直近の業績が好調なのか、不調なのか。
業績推移に安定感があるのか、ムラがあるのか。
利益率が高いのか、低いのか。
業績の推移を図解することで、様々なことが視覚的に読み取れます。
この記事では日本を代表する70銘柄を集めた「TOPIX Large 70」(トップ30を集めた「TOPIX Core 30」の次のカテゴリー)から、「医薬品」業種の以下5銘柄の業績を図解します。
塩野義製薬≪4507≫、中外製薬≪4519≫、エーザイ≪4523≫、小野薬品工業≪4528≫、大塚ホールディングス≪4578≫
本記事で図解する業績は以下の4点です。
・営業利益
・純利益
・EPS(一株純利益)
EPSは折れ線グラフ(右軸)にて、他の3つは棒グラフ(左軸)にて表現しています。
IFRS、日本基準、米国基準など、会計基準が会社によって異なるため、グラフの中の項目名が若干異なりますがご了承ください。
四季報記載のコメントも掲載します。
投資判断の一助になれば幸いです。
■塩野義製薬≪4507≫
抗HIV薬が大型製品に。感染症、疼痛・中枢神経領域に強み。米国に積極展開。欧州、アジア開拓

【横ばい圏】柱の抗HIV薬は米国で新剤形が牽引。ただコロナ薬『ゾコーバ』は中国で承認見込む一方、前期一括計上した政府納入分がなくなる。研究開発費もかさみ営業益横ばい圏。配当減で税前益後退。増配。 |
【新剤形】抗HIV薬は2カ月に1度の接種で治療効果持続する注射剤が米国で堅調増。『ゾコーバ』の後続品となるコロナ治療薬開発に向け、5月に臨床試験を開始。 |
■中外製薬≪4519≫
ロシュ傘下で成長続ける異色の医薬品大手。抗体・バイオで先行、抗がん剤、骨・関節領域に強い

※会社開示の2023年12月期予想は会社独自の指標によるため、四季報予想値をグラフ化
【反 落】抗悪性腫瘍剤『ポライビー』や加齢黄斑変性薬など新薬群伸長。ただコロナ向け『ロナプリーブ』大幅減。特許訴訟受取和解金約900億円剥落し営業益反落。早期退職加算金が税前益押し下げ。増配。 |
【進 展】市場規模大きいアトピー性皮膚炎候補薬『ネモリズマブ』が最終治験で結果良好、24年下期米国発売予定。早期退職募集に374人応募、退職日は6月末。 |
■エーザイ≪4523≫
神経系、がん領域に強み。認知症薬は米バイオジェンと、抗がん薬では米メルクと国際協業推進

【費用減】関節リウマチ治療薬の国内共同開発販売契約終了やライセンス収入減響く。ただ主力の『レンビマ』は腎細胞がん適応追加で伸びる。認知症薬は夏頃の米国、国内の承認が寄与。認知症薬の研究開発費減が大きく営業増益。税負担通常に戻る。 |
【認知症薬準備】米国は7月に見込む承認後に備えて情報提供人員400人を配置。国内は遅くとも9月に承認可否が判明へ。 |
■小野薬品工業≪4528≫
医療用医薬品専業の中堅。自社開発品多い。先駆的がん免疫阻害剤『オプジーボ』が成長牽引

【連続増配】大黒柱の『オプジーボ』は非小細胞肺がんでの競争激化などにより苦戦。ただ胃がん、食道がんで処方数伸長。糖尿病薬『フォシーガ』も慢性腎臓病向け大幅増。研究開発費増こなし営業増益。増配。 |
【影 響】日本臨床腫瘍研究グループ実施の『オプジーボ』『ヤーボイ』併用療法の臨床治験が11人死亡受け中止、原因精査中。肺がん領域での減収は計画に織り込み済み。 |
■大塚ホールディングス≪4578≫
国内製薬大手で抗精神病薬が主力。ポカリスエットなど機能性食品も拡大。世界90カ所に工場

【好 転】抗精神病薬『レキサルティ』や利尿薬など主力品は米国で成長続き、国内主力品の特許切れを補う。機能性飲料『ポカリスエット』やサプリも堅調増。加えてロイヤルティ収入が想定超。営業益上振れ。 |
【初承認】アルツハイマー型認知症の周辺症状向け治療薬が5月米国で承認。対象患者は米国で280万人想定。統合失調症薬の2カ月持続性製剤が4月に米国で承認。 |
■おわりに
直近の業績が好調なのか、不調なのか。
業績推移に安定感があるのか、ムラがあるのか。
利益率が高いのか、低いのか。
グラフから様々なことが視覚的に読み取れます。

投資対象として、興味が湧いた銘柄はありましたか?
私は注目している銘柄について、このグラフを定期的に更新し、株式投資のエントリー、利益確定の判断の参考にしています。
業績が下降トレンドなのに、株価が高いままであれば、売る準備をした方がいいかもしれません。
業績が上向き始めているにも関わらず、株価がさえないままであれば、仕込むのに良いタイミングなのかもしれません。
上記グラフの情報(売上高・営業利益・純利益・EPS)は、直近数年分であれば会社四季報から調べることができます。
もっと長いスパンで調べたい方は、各社IRサイトの決算短信で調べることができます。
ぜひ活用してみて下さい。
投資判断においては、上記の業績の他にも、
・貸借対照表(BS)の状況
・キャッシュフローの状況
・配当などの株主還元方針
・ビジネスモデルの強さ
・競合他社の状況
・為替や金利などの外部環境
など、様々な要素が影響します。
少しずつ勉強を重ね、投資の精度を高めていきましょう。
株式投資について外部のスクールで体系的に学びたい方、リアルな投資仲間を作りたい方は、ファイナンシャル・アカデミーの株式投資スクールもオススメです。
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本日もお読み頂きありがとうございました!
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