重荷も、除細動器が復調し補う。住宅は海外軸に着実増。石化は市況徐々に改善し上向く。車用部材も数量回復進む。営業益反発。絶縁材の減損特損消え最終黒字復帰。
【米国進出】EV電池向け湿式絶縁材はインフレ抑制法を好機に米国に工場新設し進出へ。カーボンニュートラルに特化したCVC投資枠設定、27年度までに1億ドル出資。

■三菱ケミカルグループ≪4188≫

総合化学首位。化学・レイヨン・樹脂が合併した三菱ケミカルが中核。製薬や産業ガス等も

【改 善】医薬ロイヤルティは大幅反動減だが、MMA関連等の巨額損失が消滅し相殺。機能樹脂や、光学フィルムほかディスプレー関連が需要回復し上向く。MMAや石化底打ち。営業益反発。期中に予定の炭素売却影響見込まず。金融収支悪化。増配。
【分 離】石化は25年3月期に合弁化、炭素は24年3月期に売却の方針。車載電池用電解液は米国の原料メーカーと協業検討。

■花王≪4452≫

トイレタリー国内首位、化粧品でも大手。原料からの一貫生産。独自の物流・販社システム所有

【下振れ】国内は主力の衣料用洗剤値上げでも数量維持。マスク緩和でメイク伸びる。が、ケミカル販売が想定以下。中国化粧品も回復鈍い。原料高後半緩和も宣伝費増重く、前号比増益幅縮小。為替差益ない。
【挽回策】新興企業に押され気味のヘアケアは『エッセンシャル』を21年来再度刷新し対抗。需要拡大中の高収益な殺菌剤原料の設備を欧州で増強、下期ケミカル挽回へ。

■富士フイルムホールディングス≪4901≫

写真、医療機器、医薬、液晶フィルム、半導体材料、事務機器展開。医療注力。M&Aにも積極的

※2012年12月期、2013年12月期は営業利益の情報確認できず、グラフなし

【連続最高益】半導体向けなど電子材料は上期に在庫調整影響。だが、医療機器が診断AI搭載機種の好調で大幅に伸びる。複合機は構造改革効果発現で収益性改善。カメラ関連も好調続く。連続最高純益、増配。
【半導体投資】150億円投じ台湾に最先端半導体向け材料の新工場建設、24年春稼働予定。米社からは半導体洗浄等に使う化学品事業を約950億円で年内に買収へ。

■資生堂≪4911≫

化粧品国内大手。中国を第2の本社と位置づけ、積極展開。高価格帯スキンケアの強化に注力

【横ばい】国内は訪日客増で高価格帯メイク販売増。中国でスキンケア後半じわり回復。ただ円安緩和で米州減退。人件費や宣伝費増重い。日用品事業譲渡関連損失160億円で営業益は停滞。持分益縮小。減配。
【専門店】メイク『インウイ』を化粧品専門店限定ブランドとして23年秋発売、美容情報発信など地域需要活性化。全世界で生産や購買情報など一元化進め、経費効率化。

■ユニ・チャーム≪8113≫

生理用品、乳幼児・大人用紙おむつトップ。ペットケア用品も首位級。中国軸のアジア展開に強み

【最高益】国内は高単価品拡充奏功しペット用品が牽引。大人用紙おむつ好調続く。海外は円安一服でも前期苦戦の中国反動増やインド黒字化で伸びる。単価上昇で原料高吸収し営業益反発。最高純益。連続増配。
【対 策】涼感素材使ったマスクを4月発売、特需剥落をシェア拡大でカバー狙う。拡大する男性用大人用おむつ市場深耕に力、極薄で使用感改善の新製品で攻勢。

■東レ≪3402≫

衣料や産業用途の繊維事業が大黒柱。炭素繊維複合材で世界首位。電子材料、水処理膜等も有力

【横ばい】ABS樹脂やエンプラは、車や家電用の需要が上向き、下期回復。フィルムは価格改定で採算改善。繊維は産業用増販で原価高吸収。炭素繊維堅調。投資再評価益剥落だが営業益横ばい。持分益改善。
【新社長】6月末に13年ぶり社長交代、営業畑の大矢副社長が昇格し販売強化図る。26年3月期までの3年で炭素繊維や水素関連など成長領域に4500億円投資計画。

■おわりに

直近の業績が好調なのか、不調なのか。

業績推移に安定感があるのか、ムラがあるのか。

利益率が高いのか、低いのか。

グラフから様々なことが視覚的に読み取れます。

投資対象として、興味が湧いた銘柄はありましたか?

私は注目している銘柄について、このグラフを定期的に更新し、株式投資のエントリー、利益確定の判断の参考にしています。

業績が下降トレンドなのに、株価が高いままであれば、売る準備をした方がいいかもしれません。

業績が上向き始めているにも関わらず、株価がさえないままであれば、仕込むのに良いタイミングなのかもしれません。

上記グラフの情報(売上高・営業利益・純利益・EPS)は、直近数年分であれば会社四季報から調べることができます。

もっと長いスパンで調べたい方は、各社IRサイトの決算短信で調べることができます。

ぜひ活用してみて下さい。

投資判断においては、上記の業績の他にも、

貸借対照表(BS)の状況
キャッシュフローの状況
配当などの株主還元方針
ビジネスモデルの強さ
競合他社の状況
為替や金利などの外部環境

など、様々な要素が影響します。

少しずつ勉強を重ね、投資の精度を高めていきましょう。

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本日もお読み頂きありがとうございました!

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