個別株投資で毎年資産+10%を目指し、気になっている銘柄の決算発表内容を分析し、今後の投資戦略について私なりの視点で書いていきます。
■本日のチェック銘柄
今日チェックするのはホテルや旅館といった宿泊施設向けに予約管理システムを提供する手間いらず(証券コード:2477)です。
東証プライム市場上場で、決算期は6月です。
直近の四季報より数値を抜粋すると、時価総額は269億円、従業員数は連結で38名です。
主力事業は予約管理システムの提供ですが、祖業は商品比較サイト事業で、現在も継続しています。
私がこの会社に注目している理由は、
①ホテルや旅館のオペレーションはアナログな部分も多く、同社のシステムがそれらの施設の生産性向上に貢献すると期待していること
②海外からの誘客は島国の日本が成長していくためには必ず必要であり、観光産業のポテンシャルを感じていること
③利益率が極めて高いこと
です。
現在私は手間いらずの株を保有していません。
■決算発表内容の概要
2023/7/31(月)に発表した2023年6月期決算の主な内容は以下の通りです。
■決算発表内容分析のものさし
決算発表内容について、私は主に①成長性、②収益性、③安全性、④キャッシュ創出力、の4つの観点からチェックをしています。
それぞれの観点について、主な指標とその計算方法、優秀と認定する目安は以下の通りです。
優秀と認定する目安をクリアした項目が多い銘柄ほど、買いたい銘柄、保有し続けたい銘柄ということになります。
■決算発表内容分析
それでは、上記のものさしに沿って、実際に決算発表内容を分析していきます。
●成長性のチェック
売上高は前年同期比+10.9%、営業利益は同+14.0%、純利益は同+11.6%でした。
目安の+10%を上回っての増収増益でした。
同社の売上高の98%、セグメント利益の99%は「アプリケーションサービス事業」です。
具体的には国内の宿泊施設(ホテル、旅館)向けに予約サイトを一元管理する宿泊予約サイトコントローラー『TEMAIRAZU』シリーズを開発・販売しています。
売上高の内容は、(1)契約施設数に応じた月額固定収入と、(2)宿泊需要・予約数に応じた月額変動収入とに分かれます。
コロナ禍では小規模施設の閉館や解約、宿泊需要の低迷により苦しい状況でしたが、今年5月にコロナも5類に移行し、中国からの団体旅行客の解禁も発表され、今後の回復が期待されます。
●収益性のチェック
売上高営業利益率は73.6%、売上高純利益率は48.3%でした。
極めて高い利益率を記録しました。
過去13年間(2011年6月期~2023年6月期)と2024年6月期予想の利益率の推移は以下の通りです。
ROEは16.1%でした。
目安としている15%を上回りました。
●安全性のチェック
自己資本比率は93.6%でした。
現金は5,826百万円で、有利子負債は0百万円、無借金経営です。
過去5年間(2019年6月期~2023年6月期)の貸借対照表の推移は以下の通りです。
同社のBSの特徴としては、
①自己資本比率の高さにも表れている通り、純資産の割合が極めて高いこと
②固定資産がほとんどなく、資産のほとんどが流動資産であること
③資産合計の94%が現金と、超キャッシュリッチ(今後どう使う?!)
