個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのはEC、金融、旅行、モバイルなど幅広い事業を展開する楽天グループ(証券コード:4755)です。
東証プライム市場上場で、決算期は12月です。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は1兆648億円、従業員数は連結で28,261名です。
私がこの会社に注目している理由は、
①三木谷社長のカリスマ性
②様々なコンテンツが結びつく楽天経済圏の魅力
③新しい事業にどんどんチャレンジするダイナミックな経営姿勢
④積極的なIRの姿勢
です。
現在私は楽天グループの株を200株保有しています。
■決算発表内容の概要
2023/2/14(火)に発表した2022年12月期第4四半期決算の主な内容は以下の通りです。
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比+14.6%と目安の+10%を越えて増収となりました。
同社の事業は以下の3つに分かれます。
■インターネットサービスセグメント
楽天市場、楽天トラベル、楽天西友ネットスーパー
■フィンテックセグメント
楽天カードなどのクレジット関連サービス、銀行サービス、証券サービス
■モバイルセグメント
楽天モバイル、楽天シンフォニー
■売上高
事業別の売上高構成比は以下の通りです。
楽天市場をはじめ、主力であるインターネットサービスが過半の51.3%を占めます。
前年比の増収率は、
インターネットサービス:+8.7%
フィンテック:+7.2%
モバイル:+62.0%
でした。
モバイルセグメントは通信料金無料キャンペーンの終了により、課金ユーザーが増加したことで大きく増収となりました。
製品・サービス別の売上高構成比は以下の通りです。
楽天市場・楽天トラベルが22.9%で主力です。
楽天モバイルも全体の9.8%にまで成長しています。
地域別の売上高構成比は以下の通りです。
社内公用語も英語で、グローバル展開がされてるイメージを持っていましたが、日本での売上が84.3%と大部分を占め、米州が11.0%で続きます。
過去12年(2011年12月期~2022年12月期)の売上高と増収率の推移は以下の通りです。
売上高は右肩上がりに上昇を続け、増収率もほとんどの年で+10%超えています。(11Q4:+9.8%、16Q4:+9.6%)
事業成長の力強さを感じる推移です。
■営業利益・純利益
営業利益、純利益は前年同期に続き赤字となり、赤字幅は拡大しました。
直近2年間のセグメント損益は以下の通りです。
過去12年(2011年12月期~2022年12月期)の営業利益・純利益の推移は以下の通りです。
ご覧の通り、モバイルセグメントに本格参入した近年、赤字が拡大していることがわかります。
注目のモバイルセグメントの損益は、通信料金無料キャンペーンの終了、課金ユーザーの増加、設備投資額の減少により、改善していく見通しです。
通期での黒字化にはもう少し時間がかかりそうですが、2023年12月期中に「単月黒字化を目指す」と三木谷社長も発言していました。
通期の黒字化は2024年12月期に期待ですね。
●収益性のチェック
営業利益、純利益ともに赤字のため、収益性のチェックについては割愛します。
●安全性のチェック
自己資本比率は4.0%でした。
現金4,694,360百万円に対し、有利子負債は4,912,750百万円と、有利子負債が現金を上回りました。
銀行事業や証券事業により多くのお金を預かっていることもあり、またモバイル事業等への積極的な投資のための有利子負債もあり、自己資本比率は非常に低い水準です。
過去12年(2011年12月期~2022年12月期)の現金・有利子負債・自己資本比率の推移は以下の通りです。
信用力・財務健全性強化のため、楽天銀行と楽天証券ホールディングスの上場に向けて準備中です。
今後の動きに注目です。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは▲257,947百万円と、キャッシュアウトとなりました。
2019年12月期~2021年12月期まで3年連続最終赤字の中でも通期営業CFはプラスでしたので、少し心配です。
キャッシュフローの概要を図にすると以下の通りです。
本業でのキャッシュ流出(営業CF:▲)と、設備投資等によるキャッシュ流出(投資CF:▲)を、借入などによって補っている(財務CF:+)形となっており、あまり良いキャッシュの循環とは言えません。
銀行事業が切り離されると見え方が大きく変わりそうですが、キャッシュの動きには引き続き注意が必要です。
参考:危ない会社への投資を回避できる!キャッシュ・フロー8つのパターン!