④固定負債はなんと「0」
が挙げられます。
財務基盤は極めて良好と言えます。
●キャッシュ創出力のチェック
営業CFは+964百万円と、キャッシュインとなりました。
営業利益1,331百万円には届きませんでした。
キャッシュフローの概要は以下の通りです。
■業績予想(会社発表)に対する進捗度
業績予想に対する達成度は、売上高:105.8%、営業利益:117.4%、純利益:116.6%でした。
もともと増収減益の予想でしたが、業績予想を上回り、増収増益で着地しました。
■来期の業績予想(会社四季報情報)から見る将来成長性
会社四季報から、来期の業績予想を見ていきます。
一方、今回会社が発表した来期の業績予想は以下の通りです。
四季報予想と比べると来期の予想は控えめです。
会社予想では、売上高:+6.6%、営業利益:▲2.6%、純利益:▲4.8%と、増収減益予想なっています。
業績予想の前提として、「インバウンドの多くを占めていた中国の見通しが不透明」とされていますが、決算発表(7/31)後の8/10(金)、中国が日本への団体旅行を解禁すると発表されました。
これは追い風になるでしょう。
■株価水準とチャートの動き
8/15(火)の終値は3,420円です。PERは26倍です。
過去5年間の株価の動き(週足)は以下の通りです。
訪日旅客の増加などを背景に2019年までは力強く上昇していましたが、コロナ禍で観光産業が大きく打撃を受け、同社の業績・株価も低迷しました。
とはいえ大きく暴落しないのは、同社がきっちり利益を残し続けていること、損益分岐点が低いビジネスモデルであることが大きいと思われます。
今回の決算発表では減配(27.5円→26.5円)も発表され株価は下落しましたが、そろそろ下げ止まるのではないかなと思っています。
■私の投資戦略
以上の分析内容を簡単に表に整理すると、以下のようになります。
増収減益予想の1年でしたが、結果的には+10%を超えての増収増益で着地しました。
過去13年間(2011年6月期~2023年6月期)と来期予想の売上高・営業利益・純利益・EPSの推移をグラフにすると以下の通りです。
コロナ禍で2020年6月期~2022年6月期は売上高・利益は足踏み状態でしたが、2023年6月期は上昇しました。
2024年6月期は増収減益予想になっていますが、中国からの団体旅行の解禁も発表され、上向いていくのではないかと考えています。
買付の目安は3,000円(現在の株価▲13%)です。
もともと3,500円を目安と考えていましたが、目安を引き下げながら観察中です。
(3,000円で買っても6%弱と、目安の5%以内は上回ってしまいますが・・。)
・5年で株価2倍を狙うためには3,000円まで引きつけてから買いたい
というのが理由です。
極めて高い収益性、無借金経営という安全性、観光産業という日本の成長戦略と大きく関わるポジション、非常に魅力を感じています。
正直3,000円までは下がらないかなと考えていますので、「買えたらラッキー」「買えなくても仕方ない!」と割り切っています。
以上が私の投資戦略です。
■おわりに
私はだいたい25銘柄程度の注目銘柄を決めて、決算発表内容と会社四季報を見比べながら、上記のような観点で継続的に観察しています。
そして5年で株価2倍が期待できる銘柄を、いいタイミングで買うことを目指しています。
上記の銘柄を推奨するわけではありませんが、銘柄選択の視点や考え方など、読者の皆さんの参考になれば嬉しいです。
毎年資産+10%達成を目指して、引き続き頑張ります!
ということで、本日は以上です!
お読み頂きありがとうございました!
★★私が株式投資において参考にした書籍を以下の記事にまとめています!★★
よろしければご覧ください!
■参考:同社に関する過去の記事
・高成長&高収益の企業はどこだ?!セルソースグロースレートで23銘柄の将来性を検証!
※高成長&高収益な企業を探して検証しました。収益性は抜群ですが・・・
・4月の訪日外客数は195万人!注目のインバウンド関連3銘柄
※注目のインバウンド関連銘柄として、同社を取り上げました。
・【手間いらず】22/7/29決算発表内容と私の投資戦略
※22/7/29(金)に発表した2022年6月期決算についての記事です。
・【手間いらず】22/4/28決算発表内容と私の投資戦略
※22/4/28(木)に発表した2022年6月期第3四半期決算についての記事です。
・【手間いらず】22/1/31決算発表内容と私の投資戦略
※22/1/31(月)に発表した2022年6月期第2四半期決算についての記事です。
・【手間いらず】21/10/29決算発表内容と私の投資戦略
※21/10/29(金)に発表した2022年6月期第1四半期決算についての記事です。
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