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
同社では、細かい数値を示した業績予想は発表されておらず、「株式市況の影響を大きく受ける証券サービスを除いた連結売上収益については、2021年12月期(前期)に比べ二桁成長を目指します」と記載されていました。
今回は会社四季報に記載の業績予想と比較した達成度を見ていきます。
四季報の予想と実際の結果の一覧は以下の通りです。
四季報9月号・12月号の予想に対する売上高の達成度は101.5%と、予想を上回りました。
一方、営業利益・純利益は四季報が発行されるたびに予想が引き下げられましたが、結果はその予想よりもさらに悪化しての着地となりました。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報から、来期の業績予想を見ていきます。
今期実績から四季報の来期予想への増収率は+10.5%と予想されています。
営業利益、純利益は来期も赤字予想、赤字幅は縮小となっています。
ただ、この数値は今回の決算発表前の昨年12月発行時点でのものですし、来期は楽天銀行・楽天証券のIPOも予定されていますので、予測はかなり難しくなりそうです。
予想を鵜呑みにしないで、様々な経営判断に備えるスタンスが重要になりますね。
■株価水準とチャートの動き
2/28(火)の終値は672円。純利益予想が赤字のためPERは計算できません。
過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。
4期連続の最終赤字となり、来期も赤字予想、財務状態への不安など、株価は低迷しています。
モバイルセグメントの損益改善、楽天銀行・証券のIPOによって今年は株価が大きく動くかもしれません。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
売上高は+10%を越えて着実に増収した一方、モバイルセグメントの赤字が続き、営業利益は3期連続の赤字、純利益は4期連続の赤字、赤字幅は過去最大となりました。
来期も赤字が続く見込みですが、モバイルセグメントの損益が改善してくるのか、注目です。
楽天銀行・証券のIPOの行方にも注目です。
予定通り実現するのか、IPOによって財務状態が健全化するのか、注目したいと思います。
赤字が続いた後の黒字転換は株価が大きく上昇するチャンスだと考えています。
連続赤字からの黒字転換銘柄を狙う目の付け所について、以下の記事にまとめています。
よろしければご覧ください!
現在保有中の200株は基本的には長期保有を考えています。
私が株式投資を始めた理由の1つは「株主総会に参加してみたい」ということでした。
色々な会社の株主総会に参加し、色々な経営者が話す姿を見ましたが、三木谷社長のプレゼンテーション、質疑応答に対する対応をみて「この人はすごいわ」と強く感じました。
今後も是非三木谷社長の声を同じ空間で聞いて刺激を受けたいという思いがありますので、三木谷社長が社長である限り、売却しないつもりです。
参考:周りの投資家に差をつけよう!株主総会に行く3つのメリット!
今後株価が下落することがあれば、600円を目安に追加買付も検討します。
私はマイルールで、2回目の買付は1回目買付から▲15%下落した時、3回目の買付は2回目買付から▲10%下落した時、と目安を決めていますので、その目安に従っています。
参考:★規律ある長期投資家を目指して★個別株投資8つのマイルール
楽天グループのビジネスは日本国内においてはなくてはならない存在になっています。
モバイルセグメントの黒字化は早くても2024年12月期だと思いますので、しばらく我慢の時間ですが、じっくり応援したいと思います。
以上が私の戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
⇓株式投資に関する人気ブログはこちらからチェック⇓
サラリーマン投資家ランキング
にほんブログ村
■参考:同社に関する過去の記事
・【楽天グループ】22/11/11決算発表内容と私の投資戦略
※22/11/11(金)に発表した2022年12月期第3四半期決算についての記事です。
・【四季報活用術】連続赤字からの黒字転換銘柄を狙おう!
※連続赤字から黒字転換を期待できる銘柄として、楽天グループを紹介しています。
・【楽天グループ】22/8/10決算発表内容と私の投資戦略
※22/8/10(水)に発表した2022年12月期第2四半期決算についての記事です。
・【楽天グループ】22/5/13決算発表内容と私の投資戦略
※22/5/13(金)に発表した2022年12月期第1四半期決算についての記事です。
・【楽天グループ】22/2/14決算発表内容と私の投資戦略
※22/2/14(月)に発表した2021年12月期第4四半期決算についての記事です。
・【楽天グループ】21/11/11決算発表内容と私の投資戦略
※21/11/11(木)に発表した2021年12月期第3四半期決算についての記事です。
コメント